リニア取材へのご協力をありがとうございました。
私のリニア中央新幹線の取材のためにご支援をしてくださった皆様へ
ジャーナリストの樫田秀樹です。
皆様のおかげで多大なご支援をいただき、お陰様でリニア中央新幹線への取材を再開することができました。
4月22日にクラウドファンディングを開始し、6月14日に資金調達の成功が確定し、私の銀行口座に実際のお金が入ってきたのは8月ですが、4月下旬には資金調達の目途が見えたことで、取材自体は5月から再開しました。
そして、READYFORにおいては、以下の二つを皆様に約束しておりました。
1.2019年12月31日まで、リニア計画に関する取材を行ったことを以って本プロジェクトを実施完了といたします。
2.3冊目の単行本は2020年の5月末までに出版を予定しております。
まず、ここで若干の予定の変更を伝えなければなりません。
リニアは2027年に品川・名古屋の開通予定である以上、それまでは継続的に取材をしなければなりません。つまり、極めて当然のことですが、2019年12月31日というのは、皆様からのご寄付を使っての取材が終了するということであり、私の取材が終わるわけではありません。ここではあくまでも私の取材の「中間報告」として報告をさせてください。
ただし伝えておくべきことは、現在集まった膨大な情報を整理して簡潔にまとめて出版するには、2020年5月末ではおそらく間に合わないことです。ここは無理をせず、2020年秋までの出版を目指します。このことだけご了解いただければ幸いです。
さて、具体的な報告をさせていただきます。
●リターンの送付について
私が用意したリターンは以下の5つです。
1.3000円以上のご支援
①毎月(7月~12月)の取材報告
2.5000円以上のご支援
②上記内容に加え、2020年に出版予定の単行本の送付
3.1万円以上のご支援
③上記内容に加え、著書「リニア新幹線が不可能な7つの理由」(岩波ブックレット)の送付
4.3万円以上のご支援
④上記内容に加え、愛染製品(8000円相当)の送付
5.5万円のご支援
⑤上記内容に加え、愛染製品(2万円相当)の送付。
このうち、①の取材報告ですが、まだ3回の送付に留まっております。今回のようにREADYFORのHPを経由しての報告はこれで最後ということになりますが、残り3回の取材報告は従来通り、皆様のメールに直接送付することで実現します。
③の拙著「リニア新幹線が不可能な7つの理由」は送付済みです。
④と⑤の愛染製品も送付済みです。
②の2020年出版予定の著書については、当然ですが、未送付です。
●会計について
今回のクラウドファンディングでは135万2000円のご寄付が集まりました。このうち、READYFOR社への手数料を除いた110万3773円が私の口座に入金されました。
そして、ご寄付者へのリターンに充てる「2017年に出版した単行本」と「愛染製品」の購入、「その発送費」に21万4640円を使わせていただきました。
来年発送予定のリターンとして「発行予定の単行本」の購入と「その発送費」には、本の価格にもよりますが、仮に1800円とすれば、約17万円と算出しています。
つまり、来年リターンとして使う予定の17万円を除けば、
110万3773円 - 17万円 =「93万3733円」
が、リニア関連の取材費用や情報収集(書籍購入など)、その他経費に使えるお金ということになります。
そして、本来であれば、このお金は2019年12月31日までに使い切るのが理想でしたが、現時点で使い切ったのはその約6割の56万381円です(リターンの購入と送付も含む)。
その簡単な内訳は以下の通りです。
★交通費(電車、バス、ガソリン、高速道路代、レンタカーなど) 23万2053円
★宿泊費 5万1990円
★取材先への手土産代 6480円
★打ち合わせに要した飲食代 3万5819円
★資料代(書籍、集会参加費など) 7269円
★リターン購入と送付 21万4640円
★電話代 8000円
★事務用品(SDカード) 4130円
詳細はエクセルで表を作成したので、後日、メールにて送付させていただきます。
●2020年の単行本の出版について
前述のように、当初約束した、単行本出版は2020年5月では難しく、秋にさせていただければと考えています。
理由の一つは、2019年は、ジャーナリストとしてどうしても無視できない深刻な人権問題(法務省入管庁による在留資格が付与されない外国人への長期収容問題)に出会ったことで、その取材に追われ、リニアの取材時間の確保が難しくなったことが挙げられます。
ただし、予想よりも少なかった取材ではあっても、集めた情報は膨大なもので、それを分析、整理するには、むしろこのペースでよかったのかもしれないと振り返っております。まだ使っていないご寄付(37万3392円)をあと数カ月で大切に使い、単行本の出版も今年春から秋に延期したいと考えている次第です。
だからこそ、そのお金を使っている間は、取材報告をさせていただく次第です。
●実現できたこと
ただし、今回のご寄付による取材で、来年発刊予定の単行本の「核」が見えてきました。
リニアの課題は、地域的にあまりにも広大で、社会問題や環境問題としてとらえるにもあまりにも深いです。そのすべてを一冊の本に詰め込めると読み応えのない作品になることから、以下のことを重点的に取り扱うことで、単行本に載せたいと考えております。
★静岡県 VS JR東海
リニアが通る1都6県(東京、神奈川、山梨、静岡、長野、岐阜、愛知)のうち、静岡県だけが、知事や事務方の慎重な判断によりリニア工事の着工を認めていない。一日も早く工事に入りたいJR東海が、どこまで話し合うのかを見極めたい。
★山梨県
東京地裁では、原告738人が国交省を相手取り、リニア事業認可の取り消しを求める裁判を行っているが、2019年には、山梨県南アルプス市の住民がJR東海を相手取り、工事差止を求める民事訴訟を提訴。早い判決を目指しているだけに注目したい。
★残土
リニア工事では5680万立米という東京ドーム約50杯分もの膨大な残土が排出されるが、その処分先がまだ半分以上も決まっていない。逆に言えば、処分先が決まることで残土運搬ルートも決まり、そのルート周辺地域では10年前後も多数のダンプ走行での騒音、振動、粉塵、交通事故の不安に晒される。同時に、処理の難しい自然由来の重金属やウランの排出にJR東海がどう取り組み、住民がどういう運動を展開するのかを確認したい。「残土問題」はリニアに限らず従来の新幹線でも起こっているので、そういった先行事例も確認したい。
●現場の写真
以下、数を絞りますが、今回のご支援で取材ができた現場で撮影した画像を公開します。
ご支援をしてくださった皆様。ご支援を本当にありがとうございました。この会計報告を見るだけでも、やはり、私一人ではもうリニア取材は続行が困難であったことが再確認できました。
私のリニア取材は、少なくとも、JR東海がその開業を目指す2027年までは続きます。おそらく再び取材資金の壁にぶつかりますが、諦めずに最後までやり通したいと思います。
これからも随時連絡させてください。本当にありがとうございました。
2020年1月5日 樫田秀樹拝