プロジェクト終了のご報告~この1年を振り返って
皆さまこんにちは、お変わりありませんか。
「マドレ式対話メソッドを次世代へ~8,386人と育てた10年の知見」へのご支援をいただいてから約一年が経ちました。皆さまのお力添えのおかげで、頭に思い描いているだけだったことが、実際に形となり場となり物となり、手渡せるバトンとなりました。あらためてご支援・ご協力に心より御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
《取り組みのご報告》
皆さまのご支援によって実現した一つ一つについて、あらためてご報告申し上げます。
わたしたちはこのプロジェクトを通じて、
これまでの10年間の「市民がつくる対話の場づくり」の実践に基づく、「マドレ式対話の場づくり」の知見とノウハウをまとめ、広く手渡す、
ということに取り組んでまいりました。大きくは以下の4つです。
【1】「マドレ式対話の場づくり」の分析、調査
【2】イベント開催 ~「マドレ式対話の場づくり」10年間の軌跡をたどり、生の声を聞き、魅力をひもとく
【3】『マドレ式対話の場づくりの手引き(仮称)』『マドレジャーナル』の制作
【4】「マドレ式対話の場づくりラボ」の開催
これらの取り組みについて1つずつ、振り返ってまいりましょう。
【1】「マドレ式対話の場づくり」の分析、調査
これまで取り組んできた対話の場についてのアンケート調査を行うとともに、場づくりの取り組みの分析を実施して基本原則をまとめます。
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こちらは、クラウドファンディング開始前の2018年秋からNPO法人CRファクトリー代表の呉哲煥さまに伴走支援いただき、地道に長く取り組んできました。
2009年から2018年まで10年間取り組んできた対話の場「NECワーキングマザーサロン(以下、サロン)」の「参加者」および「参画者(サロンの開催運営にあたってきたボランティアメンバー)」を対象にした「自身の変容」に関するアンケートを設計し、調査実施、分析、発表を行いました。
発表内容の「まとめと考察」から一部抜粋してご紹介します。
サロン参加によってもたらされる「話す」「聴いてもらう」といったコミュニケーション体験は、多くの人にとって満足できるものであり、そこから「自分の望みに気づく」という新たな体験が起きたと考えられます。
また、サロンの場でそれまで触れてこなかった自分の望みに気づくことで、家庭や職場でも、自分の望みに気づき、望美に沿って行動するようになっていると考えられます。また、それが仕事への意欲や能動的なキャリア選択につながっているとも考えられます。
さらに、サロン参加後に自分自身に関する評価が上がっていることも特徴的です。率直に話したことを受け止めてもらえる体験、また、そこから自分の本来の望みに気づく体験が、自分のなかで「これでいい」という自己確信をもたらしているのではないでしょうか。
(『マドレジャーナル38号』2019年10月発行)
こうした効果を生み出したサロンプロジェクトでの取り組みについても、並行して洗い出しと分析を行いました。こちらは「チーム活動6つの原則」などにまとめ、『マドレジャーナル38号』および『マドレ式対話の場づくり手引き』でもご紹介しています。
【2】イベント開催
「マドレ式対話の場づくり」10年間の軌跡をたどり、生の声を聞き、魅力をひもといていきます。100人規模でのマドレ式対話メソッドの実践もあります!
