「10年後、20年後を考えて人づくりをしなきゃダメなんだ」

 

 東日本大震災の大津波で甚大な被害を受けた、宮富士工業の後藤社長の言葉です。多くの企業が会社や工場再建、本業の復活に奔走し、産業の担い手不足という課題が震災前よりも顕在化しました。そんな中、何十年も前から人材育成の大切を訴え、実践してきた後藤社長。

 震災から3年経ったある日、当団体で志教育(キャリア教育)の支援を行っていた小学校であることを聞きました。

 「GE発明家プロジェクトで子ども達が考えたアイディアが、全国で優秀賞を取ったんです」と。

 それは、四季折々の仕掛けがされた『夢のゴミ箱』。まち歩きをして、ゴミが多いと感じた6年生が考えた春・夏・秋・冬で、光ったり、しゃべったり、ゴミを捨てたくなるゴミ箱です。その話を聞いた私は、高校生の育成事業でお世話になっていた県の事業担当者と後藤社長に相談させていただきました。

 

 「子ども達の夢を叶えてやっちゃ。大人が本気で子どもの夢を応援するって

  大事だ。大人だったいくつになったって、夢を持つって必要なんだ」と。

 

子ども達が社長へプレゼンをしました。1枚の絵から設計図にし、紙で組み立ててみて、そこから図面を書き、金属をレーザーカッターで切ってから専用の機械で曲げ、溶接して組み立て、ペンキを塗って繋ぎあわせる。金属溶接会社のプロの技術が凝縮されています。

さらには、後藤社長のご紹介で、同じく被災され甚大な被害を受けられたマイコンの会社の社長をご紹介いただき、ゴミを入れると光ったり、声を出したりするソフトの部分を作っていただきました。

子ども達が卒業する前の1ヶ月間という短期間に、忙しい業務の合間に、なんと3体ものゴミ箱を完成していただきました。

 

  ゴミを入れると

   桜の花びらがピカピカ光る「春」のゴミ箱

   おにぎりくんの目が光る「秋」のゴミ箱

   口からゴミを入れると雪だるまの目が光る「冬」のゴミ箱

 

卒業前の授業で、ゴミ箱の贈呈式を行いました。

まさか、自分たちのアイディアが形になるなんて。

子ども達の驚きようと言ったら、、、、、

 

その時に、代表児童3名が、ゴミ箱を捨てた時に流れる「声」を録音しました。ゴミを捨ててくれた人へ、思いを込めて感謝の言葉。

その後、石巻のイオンで展示・実演しましたが、本当に小さい子ども達が次々とペットボトルを自ら捨ててくれました。

6年生が考えたアイディアが、まさに実現したのです。

 

地域の子ども達を、地域の大人が協力して育てる「協働教育」です。

震災後、宮城県で力を入れている教育のあり方です。

 

今回、それを支えて下さったのが、宮富士工業の後藤社長です。

ほぼ、ボランティアで仕事の合間を縫って、子ども達の夢を本気で応援してくださいました。まさに有言実行。

 

後藤社長の教育、人材育成の思いは、誰よりも熱く、そして優しい心と眼差しです。

子ども達だけでなく、私も、先生方も、出会った大人誰もが、その言葉に感動し、涙を流します。

 

石巻には、そんな魅力的な大人がいるんだ。

石巻には、日本に誇れる素晴らしい企業があるんだ。

 

被災して多くのものを失い、傷ついたからこそ、地元を誇りに思い、夢や未来への希望を持ってほしい。

 

そんな思いを受け止め、キャリア教育コーディネーターとして、

「モノづくりの楽しさ」を知るプログラムを開発することになったのです。