MITO-Porter活用の薬剤耐性癌治療の検証の成果報告ができました!

Journal of Pharmaceutical Sciences
Available online 4 May 2020
 

Mitochondrial delivery of an anticancer drug via systemic administration using a mitochondrial delivery system that inhibits the growth of drug-resistant cancer engrafted on mic

Yamada Y, Munechika R, Satrialdi, Kubota F, Sato Y, Sakurai Y, Harashima H.

|| 論文概要

本研究では、ミトコンドリア標的型ナノカプセル（MITO-Porter：マイトポーター）を基盤とした薬剤耐性癌に対する治療戦略を検証した。薬剤耐性癌を担持するモデル動物を用いた種々の検討を経て、抗癌剤を癌組織ミトコンドリアに送達する癌標的型MITO-Porterの構築に成功した。

癌の大きさを測定して治療効果を検証した結果、癌標的型MITO-Porter投与群は薬剤耐性癌の成長を著しく抑制する事が確認された。本研究は、MITO-Porterを基盤とする薬剤耐性癌治療戦略の有用性を示唆するものである。

|| 著者（山田勇磨）からのコメント

2002年に初めて研究に着手した時のテーマが「癌ミトコンドリアへの分子送達」でした。MITO-Porter（マイトポーター）を論文発表したのが2008年であり、ここまでに５年以上の時間を費やしました。それから、MITO-Porterを活用した癌治療の研究成果をいくつか論文発表し、その中には、薬剤耐性癌治療に関する研究成果も含まれていましたが、いずれも細胞実験の成果でした。

今回の論文報告で、初めて癌モデル動物を用いたMITO-Porterの研究成果を報告する事ができました。薬剤耐性癌治療のためにミトコンドリアを標的とする低分子抗癌剤を用いた研究はいくつか報告されていますが、ナノカプセル【リポソーム】を用いた報告は、今回の報告が世界初だと思います。実に、20年近い期間を経てようやく研究初期のテーマの原理検証ができたことになります（研究は本当に長い時間がかかります）。

さらに、医薬品開発には途方もない時間が必要になると思いますが、ここからは研究者だけではなく、企業、臨床家らとの連携で、一気に加速していきたいと思っています。その1つの手段として、クラウドファンディングで資金を募らせていただく挑戦を開始いたしました。

また、実験設備や企業のノウハウを学ぶ機会などが得られる「湘南アイパーク」の仕組みを活用し、資金だけでなく事業化のための多くのチャンスつかむことを目指しています。

今回の論文発表の研究は、「副作用の少ない癌治療を、ミトコンドリアに薬を運ぶ技術開発で！」を題する今回のプロジェクト研究を大きく加速するものであり、『ミトコンドリアを標的とする光線力学療法』（Lesson 9：光の科学-後編-ミトコンドリアを狙うPDT）に大きく貢献すると確信しています。

頂いたご支援を成果に変えて、必ず患者さんに届けたいという思いがあります。

どうか最終日の5月31日23:00まで、応援とご支援をよろしくお願いいたします。

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