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このイベント「Madre Bonita DAY 2019 ~NECワーキングマザーサロン10年の軌跡 ありがとうとこれから~」の開催にあたっては、これまでサロンプロジェクトに参画してきたメンバーの有志が実行委員となり、約3か月かけて企画運営に取り組みました。そのプロセスも「知見のまとめ」の機会となりました。
イベント記録映像より一部、
『対話の場を紐解く~10分deマドレ式対話』
のパートを共有します。(~14分まで)
なお、本イベント開催にあたっては、会場をフューチャーアーキテクト株式会社様よりご提供いただきました。ありがとうございました。
【3】『マドレ式対話の場づくりの手引き(仮称)』『マドレジャーナル』の制作
マドレ式対話メソッドおよび対話の場づくりの知見をテキストにまとめます。『手引き』はこれ一冊ですべてがわかる!内容です。分析・調査の結果は『マドレジャーナル』に掲載していきます。
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上記でご紹介したアンケート調査の結果や、取り組み分析の結果は、
『マドレジャーナル38号~NECワーキングマザーサロンからつないでいくもの』
で発表しました。
<目次>
・はじめに NECワーキングマザーサロンとは
・第1章 サロン参加・プロジェクト参画と個人の変容に関するアンケート分析
・第2章 徹底分析!サロンプロジェクトがやってきたこと
・第3章 サロンプロジェクトにみるチーム活動6つの原則
・第4章 サロンとマドレ、相互作用によるインパクトの拡大と深化
・第5章 愛情深く、気高く、創造的なふつうの人たち~サロンプロジェクトが生み出した本物のリーダーシップ
・資料 NECワーキングマザーサロンプロジェクトの歩み
対話の場づくりに関する知見は、『マドレ式対話の場づくり手引き』としてまとめ、2020年4月に発行。製本版はリターンとしてご支援くださった方にお送りしました。
さらに、多くの方に手渡せるよう、普及版(PDF版)を作成しました。この7月から販売を開始します。9月末までの期間限定販売となっていますので、ぜひお手に取っていただければと思います。
▼普及版『マドレ式対話の場づくり手引き』
お求めはこちらから(マドレオンラインストア)
全44ページ/PDF/付録:振り返りシート、マドレ式対話の場の進行台本(データ共有)
<目次>
・マドレ式対話の場とは
・はじめに
《基本編》
・第1章:何のための場づくりか
・第2章:気づきが生まれる、対話の中の「聴く」
マドレ式対話の場のベースとなる「聴く」について扱います。日常的な対話や、プライベートで小さな対話の場を開く際にも役立つ内容です。
《実践編》マドレ式対話の場のつくり方
・第3章:「意図の設定」と「振り返り」
・第4章:企画からクロージングまで
・第5章:プログラム構成と設定の工夫
・第6章:対話を促す場のファシリテーション
参加者を募ってワンテーマを2時間程度で語り合う、ワークショップ形式の場を実際に開きたい人のための内容です。「NECワーキングマザーサロン」をベースとした内容になっています。
《発展編》
・第7章:対話の場を仲間とつくる
・第8章:マドレ式対話の場づくり実例集~ラボメンバーの取り組みから~
より豊かで継続的な場づくりのために欠かせない「仲間づくり」について、また、場づくりラボメンバーによる先行事例をまとめています。
《特別付録》 産後の対話、コミュニティの対話
【4】「マドレ式対話の場づくりラボ」の開催
対話の力を育むための相互的で体験的な学びの場をつくります。
全4回の集合ラボと、オンラインコミュニティを2~3か月の期間で開催します。
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2019年7~9月に「夏ラボ」を東京都にて、2019年12月~2020年2月に「オホーツクラボ」を北海道北見市で開催しました。
→夏ラボのレポートはこちら
→オホーツクラボのレポートはこちら
ラボに参加したメンバーは、その後それぞれに自分がつくりたい「対話の場」を設定し、さまざまな地域で・場面で、さまざまなテーマで、実現していっています。その様子は、『マドレ式対話の場づくり手引き』の第8章でも、実例集としてご紹介しています。
場をつくるために仲間に話を聴いてもらいながら自分の思いに向きあう姿。
場づくりを実現しての振り返りレポート。
