1960年代に、私は兄のべルナールと共に、最初の音響彫刻の制作を開始しました。私たちが、第一に関心を寄せ たのは、形と音の融合でした。そのコンセプトに端を発し、芸術的な側面を第一に、私たちは音響の物理的な疑問に取り組みました。そして、 どのような物質が音を発するのに適し、どのような形が音響効果を最大化するのかを発見するにいたりました。

 

新しい音響パター ンを持った、素晴らしい楽器ができました。吹くことができ、しっかりと音の鳴るゴム製のギターが完成したときの驚きは 忘れられません。

 

 私たちは個性的な楽器を発展させるため、前衛的なオーケストラを結成しました。一風変わった作品は、耳慣れない音の可能性とマッチしました。そして、世界中をツアーで回りました。

 

その後、動力学を取り入れるようになりました。水、風、そして手動力が音響彫刻に動きをもたらし、操作された音、偶 然の音といった、信じられないほど多様な音からなる、音の絵画を生み出しました。

   

 音響彫刻が進化するにつれて、アート市場から注目を集めるようになりました。ニューヨーク、パリ、ケルン、そしてヨー ロッパの中心であり、私たちの「蓮の音噴水」が展示されているベルリンをはじめとする、様々な都市において展示されました。

     

私たちの作品は、決して自己表現のためのものではありません。常に教育的な要求を優先してきました。また、私たちの作品に「手を触れないで下さい」という表示を行ったことも一度もありません。

       

しかし反対に! 現在の私たちの活動は、自らの挑戦と、聴覚の可能性を中心においています。 

 

本書には、私が何年もの間取り組んできた活動を通して集めてきた、有益なノウハウが沢山詰まっており、教育者、 学生、職人、芸術家、素人、経験豊富なデザイナー、そしてなによりも、若い読者に向けて書きました。

     

音響現象を説明する理論的な情報、主に、簡単な素材から自身の音響彫刻を作るための、重要なアドバイスが記さ れます。なかでも、水を動力とする彫刻への手引きに重点を置いています。     これは、私が特に気に入っている分野です。私は、音響彫刻に興味を持っている人たちと共にこのような音の泉を創るために、何年ものあいだ、ヨーロッパ中でワークショップを行ってきました。

   

私の文章を独創的なイラストによって表現してくださった、アラン・ヴィルミノ氏と一緒に仕事ができたことを、特に幸運に思います。皮肉交じりに描かれた彼のイラストは、論点の理解を容易にしてくれます。彼のジョークを消してしまわないように、イラストに添えられたコメントは、フランス語のままにしておきました。

 

全ての音響彫刻の制作者に、自由に制作し、実験に挑戦するようにアドバイスしたいと思います。単純な真似事以上に退屈なものはありません。独創性のみが、有効な解決策を保証してくれます。そのため、本書で示されている例は、それぞれの個性の基盤となるような、1つの示唆として受け取って下さることを望みます。

   

想像力を持って! 

 

               

 1992年 12月 パリ フランソワ・バシェ  翻訳・恵谷隆英