プロジェクト終了のご報告
二年前,皆様からの(予想を大きく上回る)ご支援を受けて始まった「犬と飼い主の負担を減らすために。犬の脳腫瘍治療に新たな一手を!」がクラウドファンディング上でのプロジェクト終了の期日を迎えました.当プロジェクトによる臨床研究,「犬の脳腫瘍におけるカルムスチン脳内留置剤の有効性および安全性評価」は現在,順調に進んでいる最中です.当初の第一目標は3例程度の症例報告の予定でいましたが,下記に記します通り,よりエビデンスレベルの高い10例以上の臨床研究となっています.
2025年5月28日現在,12症例の悪性グリオーマ(全例が高悪性度の希突起膠細胞腫)に対し,腫瘍切除後の切除腔へカルムスチン脳内留置用剤を留置しました.観察期間を術後1年としており,まだ半数例が観察期間中ですので最終的な成績は出ておりません.また現在10枚以上(5例前後で使用可能)の薬剤が残っておりますので,この先も適応症例が増えることも予想しております.先日の活動報告でもお知らせいたしましたが,クラウドファンディング上での終了期間を迎えるにあたり,中間報告として6月に開催されます第50回獣医神経病学会にてポスター発表をさせていただくこととしました.獣医神経病学会は獣医療関係者以外の一般の方は参加できませんので,リアルタイムで内容をご覧いただくことはできませんが,代わりといたしまして,その抄録とポスターをPDF化したものをリターンとしてお返しさせていただこうと思います(5万円以上の寄付者の方).しかしながら,リターンをお受けします皆様方にお願いがございます.今回中間発表として国内学会発表いたしますが,あくまで途中経過であり,最終成績は論文として国際誌に公表する予定となっております.それゆえ,今回の中間発表の内容について,インターネットやSNS等で公表しないよう,くれぐれもお願いいたします.
また,全ての症例が観察期間を終了したところで,最終報告を学会発表および論文化いたします.それらが揃いましたら,最終リターンとしてそれらの内容を発送させていただきます(数年後になると思いますが)ので,お待ちいただけますようよろしくお願いいたします.
なお,このプロジェクトページはそのまま継続されるとのことですので,学会発表など,研究に進展がありましたらこれまで通り活動報告でお知らせしていきます.
最後に,本プロジェクトにご理解とご支援をいただきました寄付者の皆様方,研究に参加していただいたワンコたちとそのご家族の皆様に,研究チーム一同,本当に心から御礼申し上げます.まだ最終的な報告には時間がかかりますが,タイトルにもあります通り,本プロジェクト・本研究が脳腫瘍に罹患した「犬と飼い主の負担を減らす」ことができて,「犬の脳腫瘍治療」の「新たな一手」になりますよう,我々獣医師も期待しておりますし,皆様もご期待いただければ幸いです.
【収支報告】
2025年5月31日までの収支は画像のようになっておりますのでご確認ください.

前2回(2023年8月と2024年1月)と最後(2025年4月)のBCNU脳内留置剤の価格が変わっております.これは購入先業者が変わった事によるものです.
現在の収支差額(残高:731,091円)につきましては,今後の学会発表(学会参加費等)や論文公表(英文校閲費や論文投稿公費・・・現在非常に高騰してます)に利用させていただきます.また残高が0になりましたら,併せて活動報告にてご報告させていただきます.
【リターンの発送について】
上記の通り,2025年6月に行われます獣医神経病学会での中間報告の抄録およびポスター(縮小版PDF)については学会終了後(7月初旬)に発送させていただきます.
また最終報告(学会発表内容および論文)は,論文が正式に公表された際に発送させていただきます.こちらにつきましては,数年後になるかと思いますが,活動報告にて逐次お知らせしていく所存ですので,ご理解の程よろしくお願いいたします.
プロジェクトチーム
代表 長谷川大輔(日本獣医生命科学大学)
伊藤 大介(日本大学;現米国テキサスA&M大学)
井尻 篤木(日本動物脳神経脊椎センター・アツキ動物医療センター)
柄本 浩一(えのもと動物病院)
王寺 隆(ネオベッツVRセンター)
神志那 弘明(KyotoAR動物高度医療センター)
北川 勝人(日本大学)
田村 慎司(たむら動物病院)
中野 有希子(岐阜大学;現ER八王子動物高度医療救命救急センター)
中本 裕也(NeuroVets動物神経科クリニック)
原 康(日本獣医生命科学大学)
松永 悟(日本動物高度医療センター)


















