シャチとヒトが共に生きる未来のために。知床・釧路の調査を拡充
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寄付総額

3,520,000

目標金額 2,500,000円

寄付者
265人
募集終了日
2023年1月31日

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2023年01月17日 19:02

バイオロギングと発信器の話

ご支援者の皆様,おかげさまでもうすぐ80%に到達しそうです!ありがとうございます!!あと2週間,どうぞよろしくお願いいたします!

 

今日は私たち,海獣班が用いている手法の一つ,バイオロギングについて紹介します.

 

バイオロギングというのは「Bio(生物)」+「Logging(記録する)」という二つの単語を使った造語で,「電子センサー搭載の小型記録計(データロガー )を動物に装着し,彼らの動きや行動,周囲の環境,生理状態を野外で計測すること」という定義があります.

 

バイオロギングの他にバイオテレメトリー(「Bio(生物)」+「Tele(遠隔)」+「Metry(測定)」)という言葉もあって,機器が発信することにより,遠隔でデータを受け取れるもの,音響発信器や電波発信器,衛星発信器,と呼ばれるものがこちらの言葉で示されることもあります.

 

音響発信器や電波発信器では,その時の深度や水温などの情報を音波や電波に載せて発信できる機器もありますが(最近,体温データをスマホに音波で発信する体温計が発売されているそうです!),「記録する」という機能を持っていないものも多く,ただ,それ故に記録媒体などを必要としないために小型化されているものも多いです.

 

ゼニガタアザラシに装着した音波発信機.頭と腰にあるワッペンは,遠くからでも個体識別できるように貼ってある.

 

 

 

最近,私たちがゴマフアザラシに装着したのは,バイオロギングとバイオテレメトリーのハイブリッドで,「電子センサー(水温,塩分,深度[圧力])搭載で,個体が経験する環境を記録しつつ,そのデータを圧縮して衛星まで発信する機器」です.

 

 

衛星発信器.シャチの背鰭に装着するタイプ(発信のみ.左)とアザラシの毛皮に装着するタイプ(水温,塩分,深度を記録して発信.右)

 

 

 

ちなみに,衛星発信器とは個体に装着した発信器から,電波を衛星まで飛ばし,ドップラー効果によって個体の位置を特定するというものです.

 

(私は高校時代,物理がとても苦手で,ドップラー効果のところで脱落しました・・・.そのドップラー効果に,海棲哺乳類の研究を始めてから再会することになるとは・・・.みなさん,勉強が全く役に立たないわけではありません!)

 

 

 

ゴマフアザラシに装着した衛星発信器の説明(海獣班D1のLさんが描きました)

 

さて,この衛星発信器のニュースが流れたり,講義で写真を見せたりすると,いくつかの反応があります.

 

1.大きくて負担なのでは?

 

バイオロギングでは,体重の5%未満であれば許容される,というのが言われています(小学校1〜3年生が持っているランドセルは体重の15%だそうです・・・).

もちろん,小さければ小さいほど,個体に負担ではないので,なるべく小さいものをとは思うのですが,地球上空,高度800kmを周回している衛星まで電波を飛ばす,というのは電力が必要なので,大きな電池が必要なのです.電池さえ小さくなれば,小さくできます.

 

2.音波発信器は小さいのだから,それを使えば?

 

音波発信器はとても小さいのですが,その音波を拾うには水中に受信機を設置する必要があります.そして水中だと400mくらいしか届かず,広く回遊する生物の動きを全て追うのは不可能なのです.

 

3.AirTag使えばいいのでは?

 

これを質問された時,あれ?と思いました.そこでTwitterで質問してみました.

 

 

 

 

 

そうか!海水中では電波が届かないことを知らない方も多いのですね!ですよね〜.泳いでいるアザラシに「どこいる?GPSでいる場所送って!」と電話できれば楽なのですが・・・.(海水中ではスマホの電波が数cmしか届かない!などなど,KDDIの研究者の方が解説してくださっています)

 

AirTagは10m範囲内に誰かのiPhoneがあれば,それを中継地点として位置がわかるのです.かたや海棲哺乳類用の衛星発信器,10m以内に誰かのiPhoneがあるわけはなく,800km離れている衛星に電波を飛ばす必要があり,電波を発してもその時間に衛星が上空を通っていなければ,位置がわからないのです.

 

実は衛星発信器,アザラシが海面にいるときにのみ,電波を発信します.海水中だと電波を発信しても届かないので,オフになっているんです.それでもあんなに電池が必要なのです・・・.

 

このシステム,ご理解いただければ幸いです.そして将来的には,電池の革命が起こって,海棲哺乳類に負担なく調査ができることを期待しております.

 

 

 

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