目的と手段

　公開から１週間が経ちました。

　実は当方はこのクラウドファンディングに挑戦する前、経産省が運営する「ものづくり補助金」に申請しました。いろいろな人の意見を聞いて企画書を練り上げ、「これなら絶対に通る！」と思って出したのですが、結果は不採択。

　全身の力が抜けるというのは、ああいう状態のことを言うのでしょう。「不採択」の文字を見たときは立っていられないくらいでした。ただ、ものづくり補助金は何度でも出すことができます。なんとか気を取り直し、企画書を練り直して「今度こそは！」と再挑戦してみたものの、結果が変わることはありませんでした。

　この「アカデミックSNS」のソフトウェア開発費は約1,000万円です。加えてデザイン費、広告費、いまのサイトを運営していく費用、リターンの準備金、READYFORへの手数料などを考えると、どんなに少なくとも1,700万円が必要です。それに対し、当方が準備できる精一杯の資金は1,200万円。その差額が、今回の目標金額です。

　クラウドファンディングの挑戦を決めたとき、私にとってそれは「手段」でした。トイビトの継続と発展に必要な資金を手にいれるため、残されたほとんど唯一の道。その考えは、しかし、この1カ月で大きく変化しました。

　お忙しい中、応援メッセージやイベントへの協力を快諾してくださった先生方、いつも以上に支えてくれる仲間たち、友人、家族、そして何より、このプロジェクトに期待し、ご支援いただいた方々とのやりとりを通じて、実はこれこそが目的だったのだ。そして、これまで目的だと思っていた「500万円」は、このつながりを生み出すための手段だったのだと思えてきたのです。

　状況はまったく予断を許しません。今回500万円に届かなければ、そこで終わりです。でも今は、その状況さえもが、新しいトイビトの誕生に必要なものだと思っています――ものづくり補助金の審査員は、そのことに気づかせるために、当方を落としてくれたにちがいありません――。

　「アカデミックSNS」はまだ存在していませんが、その運動は、いまこの場所で、すでに始まっているのです。