自らの体験が、今、病と闘う誰かの心にそっと寄り添い、前を向く力となりますように。

1996年、突然、全身の激しい痛みに襲われ、リウマチを発症しました。

2002年には鎮痛薬によるアナフィラキシーショック（狭心症）を起こし、それ以降、痛み止めは一切使用できなくなります。2007年には線維筋痛症を発症し、さらに2015年には、すべての薬にアレルギー反応でけいれん発作起こし、使える薬がなく、寝たきりの状態に。刺繍を続けるどころか、日常生活さえままならなくなりました。

なんとか、入院することができ、使える薬が見つかり、起き上がることはできるようになりましたが、もう以前のように動くことも、刺繍をすることも無理かもしれない――そう諦めかけたとき、奇跡が起こりました。

主治医の協力のもと医療機器メーカーが開発した医療機器として認可された「ait」と出会い、治療を開始。副作用のないこの「ait」を毎日使い続けることで、少しずつ体が回復し、再び刺繍ができるまでに。

2018年、日本橋コレドの「ちばぎんひまわりギャラリー」で個展を開催。ご来場くださった桂由美先生より「いつかコラボを」と温かいお言葉をいただき、翌年には、パリ・東京コレクションのドレスに立体刺繍を施すという夢のようなご依頼が実現しました。

2019年、3点の衣装に立体刺繍を提供し、「ait」とともに10時間を超えるフライトでパリへ。フィッティングもランウェイ鑑賞も無事にこなすことができたのは、まさに奇跡としか言いようがありません。

桂由美先生をはじめ、医療関係者の皆さま、そして支えてくださったすべての方々に、心より感謝申し上げます。

なんて面白い人生なんでしょう！

病とともに歩んだからこそ生まれた技術と想い

リウマチという病の中でも、「痛いからできないのではなく、痛いからこそ続けてきた」と信じて、針を握り続け来たので、指の変形はしていません。奇跡です。

自らの体験が、いま病と闘う誰かの心にそっと寄り添い、前を向く力となりますように