元教師の"走る冒険家"高繁勝彦。世界5大陸4万キロ完走に挑む！

＊兵庫県豊岡市にある植村直己冒険館内にある「夢」

​
夢を追い続けていれば、時には辛く苦しい時期を過ごさねばならないのですが、それもあくまで夢追い人の通過儀礼と割り切ってしまいましょう。

 

夢が大きければ大きいほど、厳しい現実を目の当たりにすることは避けられないのですね。

 

「ＰＥＡＣＥ ＲＵＮ世界五大陸４万キロランニングの旅」、最初は軽い気持ちでスタートしたプロジェクト、いざ走り出してみれば「本当に生きている内に走り切れるのか？」「生きて帰って来れるのか？」と思わされることもしばしば。

 

２０１１年のアメリカ大陸横断は、半ば命賭けのチャレンジでした。死にそうな目に遭ったことも一度や二度ではありません。

 

熱波に見舞われた砂漠、強烈な紫外線と乾燥した空気、延々と続くロッキー山脈越え、単調な風景に何度も心が折れた大平原…膝が壊れそうな峠が続くアパラチア山脈…大陸での１３８日は毎日がサヴァイヴァルゲームだったのです。

 

何が何でも生きて帰らなければ…ただそう言い聞かせるばかりでした。

 

ゴールのニューヨークバッテリーパークが見えてきた瞬間、辛く苦しかった日々を振り返りながら「今この一瞬のために頑張ってきたのだ」と悟りました。

 

２０１３年のオーストラリア横断も然り。１２００キロ砂漠が続くナラボー平原、限られた水と食料でどこまで走れるのか？無理だったらやめよう…最初はそう思っていたものの、砂漠も中盤に入ってからは前に進むしかないという状況。気候は穏やかだったものの、毎日明けても暮れても同じ風景の中を走り続ける日々…単調すぎて気が狂ってしまいそうになったこともありました。

 

スタートから１６３日経ってシドニーオペラハウスでゴールしたあの瞬間は、記録よりも記憶に残る私の人生における最高の走りでもありました。

 

旅を終えて思ったのは「人生って、結局はこの一瞬の連続でしかない…ならば、この一瞬をとことん楽しもう」ということ。

 

何かひとつを極めるためには、とことんそれを好きになってしまうことなのですね。

 

そして、いつか、こんな自分になりたい…というイメージを普段から常に思い描いておくのです。

 

アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドを走っていて、苦境に立たされた時には、いつも４万キロのゴールを笑顔で迎える自分をイメージしていました。

 

そのゴールが一体いつ、どこになるのかはまだ分かりません。願わくば、あと５年以内に、南米のどこかでゴールできれば嬉しい限りです。

ちょうど３０年前、走り始めた当初は、自分が将来アドヴェンチャー・ランナーになるなんて思ってもみませんでした。今もって、なぜ「ＰＥＡＣＥ ＲＵＮ世界五大陸４万キロランニングの旅」を走っているのかがわからなくなることが時としてあります。

 

人生の転機はある日突然やってきます。それは、自らの決断で決まるもの。私の場合は６年前、教職にピリオドを打ち、日本縦断ランニングの旅にでたのがきっかけ。

 

なりたい自分がヒーロー／ヒロインだとすれば、なりたい自分になるべきなのです。

 

そうやって真の自分自身と出逢うこともまた冒険だと思います。

 

ひとつ叶えた夢が次の夢につながっています。それゆえに、ひとつふたつ夢を叶えたくらいで満足していてはもったいないのです。夢を叶えることにおいては人は貪欲であっていいのでしょう。

 

生きている限り、夢を見続けましょう。

 

叶えたい夢は一つまで…誰もそんな制限はしていません。

 

ひとつ夢を叶えても、また叶えたい夢を持てばいい。

 

夢はエンドレスであっていいのです。

 

私にとっては、見果てぬ夢を追いかけるのが人生、そして、人生は夢をかなえるためのステージ…

 

そのステージで華々しく輝ける自分になりましょう。

 

２０１３年のオーストラリア横断ランニングの旅…１２００キロもの砂漠が続くナラボー平原が夢をかなえるひとつのステージとなった。