ナガオカケンメイが故郷・愛知県阿久比町に店舗d newsを開く挑戦

写真つきで同じ内容をnoteにもアップします。(ここにも写真がつけられるのかもしれませんが・・・・・わからなくて)

僕は栃木県益子町の「スターネット」によく通っていました。東京から車で2時間と少し。近くはありませんが「週末はスターネットに行こう」とその週の仕事を頑張れました。

最初から余談ですが、千葉に土地を買い、東京へ通うことを計画していたことがありました。東京に住むのは家賃的にも人の多さ的にも息苦しくなったのと、ネット環境次第では、今や、どこでも働けるとなったからです。岩手に住む両親と暮らすという目的もあり、縁あって千葉へ。そこで、まぁ、簡単に書くと建物を建てられない土地を買わされてしまい、最終的には裁判に・・・・・。

 

そんな土地になんと父がホームセンターで買った材料で家を建ててしまいました。そこをd&farmとして自社農園化していったのでした。(両親は電気、ガス、水道のないこの土地、この家になんと6年も住んでいました。

ここで強烈に学び、決心したこと。それは

「自分が住みたいところに家を建てるのではなく、
建ててほしい建築家の住む土地に建てる」でした。

一見、突飛な話に聞こえるかもしれませんが、長く住むということは、そこに文化的な香りが少しして、すぐに会える友人(ちょっと頑張っている)がいることは、とても重要だと思ったのです。

僕が富山県井波という町に通っているのも、井波の町が好きということ以外に、山川夫妻と田中夫妻という親友がいて、しかも、そこには井波彫刻という文化があり、程よい観光地であることから、田舎なのに、すこーしクリエイションの香りがして、居心地がいいのです。

 

井波に暮らす山川夫妻左奥と、田中夫妻右と、娘の夏ちゃん左手前

話がぐちゃぐちゃになってきましたが、阿久比に「d news」を作るポイント1は

1 ・文化度を少し上げる

です。「文化」とは「どうせやるなら、少しだけいいものにする」ということ。
どうせご飯を食べるなら、少しいい器で食べる。どうせ、飲むなら、少しいい店で飲む。それは高級とか、非日常とかではなく、日常の延長線上に置けるほどの「ちょっと」です。でも、普通に暮らしているとその「ちょっと」が出来ません。なかなか出来ない。そこに少しだけ「人の目」が入ることで、「頑張って見ようかな」と思う。

話を余談に戻します。笑

千葉でそう確信した僕は、大好きなスターネットのある「益子町」に引っ越す決意をします。東京には少し遠いですが、そもそも焼き物の産地には「変わった人」が多いことと、外からの人を受け入れてくれる文化があり、週末は混んでしまうスターネットの普段の平日に、のんびりコーヒーを飲めると思うと、ワクワクします。

 

スターネットには、馬場さんという店主がいて、建築的にも商品のセレクトのセンス的にも、全国的に見ても圧倒的なものがありました。半径数キロ圏内で作られたものしか食べない、とか、今の日本中で沸き起こっている「その土地で採れたもので豊かに楽しく、のんびりと暮らす」というスタイルを20年以上も前から高いクオリティで実践していた方で、スターネットに行くということは、「買い物に行く」ということと少し違う「程よい刺激」を求めにいくところがあり、馬場さんにいつか会いたい、話してみたい、と、みんなが憧れていました。

スターネットに10年程通い、馬場さんからも「ヨォ、元気カィ」と、声をかけてもらえるようになった頃でもあり、家を建てる相談をしました。すると、

「僕は実は病気で、ちょっと無理なので、弟子が静岡にいるから、彼に建ててもらってはどうかな」と言われました。
僕が今、静岡に住んでいるのは、このことがあったからです。

建築が始まり、馬場さんはガンで他界。弟子である「ケンブリッジの森」の藤原慎一郎さんと、人生初の家づくりに取り掛かりました。家が完成すると、信じられないことが起こりました。藤原さんも逝ってしまったのです。とても急でしたが、二人の想いを受け継いだ家として、大切に住んでいます。

 

千葉ではなく、静岡へ。今、考えると少しづつ愛知県に近づいていったのかもしれません。

スターネットは馬場さんがいなくなっても、しっかり文化発信拠点としてあり続けています。それは「そこに出入りする文化意識のあるお客さん」によって続いていると思うのです。

