山梨大学の挑戦!山梨特有の廃棄物のリサイクルプロジェクト

山梨大学の挑戦!山梨特有の廃棄物のリサイクルプロジェクト

寄付総額

1,250,000

目標金額 1,000,000円

寄付者
60人
募集終了日
2020年12月14日

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2021年12月05日 08:49

「水熱反応を用いた廃棄物から物質合成の挑戦」に関する報告


【ご協力どうもありがとうございました。】
 国連が提唱している持続可能な開発目標であるSDGsを実現するために有限な資源を再利用(リサイクル)することが求められています。多くのみなさんのご協力のもとに山梨県特有の廃棄物のリサイクルを目指した研究を行ってきました。特に山梨県の特産品の一つであるアワビの煮貝の生産によって排出されるアワビの貝殻とワインに使われる色付き廃ビンガラスについて水熱反応を用いて新たな材料への物質変換を試みました。一年間研究を行ってきた結果、いくつかの興味深い結果を得ることができましたので、御礼とともにご報告させていただきます。なお、ご協力いただいた方には報告書を送らせて頂く予定です。

【アワビの貝殻】

 貝殻は炭酸カルシウム(CaCO3)とタンパク質(コンキオリン)の複合体であり、表面の殻皮はキチン質と呼ばれる多糖類高分子膜でできています。貝殻の炭酸カルシウムはアラゴナイトと呼ばれる結晶構造をとっています。水熱反応の水溶液に水酸化ナトリウム(NaOH)を用いたところ、結晶構造がアラゴナイト型からカルサイト型に変化しました。図に示すようにアラゴナイト型とカルサイト型の結晶構造の違いは大きくありませんが、水酸化ナトリウム水溶液を用いた水熱反応によって有機成分が溶出し、それに伴って結晶構造が変化したと考えられます。

 リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)水溶液を用いると炭酸アパタイト(Ca10(PO4)6(CO3)に変化しました。アパタイトは人間の骨の主成分であり、貝殻の形をしたアパタイトを作ることができましたが、この場合にも有機成分が溶出して、とても脆くて容易にくずれてしまいます。

 リン酸(H3PO4)水溶液を用いた場合にはCaHPO4の微結晶が生成しました。今回合成できたCaHPO4の結晶構造を解析したところ、これまでに報告されている結晶構造と異なっていました。今後、CaHPO4の性質について詳しく調査していく予定です。炭酸アパタイトとCaHPO4の結晶構造を図に示します。


【廃ビンガラス】

 窓ガラス、食器およびワイン瓶などに使われているガラスは一般にソーダ石灰ガラスと呼ばれ、その成分は珪酸(SiO2, 70~74wt%)、ソーダ(Na2O, 12~16wt%)、酸化カルシム(CaO, 6~12wt%))、マグネシア(MgO, 0~4wt%)、アルミナ(Al2O3, 0~2wt%)で、着色ガラスには発色のために特有の金属が微量に添加されています。無色のガラスはカレットと呼ばれてガラス製造の原料として再利用されています。また、ビール瓶は回収されて洗浄後に再利用され、そのリサイクル率は97%と高くなっています。色付き廃瓶ガラスについても一部はカレットして再利用されたり、アスファルトに混合して舗装面の反射材として利用されています。

 50mLの小型のオートクレーブの実験ではNaOHあるいはKOH水溶液を用いた水熱反応ではトバモライト類似の化合物を合成することができました。300mLのオートクレーブにおいても同様の化合物を合成することができました。トバモライトは層状構造を持ち、層間にCa2+イオンを持ちますので、そのCa2+イオンとAg+イオンとのイオン交換を行い、Ag+イオンによる黄色ブドウ球菌および大腸菌に対する抗菌特性を調べました。図に示すようにAg+イオンを導入したトバモライトでは黄色ブドウ球菌および大腸菌に対して抗菌性を示しました。

【人工水晶端材】
 人工水晶の端材については、これまでと同様に小型のオートクレーブを用いた人工水晶の合成実験の種結晶として利用しています。合成した人工水晶はご協力頂いた皆様に既にお送りさせて頂きました。今後も人工水晶の学生実験や演示実験に利用させて頂きます。

 

【太陽光水熱反応(Solar Hydrothermal Reaction)】

 市販のソーラークッカーパラボラ(直径80cm)を利用して太陽光水熱反応を試みました。令和3年8月27日(甲府気象台の最高気温36.6℃)の9時から16時までの7時間の温度変化を図に示します。自動追尾装置が付いていないので、10~15分間隔で手動で追尾しました。この場合の平均温度は176℃でした。また、オートクレーブを写真のように黒色耐熱塗料で塗装しました。

 太陽光水熱反応では反応温度および反応時間が限られていますので、アワビの貝殻および廃ビンガラスの物質変換において一部適用できない場合がありましたが、ほとんど場合において適用することができました。自然エネルギーだけを用いた物質変換ですが、実用化には大型化と経済性が課題になるかと思います。

【最後に】

 本プロジェクトにご援助頂いた125万円のうち73万円を300mLのオートクレーブに使わせて頂き、残りを実験ための試薬や太陽光水熱反応のための温度計や耐熱黒色塗料などの消耗品の購入に使わせて頂きました。

 今後はアワビの貝殻および廃ビンガラスから合成されるアパタイトおよびトバモライトの利用法をさらに検討すると同時に太陽光水熱反応の可能性を研究していく予定です。

 本プロジェクトへの応援、誠にありがとうございました。

 

令和3年12月 

熊田伸弘

ギフト

10,000


人工水晶1個

人工水晶1個

■クリスタル科学研究センターで合成した人工水晶1個ご送付
■研究報告書ご送付
■寄附受領証明書
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寄付者
50人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年1月

30,000


alt

人工水晶2個

■クリスタル科学研究センターで合成した人工水晶2個ご送付
■研究報告書ご送付
■寄附受領証明書
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寄付者
5人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年1月

50,000


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人工水晶3個

■クリスタル科学研究センターで合成した人工水晶3個ご送付
■研究報告書ご送付
■寄附受領証明書
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寄付者
4人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年1月

100,000


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人工水晶5個

■クリスタル科学研究センターで合成した人工水晶5個ご送付
■研究報告書ご送付
■寄附受領証明書
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寄付者
1人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年1月

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