武庫離宮の遺構～その２～　潮見台

以前中門をご紹介した武庫離宮の遺構のうち、中門を出て南側にあるのが「潮見台（しおみだい）」です。

武庫離宮の庭苑は、大正３年の造営当時は旧宮内省の大膳頭並内匠寮御用掛を務めていた造園家「福羽　逸人（ふくば　はやと）」氏が設計したものでした。

同氏は、御用掛以前は宮内省内苑局長に就任していた明治・大正期の造園設計の第一人者でした。また、1900年（明治33年）にはパリ万国博覧会での出展園芸物の審査員として出張するなど、複数回におよぶヨーロッパ出張の際に、イチゴやメロン、オリーブ、蘭など多数の園芸品種を日本に初めて持ち込み栽培し、園芸家としても第一人者の位置にありました。

ちなみに、日本で初の園芸品種として栽培した「福羽いちご」の苗を、現在も離宮公園では継承しています。

同氏は、武庫離宮の庭苑設計に当たって、ヨーロッパでライン川から川沿いの古城を視察した経験から、離宮内にそうした古城をモデルとした構築物を設置しました。そのうちの一つが潮見台で、展望所の石塀につき御影石を使って古城の城壁風に構築しました。

今でも、公園内から大阪湾を一望できる潮見台からの眺望をぜひお楽しみください♪