私の活動拠点である山形県鶴岡市は、羽黒山・月山・湯殿山を中心とした修験道の文化が今も息づいている街です。

羽黒山の麓、手向(とうげ)地区の羽黒山伏・星野文紘さんは、宿坊を営みながら、全国各地でトークイベントやワークショップを行うなど、出羽三山の山伏文化を各地で発信しています。実は、「やまがた自然エネルギーネットワーク」設立総会のトークイベントにてご一緒させていただきいた経緯がございます。著書「感じるままに生きなさい−山伏の流儀」(さくら舎)を出版され、山伏文化がより一層注目をされていくことでしょう。

 先日、この本の出版を祝う集まりがあり、その時に星野さんとこの映画についてお話することができました。

 

「山形自然エネルギーネットワーク」設立総会トークイベントの様子

 

 

 星野さんの宿坊では毎年「山伏修行体験」が行われていて、全国からたくさんの人々が集います。私も、数年前にこの修行に参加したことがありますが、そこで出会った人々は、年齢も職業も様々ですが、社会の中で何か新しい価値を探し求めている人が多いという印象でした。みなさん、経済性や合理性を求めるあまり、現代人が失ったしまった感性や自然さを取り戻す手がかりが「山の思想」の中にあると感じているようでした。

 山伏の思想の根底には、命の源である水や、食料などの恵みをあたえてくれる自然への感謝の念があります。こうした心のありかたが、この「おだやかな革命」で描こうとしている持続可能で幸せな地域のあり方と根底で通じるものがたくさんあると感じています。

 

星野さんも映画の賛同人になっていただきました

 

 今回の映画の取材地のひとつ岐阜県郡上市にある石徹白地区は、「白山信仰」の登り口として栄え、「1日に登り1000人、下り1000人」と言われるほど大勢の人が訪れたた地域です。今でも白山中居神社の周辺では豊かな水源を象徴する美しい滝や、1000年以上も人々の営みを見つめ続けてきた石徹白大杉など、山岳信仰の里としての面影が今もあちこちにあります。自然を敬う心を持った人々が作りあげてきた地域の文化が現在にも受け継がれていると感じています。石徹白の小水力発電に使用されている用水路は、昔の人々が地域に農業用水を引くために世代を超えて修繕をしながら大切に受け継がれてきたものです。自然への感謝の心や、先人たちを敬う気持ちが礎となって、再生可能エネルギー事業が立ち上がったということはとても象徴的な出来事だと思います。

 

白山中居神社

 

 

石徹白に行く峠の途中にある「八反滝」
石徹白大杉

 

 

小学校の閉校が危ぶまれるなか、石徹白地区100世帯が全戸出資で動き出した小水力発電事業
 

石徹白の小水力発電の立ち上げに寄与した平野彰秀さんは言います。「”先人の想いを未来につなぐ”という言葉を使っているのですが、これまで地域の将来のために先人は力をあわせて数々の事業をやってきた、戦後は勤めの人が増えて、お金でなんでも解決時代になっていくようになった、役所に要望すればなんとかやってくれた時代があった、そういったなかで自分たちで解決するということが薄れて行った。だから今回の事業は、もう一度自分たちで力をあわせて、自分たちの将来のために力をあわせてやっていくことのきっかけになるはずです。」

東京の外資系のコンサルティング会社を辞めて、石徹白に夫婦で移住を決めた

 

 

 

売電収益で農村振興を進めるために立ち上がった小水力発電事業は全国から注目を集めている

 

私の故郷にある出羽三山神社に多くの若者が訪れ、山伏修行体験をする様子を見ると、場所は違えども、各地域に根ざした自然を敬い、慈しむ文化が各地域で見直されていると思います。星野さんも「山伏は、人と人とつなぐ存在、人と自然をつなぐ存在」という言葉をよくおっしゃいます。現代は、自然との関係性を見つめ直して、結び直して行く時代だとも言えます。現代のテクノロジーである再生可能エネルギーと、地域の暮らしの中で培われてきた文化が結びつくことで、本質的な意味において地域再生へとつながっていくのだと思います。

そんな未来を作るために、私もこの映画を通じて人と人をつなぐ役割を担いながら、各地で「おだやかな革命」が広がっていくよう精進していきたいと思います。

 

新着情報一覧へ