文化意識を少し持つと、同じような人たちが集まってきます。世界の情勢に詳しい人や、おしゃれな人。そういう人たちが「あれ、ないの?」とリクエストするものに応えていくだけでも、相当に文化度は上がります。

 

文化は静かに脈々とつくらないと積み上がっていきません。お金で作れるものでもない。しかし、それが少しづつ作られ始めると、ものの見かたが変わってきます。何気ない田舎の風景も、比較したり、その価値を教えてくれる文化人によって、「あぁ、自分が長く暮らす阿久比って、意外といいんだ」となっていく。そして、そういう人たちが出入りすることによって、「もうちょっと、ちゃんとしようか」となって、結果として「阿久比らしさってなんだろう」と考え始める。

 

隣町の半田市で、ある開発の話があり、ちょうど、阿久比に縁が戻ってきたので(僕は3歳から18歳までを阿久比町大字宮津字山田で過ごした知多っ子) その話に首を突っ込んだことがありました。
そこにスターバックスを誘致する。そう聞いてすぐに反対しました。知多半島に限らず、愛知県には素晴らしい焙煎家やコーヒー店があります。その「土地に根を張って、文化意識で少しでも美味しい、世界的に見ても引け劣らないものを提供できる店」があるのにです。

これは先ほど僕が書いた「お金で文化を手軽に買った」ことと同じだと思います。田舎に住むと、都会のものが輝いて見えます。しかし、そういうものがその土地に根付くでしょうか。
(余談ですが、そうした全国チェーン店の最近の戦略は、その土地の個性を取り込むことで、ユニクロは店に展示する服のモデルを地元の人で行っていたり・・・・と、いうことで、彼らも頑張って土地に根付こうとしている)

長く頑張っている文化的な人をみんなで支え、その人の文化意識から影響をたくさんもらって、じっくり日常の中で、自分を成長させていく。

そのほうが、みんなが知っている憧れのようなものが、突如現れても、そこには文化人は来ないでしょう。
僕が仮に文化人だと仮定して考えても、阿久比にファッションデザイナーの皆川明さんをお呼びしたとして、そのチェーン店でお茶は絶対にしないでしょう。その店が良くないという意味ではありません。

その店はどこにでもあるからです。

自分たちの土地らしい店で、全国的な水準を意識している場所。そういうところの個性を外から来た人に見せることで、その土地の意識を感じてもらう。d newsはまさにそこを目指そうと思っています。そして、同じような意識の場所や人と連携して、点で線を、そして面を作って少しづつ、少しづつ、阿久比の文化度をあげて行こうと考えています。

 

d newsには「ギャラリー」があります。様々なものやことを、外から、中から選び出し、僕の言葉で展示紹介します。全国的に知られているミュージシャンのライブも行います。

どうしてギャラリーが必要なのか。それはシンプルに「店やカフェに用事のない人でも、来るきっかけになる」からです。お隣の常滑焼作家の最新作の展示会や、沖縄の漆器作家の作品展示販売会。東京の荒物店の包丁研ぎや、阿久比の食材を使ってイタリアンのシェフに1週間だけの料理店をしてもらったり・・・・。
そこにいくといつも何か発見がある。それもギラギラとした都会的な非日常ではなく「阿久比の地に相性のいいもの」を探して引っ張ってきます。そのために僕や、チーム愛知のメンバーがいます。

岐阜の大好きなギャラリー「ももぐさ」が、新美株式会社の木綿を販売しているように、もちろん、「ももぐさ」さんとも、連携していきたいと思っています。二つ目のポイントは

2・連携していく

です。お隣三重県にも素晴らしい文化人や場所があります。やまほんギャラリーや陶芸家の内田鋼一さんなど、近くにいるからこその連携と、遠く中国やヨーロッパなど、様々なつながりから、阿久比に相性のいいこととつながっていきたいと思います。文化交流と少し似ていますが、しっかりと根を下ろしている場所と繋がり続けるイメージです。

 

そして、やりたいことの3つ目は

 

3・(阿久比らしさを整理して)生み出すこと

です。阿久比の人に阿久比のことを聞くと「ここには何もない」と言います。僕も町を紹介する時に「何にもない田舎」とよく表現します。
しかし、もうそう言い続けるのも逆に恥ずかしくなってきました。笑　実はそうではないと思い始めました。

 

