"安全安心"の、スポーツによる健康社会づくりを目指して｜大阪大学

本プロジェクトのテーマは「安心安全の、スポーツによる健康社会づくり」です。

本日は、その肝となる「身体活動量と健康」に関する学術データを一つ、ご紹介します。

ヒトの健康を考える上で、遺伝的要因を無視することはできません。皆さんも、「遺伝だから」や、「遺伝の影響かな」などという会話をしばしば耳にされると思いますが、その解決策の1つとして、「双子研究」があります。双子、とくに一卵性双生児は遺伝的背景が同じです。そのため、双子の二人を比べることによって、「遺伝と環境」という難しいテーマが、ある程度シンプルになります。有名な「双子研究」として、一卵性双生児の一人が国際宇宙ステーションで340日間生活する間、双子のもう一人は地球上に留まるといったものがあります。今のところ、寿命等に関する期待した変化はなかったという結論ですが、人類が持ちうる貴重なデータとして大きな価値のある研究だと認識されています。

「身体活動量と健康」に関しては、北欧諸国からの大規模な「双子研究」の報告があります。フィンランドで19126名（平均38歳）を対象として1975年から開始された研究では、1994年までの死亡に関するオッズ比が、双子のうちエクササイズの頻度が多い側で低いという結果でした（Kujala UM et al., JAMA. 1998）。またスウェーデンで、13109組の双子（平均31歳）を対象とした1972年から2004年まで期間に行われた研究では、死亡率、とくに心血管系疾患による死亡率が、一卵性双生児で活動量の多い側で有意に低くなっていました(Carlsson S et al, Am J Epidemiol. 2007)（＊この論文の重要な結果を添付図にしたので、御覧ください）。

とても示唆に富んだ結果だとは思われませんか？

単純化しすぎることを恐れずにまとめると、30歳から60歳の方は、今から運動習慣を見つめ直すことで、今後の健康・寿命が大きく変わる可能性があるという事実が明確に示されています。

本プロジェクトでは、

「運動習慣を改善するきっかけを広く社会に提供すること」を目的としています。