【3.11から12年】ハードからハートへ 災害大国日本に伝承の力を

岩手県釜石市の高校生有志による防災活動グループ「夢団～未来へつなげるONE TEAM～」。東日本大震災で大きな被害を受けた釜石を拠点に、地域内外の人々に向けて、防災について考えるイベントや「かたりべ」の活動を続けています。夢団は、震災の経験を後世につなぐ若者発のプロジェクトで、このたび、その活動をサポートしている三陸ひとつなぎ自然学校の伊藤聡さんからメッセージをお寄せいただきました。

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「防災教育」の枠を超えて生きる力を育む

「夢団～未来へつなげるONE TEAM～」は、東日本大震災から8年以上のときを経て、2020年1月に結成されました。震災後、釜石に復興スタジアムが設立され、2019年のラグビーワールドカップ（Ｗ杯）の会場となりましたが、その時、高校生たちが「震災の教訓と復興支援への感謝を伝えたい」と防災啓発活動を開始。継続的な活動をしたいと団体を立ち上げました。

スタジアムには施設内に「あなたも逃げて」と書かれた祈念碑があります。高校生たちはその碑の前に立って、オリジナルの「安否札」や「津波伝承うちわ」を配布しながら、東日本大震災の経験を伝え、災害への備えの大切さを呼び掛ける活動を続けています。ラグビーを観戦しに来た皆さんは、高校生たちの声に耳を傾け、足を止めて聞いてくれました。

高校生たちの取り組みは、釜石市内にとどまらず、広く外へ発信する取り組みへと発展しています。2021年、釜石で開催された「ぼうさいこくたい2021」で登壇したほか、2022年には横浜の高校生たちの誘致を受けて、横浜で震災の経験や防災の大切さを伝えました。

活動に携わっている高校生の多くは、当時、保育施設や小学校に通っていて、津波で家を流されたり、目の前で大切な人を失ったり、大変な苦労をしてきた子もいます。他方、内陸部に住んでいて、震災当時の状況についてあまり知らなかったという子も一緒に活動しています。「高校で一緒になった沿岸部の同級生と会うまで311のことをあまり知らなかった。被災者の立場で語ることはできないけれど、自分にもできることがあるはず」と、葛藤を抱えながら備える大切さを学び発信しています。

3.11のあの日から時間が経ち、当然のことながら、これからますます災害を知らない世代が増えていきます。そんな中、夢団の高校生たちの取り組みは、教訓を後世につないでいくモデルにもなり得る活動です。どうすれば命を守る行動をうながすか、調べたり考えたり話し合ったりする過程で、単なる「防災教育」の枠を超えて、地域の人とつながり、地域の未来を考えるようになり、この社会を生き抜く力を育むことにもつながっています。

Civic Forceとともに「伝承」の取り組みを続けている東北各地の皆さんを応援しています！伝承や防災の取り組みを通じて、「このまちが好き」「みんなのために動きたい」という意欲ある若者を育てていきましょう！