それは「何もないようなもの」がたくさんあるからです。

「ある」のに「何もない」というそこを少し文化意識を持って持ち上げる。すると「阿久比には、・・・がある!」と、はっきり言えるようになります。点のようなものとして、色々と持ち上げていく。阿久比米も、知多木綿も、ワールドハットも、和菓子も、お酒も・・・・・。もう少し、全国レベルで整えていく。そして、世界レベルで何かそこから生み出していく。

 

阿久比は観光課もはっきり存在しないほどに、「外からの目線」を意識してはいませんが、別にそれはそれでいいと思います。それをまず「d news」でやって見ます。それを役場の人たちに見てもらおうと思っています。
町を変えようとか、そんなことは考えてはいませんが、結果、少しだけ文化の香りは漂わせたい。半田の、常滑の、名古屋の、犬山の・・・・文化の香りがする場所のように、ゆっくりじっくりやっていく。

それには、どうしても場所が必要です。
それがあるからこそ、そこにそうした意識の人たちが集える。

やがて、そういう人たちが泊りがけで来る日がきて、美味しいものと素敵な宿が作られる。滞在する理由や交流が起こり、自分たちの町を誇れるようになる。

それには、どうしても「阿久比らしい風景として残すべき建築物で」
そんな場所を生み出したい。
今回、貸して頂けることになった機織り工場跡でd newsを起こしたいのは、そういう理由です。

そして、そこには「適度の快適性」がやっぱり欲しいです。
都会の商業ビルのような快適さはもちろん望みませんが、夏の猛暑や、冬の寒さに対しては、やはり、景観を守りながら断熱や空調などを取り入れる必要があります。そこにやはり、お金がかなりかかります。しかし、実現したいです。

最後に、どうしてクラウドファンディングをしているのか、それをお話しして終わりにしたいと思います。4つめのポイントです。

 

4・町のみんなで町の機能を生み出す。


お隣の半田には、Sonyの盛田さんや、ミツカンさんがいます。僕は彼らが行ってきた「旦那文化」が大好きです。つまり、町に儲けさせてもらっている人や会社は、町にお金を使うべきだということ。

 

全国、どこに行っても国の、町の税金、予算をあてにしない、個としての旦那がいました。長野の小布施には枡一市村酒造所の市村さんが、北海道には六花亭製菓が、鹿児島にはまるやの玉川さんが、その土地で事業をしながら、その土地の文化度を上げるようなお金の使い方をしていました。
博多の明太子発案者の「ふくや」さんは、明太子の製造方法を惜しげも無く聞かれたら教え、結果として博多名物に育て上げました。

そんな大それたことはできませんが、そういう人たちへのリスペクトは持っています。
残念ながら、今は僕らdには、儲けるような商材はありません。そして、そうした旦那文化もいいのですが、僕はこれからは「自分の町に必要なものは、自分たちの町への関心度で、集めて生み出す」方がいいと思っています。
僕が銀行に行ってお金を一人で借りてきて、d newsを阿久比に作ることはできます。しかし、あえて「あの場所にそういうものがあった方が、未来にとっていいのではないか」と、思う人々が、少しづつでも出し合って、「自分も設立に加わる」という気持ちが、町を育てていくのではと思うのです。

d news aichi aguiは、立ち上がりにお金が必要で、立ち上がってからも、しばらく赤字が続くと予想されます。なぜなら、「まだ、商売に結びつけられるほどのオリジナル商材がない」からです。それでも、ギリギリ、やっていくことはできると思います。

まずは、離陸する。

低空飛行をしながら、阿久比という土地を観察し、興味のある意識の高い人たちと交流し、一つ一つ「阿久比らしいいいもの」を作っていく。そして、それを阿久比を中心に、全国のD&DEPARTMENTなどで販売して収益を作っていく。そしてそれを次の阿久比に投資する。そんなことを考えてのクラウドファンディングです。

 

大変話が長くなりましたが、僕の思いが伝わればいいなぁ、と、思います。
d news aichi aguiの実現は、阿久比町だけのことではないと思います。
全国のあなたの町でも、「ああいうやり方で、私たち、僕たちも場所を産める!!」と、思える実例になるよう、経過をなるべく細やかに報告して進みます。

 

12月25日の23時までに15,000,000円。集まらなかったら0です。
今日11月8日現在、65人の支援者により、達成率15パーセントの2,265,000円が集まっています。11月いっぱいで、半分までいけたら、勢いがつくと思っています。最後にお金の話で恐縮ですが、皆さんの応援参加で、実現したいと思っています。

引き続き、応援よろしくお願いします。


d news aichi agui
ナガオカケンメイ・チーム愛知一同