報道が少ないリニア計画の真実を伝えるため取材費用を募ります。

●Next Goal

　5月10日にお陰様で目標額に達したわけですが、このたび、Next Goalとして目標額をもう46万円増やすことにいたしました。

　３つの理由があります。一つは、本ファンディングを開始直後に、山梨県の住民がｊｒ東海を訴える新たな裁判を起こしたことで、その取材の必要性が出てきたこと。一つは、ＪＲ東海はゆくゆくは名古屋から大阪までリニアを延伸しようとしていますが、今のうちに予備取材として、名古屋―大阪間での市民の動きや自治体の動きを確認したいこと。そして、第一目標額（70万円）は実際は86万円であり16万円を自己負担しようと思っていましたが、じつはその捻出もきついので、ここもお願いしたいと思ったということです。

　どうぞ環境問題や社会問題に関心のあるご友人や知人がいらっしゃったら、本ファンディングについて知らせてあげていただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

●八ッ場ダムとリニアの住民移転の代替地

   5月１４～１５日。群馬県の上野原町で建設中の八ッ場ダムの取材に出かけました。

　八ッ場ダムについては、２００９年に民主党政権が「建設中止」を宣言して、実際に工事は止まりましたが、2年後に工事が再開。

　そして8年たった今、どうなっているかの情報がほとんどまったく入ってきませんが、八ッ場ダムはもう完成間近で、今年の秋から湛水試験が始まります。

　本日書きたいのは、八ッ場ダムがある川原湯温泉地区などの住民がどうなったかです。

　八ッ場ダムがほかのダムと違うのは、他のダム予定地では住民が、まったく違う土地に立ち退かされるのに対して、八ッ場ダムでは同じ地区で代替地を国側に確保させて、そこに住民が集団移転しようとしたことです。

　ところがふたを開けてみると、その代替地（山奥）の地価が都市部とほとんど変わらぬ価格に設定されたため、立ち退きの補償料をもらったとしても「これじゃ合わない」と約8割の住民が故郷を離れ、町に出たことです。今、そこにはかつての川原湯温泉街はありません。あるのは、少人数の住宅街のなかにポツンと温泉施設があるだけです。

　で、何が書きたいかというと、じつはリニア計画でも、リニア車両基地ができる神奈川県相模原市の山間部で、同じように、同じ地区での代替地への集団移転が決まっている集落があるからです。

　ところが、集団移転をする、ということだけが決まっていても、「どこに」「どれくらいの広さの土地が」確保されるのかも、補償金も決まっていない。順番が逆だと思うのですが、そこは住民がＪＲ東海などと決めたことなので外部の人間がああだこうだは言えません。

　ただ、もし、代替地での地価が高かったり、今までよりも狭い土地で住むことになったり、より不便な場所であったりした場合は、川原湯温泉同様、コミュニティの解体も考えられるのです。

　そして、八ッ場ダムの場合は50年前には「反対運動」から始まり、その長年の闘争の結果、疲れたり、後継者世代の考えの違い（補償金で街づくりをする）などで、今の形に落ち着きますが、リニア車両基地予定地の住民は、心では反対していても、闘うことなく集団移転を受け入れた。もし代替地が不便な場所であったとして、そういった心持ちではどこまでＪＲ東海や神奈川県と交渉できるのか。ここにも注視していきたいです。

樫田拝