うみのいえプロジェクトのご報告
プロジェクトご支援者の皆様
こんにちは、米村です。福井県池田町もようやく桜が満開となり、山菜の苦味や鶯の声を感じながら、春の喜びを感じています。
やることがたくさんあって終わってしまえばあっという間の池田の冬ですが、しかしこんなにも春が嬉しいことも、東京暮らしではありませんでした。
さて、プロジェクトの完了報告を行う時期になりましたので、改めてこれまでの活動をご報告させていただきます。
また、プロジェクト完了とはなりますが、コロナ禍ということもあって皆様をイベント等へ十分にご案内・ご招待することができなかったため、
今年度も、ご支援者の皆様を優先的にご招待させていただきたいと思っております。
【はじめに】
まずは、支援者の皆様にお礼を言わせてください。
ファンディングを実施してから1年半ほど、多くのことを経験しながらこのプロジェクトを前に進めることができました。
当初の計画通りにいったもの、計画通りにはいかなかったもの、また、計画を越えた結果や示唆を受けたもの、それぞれにありましたが、総じて今後の進展につながる良い結果を得られました。
以下にその詳細を書かせていただきますが、その全ては"どうなるかまだ分からない"最初期のプロジェクトに対して頂いた皆様の貴重な資金が基盤となっています。
そのことに、大きな感謝の気持ちを抱いております。ありがとうございました。
【具体的な実施事項】
*拠点となる部屋の改修を実施しました
うみのいえの基盤を整えるために、プロジェクトに必要な部屋の改修を行いました。
特に芸術家滞在/公演で必要となる小劇場や音楽室を優先的に着手し、次項でご説明するプログラムに活用しました。
これらの部屋は、今後もうみのいえの活動の基盤となり続けます。
*実験的なプログラムを実施しました
特に芸術活動の実験として、芸術家を3組招き、プログラムを実施しました。
>音楽家親子を招いたプログラム
・令和4年10月7-10日にかけて、首都圏及び富山から親子連れの音楽家4組(フルート2名・クラリネット1名、声楽1名(賛助出演)、いずれもプロとして活動)を招きました。
・子供たちは畑や山での体験を楽しみ、親は稽古と公演を実施しました。子供たちには、自然と触れ合いながら新しい知識や経験を得る機会が与えられました。一方、音楽家の親は、短い時間ですが子供と離れつつ、新たな環境での稽古や公演を通じて、自身の音楽活動をさらに磨きました。この取り組みは、芸術と自然教育の相互補完的な関係を探る実験的なものとなりました。
・親子向けコンサート(入場:42名)をうみのいえの囲炉裏端で実施し、また別日には大人向け(就学児以上/入場19名)のコンサートを実施しました。
・最終日に、地域の方々を対象に、フルートのレッスンを実施しました。越前市から中学生の参加が2名、池田町内から親子(子供:中学3年生)の計4名へのレッスンとなりました。緊張感がありつつも受講生それぞれが積極的にレッスンに参加し、講師も熱心に指導する姿が見られました。
>演劇家を招いたプログラム
・令和5年の1月と2月に、東京からの演劇グループ(3名)を池田町に招待しました。
最初に1月9日から10日にかけて滞在し、町内のリサーチや会場視察を行いました。
町内の神社、教育施設、能面美術館で風土や文化に触れ、地元の人々と交流しました。
その後、演劇家たちは東京に戻り、リサーチを基に創作活動を行いました。
2月3日から7日にかけて2回目の滞在を行い、うみのいえ内の小劇場で稽古を進めました。
2月5日には稽古場を公開し、年齢制限なしで見学を受け入れ、幅広い年代の12名が訪れました。
そして、2月7日に本公演が行われ、19名(満席)が来場しました。5歳以上の子供も来場できるよう配慮し、さまざまな年代の客層が集まりました。
終演後は囲炉裏端で演劇家と観客が交流しました。
>画家の滞在制作・発表プログラム
1月から2月にかけての2週間、画家がうみのいえに滞在し、20点ほどの作品を制作しました。
その作品は、池田町内やうみのいえの様子を捉えた、ここでしか描けない独特の風景が描かれています。
滞在の終盤には、3日間の展示会が開催されました。
うみのいえの家全体が展示会場となり、来場者は画家の作品を楽しみながら、その場での制作過程を感じることができました。見慣れた池田町の風景が違った視点で描かれていることに刺激を受けていたようで、来場者同士の会話も弾んでいました。
さらに、画家はうみのいえが持つ山での制作活動も行いました。自然豊かな環境での制作は、画家にとって新たなインスピレーションを与えたようで、画家自身の創作活動をさらに豊かにすることができました。
【反省点】
このプロジェクトを振り返って、いくつかの反省点があります。
まず、慢性的な人手不足が大きな課題でした。
大学生を巻き込んだり、地域住民に手伝ってもらったりすることで一部の対応ができましたが、それでも十分ではありませんでした。
次に、人手不足も影響して情報発信が後手に回ることがありました。
プロジェクトの進行状況や成果を、もっとタイムリーに発信すべきでした。
インスタグラムを中心に情報発信を行いましたが、リアルでローカルな発信も強化することが重要だと思われます。
地域住民や来場者が直接触れることのできる情報発信方法を検討し、より多くの人々にプロジェクトの魅力を伝える必要があります。
また、プロジェクトごとの総括が充実していなかった点も改善すべきです。
各プロジェクトの達成度や反省点をしっかりとまとめ、今後のプロジェクトに活かすことが大切です。
総括を通じて、プロジェクトの改善点を明確にし、今後の取り組みの質を向上させることが求められます。
【プロジェクトの変化と今後】
これまでの活動を通じて、暮らしの営みから得られる「生きる力」に関連する学びの深さを強く感じました。
それは、暮らしの技術だけでなく、自分自身を発見したり、それを生かしたりする、生きる意味を見つける力も含まれています。
そこで、うみのいえは、学びを共有するための"学校"として、プログラムを確立していくことを考えています。
そこで学ぶ人は、当初のイメージであった子供だけでなく、大人も含めた幅広い年代の人々を対象としています。
また、芸術家滞在に関しては、アーティスト・イン・レジデンスからさらに考えを深め、アーティスト・イン・ファミリーという概念を提唱していきたいと考えています。
この概念では、家庭や家族の暮らしに芸術家が飛び込んで、一緒に暮らしながら創造する形です。
この取り組みにより、芸術家にも家族にも地域にも価値が生まれると感じています。
これからも、プログラムや拠点の充実を図り、うみのいえを中心にその他の地域への拠点展開も随時進めていきます。
【最後に】
これからも、このようにメッセージをお送りさせていただき、進捗を報告させていただきたいと考えています。
その中で、困ったことや手伝っていただきたいことがありましたら、きっとまた色々なお願いをすることもあると思います。
これからも、うみのいえとその行く末を、温かく見守っていただけると嬉しいです。