木曽三川の水との戦い

千年前、濃尾平野に人が住み着きました。専門用語で表現すると濃尾平野は主に「木曽川」によって出来た「氾濫原」です。

詳しくはWikipedia　「氾濫原」を参照してください。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%BE%E6%BF%AB%E5%8E%9F

江戸時代には名古屋城を守るために犬山から伊勢湾付近までの長い距離の堤防「御囲堤（おかこいつつみ）」が築堤されました。堤防は「自然堤防」と言われる自然に出来た堤があります。

それを活用しながらいくつもの堤防がつくらました。そのうちの一つ「幻の堤防」があります。

この写真は木曽三川分流工事に伴って川に沈められた「御囲堤」です。地図で行くとちょうどココ(川を横断しているのが見えますよね）

この堤防は5月頃の田植えが始まる時期でかつ大潮の時にしか見ることが出来ません。(ちょうど潮干狩りの出来る時間帯)

この堤防が水に沈んだ事で周辺にあった「御囲堤」は壊され、コンクリートの原料として使用されました。

濃尾平野は堆積平野です。木曽川の良質な「砂」が主成分の平野です。「砂は貴重で、海外では砂を巡って殺人事件まで発生した。」と聞きます。

濃尾平野には豊富な砂がありますが、その砂を掘ることはほぼ出来ません。なぜならその上には「家」が建っているからです。目の前に砂があるから砂はどこにでもあるから「ただ」だと思っていらっしゃる方もおられるようです。

ご自分の家をどけてその砂を売ることは出来ますか？

でも、御囲堤は洪水の心配がなくなったのでその堤の上に家を建てるために壊し、その砂が売られました。木曽三川の水との戦いは「終わった」と当時の人は思ったのでしょう。

しかし、そこに川がある限り「洪水」の戦いはなくなることはないと思いませんか？

近年のゲリラ豪雨などこれまでと違った気候症状が出ています。洪水も増えています。昔の人はどうやって「水との共存共栄」を考えたか。その一つの答えが【お代屋敷　水谷家】にあります。その屋敷を長きにわたって保存継承するのは私たちが未来の社会をになう人たちへのメッセージだと思います。

今では維持をするための腕を持った大工さんが減少しとても大変です。行政にはそれをサポートする能力がありません。多くの人の協力が必要な建物です。ご協力を大願します。