プロジェクト終了報告
皆さまの大きなご支援で可能になったアオテアロア研修が、無事終了いたしましたので、ご報告いたします。皆さまには、改めて心からお礼を申し上げます。
予定通り2月2日に成田を出発し、翌日の日曜日は懐かしいマオリの仲間たちと再会、2日目から研修が始まりました。毎日の報告は「AAEP UPDATESアイヌ・マオリ交流情報」(http://aaexchangeactivity.blogspot.jp/)に掲載されていますので、ぜひご覧ください。
研修からはすでに帰国しましたが、今回の研修も大きな実りをもたらすものになるという実感が日ごとに強くなっています。第一回の研修では、マオリの人たちが成し遂げた復興の大きさと広がりに目を奪われました。今回の研修では、私たちの意識は、マオリの人たちの経験から学びながら、私たちアイヌが何をしなければならないのかという一点に向かっています。
ほぼ毎日、一日の活動が終わると話し合いが行われ、カウンターパートAMOの代表ベンサム・オーヒアさんのメッセージが私たちの心に鳴り響きました。「ビジョンと具体的な目標を掲げて前へ進め。」
「自分たちの民族の未来に向かってひたすら進め!」 なんという力強いメッセージでしょうか。未来に向かって進むには、私たちアイヌがいまあること、それはひとえに苦しい歴史のなかでアイヌの心を伝えてくれた先祖のお陰だということをいま改めて思い返しています。
伝統の地を離れて大都会で暮らすマオリのための都市マラエ(集会所)。マオリ復興のよりどころとなったワイタンギ条約締結を記念するワイタンギ・デー。土地戦争と呼ばれたニュージーランド戦争で多くの土地を没収されながら、和解協定によって土地の一部を回復し、部族復興を成し遂げたワイカト・タイヌイ部族の人たち。その彼らが部族とマオリ民族全体の発展を託して創設した部族大学院ワイカト・タイヌイ・カレッジ。土地没収(ラウパトゥ)の歴史を記憶にとどめ、部族大学院の設立を記念するためにラウパトゥ記念晩餐会。
ロトルアでは、本プロクラムの構想者、テ・ウルロア・フラヴェル前マオリ開発省大臣との再会と早速のアイヌの将来についての議論。テ・プイア博物館内にあるMACIマオリ美術工芸学校で彫刻、織物を学ぶために集まる全国若手のマオリたちや、地元のカパ・ハカ大会の準備をする老若男女たちとの出会い。さらに1980年代から継続される脱植民地化ワークショップの体験、2013年にテ・アタアランギを教えてくれたルアケレ・ホンドさんとの再会、アイヌとの交流を積極的に進めているムルパラのテ・クラ・モトゥハケ・オ・タフィーウアウ校では、アイヌ語の歌でも歓迎してくれました。マオリの人たちの歴史と愛の深さに触れる毎日でした。
力強い歩みをしてきたマオリの人たちですが、それでも、主流社会の人々の無理解、いまも続く人種差別、マオリ支援に対する政府の及び腰に心が砕けそうになることもあるとのことです。ここまで復興したマオリの人たちでさえそうです。私たちは彼らが立ち上がろうとした1970年代の状況にようやくたどり着ことうとしています。私たちの前には大きな困難が横たわっています。
でもアオテアロアの地で私は体のなかに先祖がよみがえっているような不思議な感覚にとらわれていました。先祖のスピリットが私を動かしていました。先祖こそが自分たちのアイデンティティだと固く信じるマオリの人たちと共にいたせいでしょう。研修に参加したアイヌの仲間たち一人ひとりがいまアイヌ民族の過去・現在・未来に思いをはせています。
マオリの人たちからもらった強い心で前に進みます!
今回の研修の内容を企画し、実現してくださったベンサム・オーヒアさんとパートナーのケイト・チェリントンさん、テ•ウルロア・フラヴェルさん、日々私たちを支えてくれた通訳・記録のサポーターたち、出会った多くのマオリの人たちの激励、そして何よりも皆さまの大きな支援への感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。
なお、「AAEP UPDATESアイヌ・マオリ交流)」情報(http://aaexchangeactivity.blogspot.jp/)や、こちらのreadyforの新着情報のページに、随時報告会や報告書についての情報をアップしていく予定です。ぜひご覧ください。
今度ともよろしくお願いします。