終了報告
こんにちは。新潟大学の山田宜永です。
ご寄附いただいた皆様に改めて感謝申し上げます。
2023年8月から進めてきたプロジェクト『胃の検診による牛の負担を減らしたい!新ルーメン検診法実現へ!!』が一旦の区切りということで、ここに終了報告を投稿させていただきます。
【研究開発の流れ】
- 牛に飲み込ませるカプセルの試作(開発済み)
- 牛の体外からカプセルと通信する機器・アンテナの試作(現在開発中)
- 牛の生体を使った実験 (上記2.の開発後に実験予定)
【研究開発の詳細】
- 牛に飲み込ませるカプセルの試作
カプセルの試作は次のような視点で設計、試作を行いました。
・生後間もない子牛でも飲み込めること
・ルーメン内にて消化の過程にある飼料と一緒に循環すること
・ルーメン内に長期間留置しても生体に悪影響を及ぼさないこと
・万が一破損した場合も牛に甚大な被害を及ぼさないこと
・この新しい健診方法が広く普及できるように低価格で提供できること
条件を満たすよう様々な材質を検討し、大きさや比重も満足できる試作品ができあがりました。

カプセルの設計と試作にご協力くださったのは福岡県にあるプラスチックの加工業者です。細かい依頼にも丁寧にご対応くださりありがとうございました。
- 牛の体外からカプセルと通信する機器・アンテナの試作
続いてはカプセルを牛の体外から見つけるための通信機器・アンテナの試作です。
通信機器・アンテナのポイントは以下の通りです。
・牛の生体に悪影響を及ぼさないこと
・通信距離は成牛の平均的な胴体幅である約70cmを目標とする
・正確にカプセルの位置を捕捉できること
牛だけでなく人体にも影響を与えない周波数帯の微弱な電波(電力)を検討し機器を設計、試作品の製作を行いました。
■試作一回目
第一回目の試作品完成は2023年10月です。
早速ラボで検証を始めたのですが非常に難航しました。

■試作二回目
早速、検証結果を基に新しい通信機器・アンテナの試作を開始しました。
完成は2024年の8月です。

現在はラボ内で検証を行っているところです。(写真上: アンテナ、写真下: 通信機器)アンテナの中心にある棒はアンテナをしっかりと対向させて検証するためのものであり本番時には不要です。
当初はアンテナを牛に着用するベストに埋め込むことをイメージしていましたが、今回の試作は少々大きいものになりました。今後、通信距離の課題がクリアできたら、アンテナの小型化などにも挑戦していきます。また、ベストに埋め込む方法ではなく、牛舎に設置したゲートの中にアンテナを埋め込みその間を牛に歩いてもらうといった案も出てきました。できるだけ牛に負担がかからず、また日常の飼養管理に容易に組み込めるようなものを目指します。
設計と試作は東京都に本社がある電子機器の試作業者が対応くださりました。今回の要件に合った通信機器・アンテナを一から設計いただき、また検証にも何度も足を運びアドバイスをいただきありがとうございます。
加えて、この新しい健診方法について特許の出願(特願2024-168006)を行いました。
現在は『2.』の牛の体外からカプセルの位置を検出する機器・アンテナの試作が終わり動作検証を行っています。残念ながら、まだ牛の生体を使った実験にはたどりついていません。今後、感度の高いセンサーの開発(約170万円)及び生体でのセンシングの確認(約20万円)を継続して実施していく予定にしています。
【収支報告】
皆様からご支援いただいた4,576,000円は次のとおり使用させていただきました。
牛に飲み込ませるカプセル型検査装置の試作 220,000円
牛の体外からカプセル型検査装置と通信する機器・アンテナの設計 495,000円
牛の体外からカプセル型検査装置と通信する機器・アンテナの試作(1) 495,000円
動物実験を行う牛の飼育にかかる費用 650,000円
READYFOR手数料 755,040円
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(計) 2,615,040円
残額の1,960,960円については、今後、感度の高いセンサーの開発及び生体でのセンシングの確認に使用させていただきます。
開発の進捗につきましては折を見てご報告いたしますので、完成まで温かく見守っていただけますと幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。




