いずれも、本人はもちろんのこと、それに触れるまわりの人たちをも強く力づけるものがあります。
【ラボに参加したメンバーの感想】より一部ご紹介します。
・参加して良かった!4回の場以外でも参加メンバーとのやりとりから、関係が深まることを感じられました。そして、各々の場作りを通して自分がより主体的に団体に関わることが出来るようになったと思います!これも、ラボでのチャレンジと安心できるメンバーがいることがより理解出来たお陰だと思います(^^)
・とにかく走り切った3か月でした。自分が学んだことを実践することで、自分が変わっていき、夫と対話で関係が深まり、子どもたちとの対話をジャッチしないで聴けるようになったことを実感しています。また、場を作る体験で、相手の話を聴きたいという気持ちが心の底から湧いてきて、相手への感謝と敬意を感じられる自分になりました。本当に貴重な経験をさせて頂きました。自分と向き合い続け、ともに走る仲間を心から大切だと感じる3か月でした。ありがとうございました。
・たくさん、自分と向き合った気がしている。自分で考える学びの場だった。知らず知らずのうちに、自分の感情は【こうあるべき】に支配されていて、それをどうしたらいいかわからなくなっていたけれど、少しずつ、自分の感情も出して、自分の気持ちと向き合い、やりたいと感じたことを大切にしていければと思うようになったと思う。色々な場所で、自分も、周り(の感情や想い)も大切にしていきたいと思った。
・オンラインでもきっと学べる。そう思って参加したけど、実際は学びきれないことや感じきれないことが多く、とても残念だった。リアルで参加することで感じられる、その場の空気感や対話の場がとても大切だということを実感した。
・濃厚な3ヶ月でした。自分のできなさと向き合う時間もありましたし、自分の考え方のクセや弱さにもダイレクトに響いてくる時間でもありました。1人では投げ出したくなる場面も正直ありました。でも、仲間と切磋琢磨する時間がとても愛おしくて、まさにマドオホだからこそできるオホーツクラボ!になったと思います。
なお、2020年7月から11月にかけては、クラウドファンディングでラボ開催権を獲得したKAMP(関西でもマドレボニータを!)主催による、「オンラインラボ」が実施されます。
こちらはプログラムを「基本編」と「実践編」に分け、すべてオンラインでの開催です。新型コロナウィルス感染症の感染防止のために、集合の形はなくオンラインで実施することになりましたが、これにより全国各地からの参加が可能になりました。現在、ご参加者を募集中です。関心ある方はぜひどうぞ!
《収支のご報告》
皆さまからご支援頂いた資金は、全額を上記にご報告した4つの取り組みのために使用させて頂きました。
この「マドレ式対話メソッドを次世代へ~8,386人と育てた10年の知見」という取り組みを通じて、これまでの経験をもとに知見としてまとめ共有することができ、対話の場づくりへの考察がさらに深まりました。また、新たな対話の場をつくる「担い手」が生まれ、つながりができました。ご支援とご協力があったからこそ実現することができました。本当にありがとうございました。
《今後について》
『マドレ式対話の場づくり手引き』普及版(PDF版)
7月から9月末まで、期間限定で販売いたします。
▼お求めはこちらから(マドレオンラインストア)
https://madrebonita.shop-pro.jp/?pid=152115128
「マドレ式対話の場づくりラボ@オンライン」(主催:KAMP)
「基本編(全2回)」と「実践編(全6回)」に分けて、すべてオンラインで実施します。7/12or19から始まります。ただ今受付中です。
▼詳細・お申し込みはこちらから
https://sites.google.com/madrebonita.com/taiwa/online
また、今回の取り組みとは別に、自主的な動きも生まれています。
NECワーキングマザーサロンプロジェクトに参画したメンバーを中心に、「全国マドレ式対話の場づくり研究所」という自主グループが立ち上がり、現在約50名ものメンバーが参加して、対話の場づくりの実践や探求を続けています。
ぜひご覧になってみてください。
本プロジェクトはここでいったん終了となりますが、皆さまのご支援のおかげで広がった波紋は、さらにこれからも新たな波を生み出していくと思います。本当に大切にしたいことに気づき、自分の足で次の一歩を踏み出していけるきっかけとなる「対話の場」が、さまざまな地域で、暮らしの中に豊かに広がってゆくことを願っています。
(文責:プロジェクト担当・高橋葉子)