膵がんを代表とする難治がんに対する治療法の開発を進めるために

膵がんを代表とする難治がんに対する治療法の開発を進めるために

寄付総額

21,966,000

目標金額 20,000,000円

寄付者
535人
募集終了日
2022年4月22日

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2024年04月02日 17:33

膵がんを代表とする難治がんに対する治療法開発を進めるために

クラウドファンディングプロジェクトを終了する時期となりましたので。その事業内容につきまして以下ご報告申し上げます。なお、最後のお礼の項にもありますように、プロジェクト自体は臨床治験にむけて今後も継続致しますことを申し添えます。

 

プロジェクトの経過

プロジェクトリーダーの発見したVasohibin-2(VASH2)を分子標的とする新しいがん治療法の開発を進めました。具体的な治療法は、(1)抗体医薬としてのVASH2ペプチドワクチン、(2)核酸医薬としてのVASH2標的修飾型アンチセンスオリゴヌクレオチド、(3)VASH2阻害低分子化合物の3タイプです。

 

(1)VASH2ペプチドワクチン

VASH2分子についてBepiPredを用いてB細胞エピトープの可能性が最も高い2箇所の領域を選出、ヒトとマウスとで同一配列で、しかもVASH1とは配列の全く異なる10アミノ酸からなるペプチドをキャリアータンパクのKLHとコンジュゲイトしてペプチドワクチンとし、アジュバントとともに2週間間隔で2回皮下注射して効果を検証したところ、N末端側に位置するペプチドにおいて、がん細胞の上皮間葉転換を阻害して転移を阻止する効果があることが確認されました

そこで本ワクチンについて、マウス膵がん細胞同所移植モデルにおける効果を検証しました。膵がん細胞移植後1日目と15日目にワクチンを皮下注、35日目に抗体価と治療効果を評価しました。ワクチン投与により、膵がんの遠隔転移は有意に抑制された、その転移抑制効果は抗体価の上昇と相関しました。なお、移植腫瘍内の血管新生と腫瘍発育、ならびに腫瘍組織へのCD8陽性細胞の浸潤には有意の変化は認められませんでした。

 

(2)VASH2標的修飾型アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)

VASH2a-tubulin C末端チロシン残基を脱チロシン化するtubulin carboxypeptidase (TCP)活性を有するトランスグルタミナーゼ様構造が同定されました。そこで、このドメインをコードするエキソン(ヒトでは第7エキソン、マウスでは第6エキソン)を標的とし、ヒトおよびマウスとで同一の塩基配列で、効果的にVASH2をノックダウンできる最適の塩基配列を決定して2',4'-BNA/LNA修飾型ASOを作成しました。この修飾によりASOの特異性と安定性は向上し、キャリアーの無いnakedの状態で全身投与してもノックダウン効果を2〜3日間維持できることが実証されました。

そこで本ASOについて、マウス膵がん細胞同所移植モデルにおける効果を検証しました。膵がん細胞移植後8日目から3〜4日のインターバルでVASH2標的修飾型ASOの腹腔内投与を繰り返し、移植後35日目に治療効果を評価しました。その結果、膵がんの遠隔転移は有意に抑制されました。加えて、腫瘍血管新生の抑制、腫瘍血管の正常化、および移植腫瘍の発育の軽度ながら有意の抑制が確認されました。さらに腫瘍組織へのCD8陽性細胞の浸潤を検討したところ、特に転移腫瘍組織において有意に増加が確認されました。

 

(3)VASH2阻害低分子化合物

経口薬・注射薬の開発を可能とする取り組みとしてVASH2の作用を阻害する低分子化合物を探索しました。プロジェクトリーダーはVasohibinと細胞内で結合してその安定性と細胞外への分泌を可能とするsmall vasohibin binding protein(SVBP)の発見しています。そこでNanoBiTシステムを用いて低分子ライブラーからVASH2とSVBPの結合を抑制する化合物をハイスループット探索し、得られた化合物について細胞毒性と関係なくVASH2活性を阻害できるものを選択、さらにVASH1に対する作用についても検討して、VASH2を選択的に阻害できる低分子化合物を取得し、東北大学知財部よりdirect PCTで特許出願しました。

 

これらの成果は、東北大学未来科学技術共同研究センターでの5年間の特任研究期間、とりわけクラウドファンディング寄附金を活用した最後の2年間に完成させたものであり、本研究に対する未来科学技術共同研究センターからの最終評価(総合評価)は以下の通りでした。

「長らく沈黙の臓器と言われていた膵臓の悪性・難治性のがんにおけるVASH2分子の分析がなされ、治療標的となり得ることを科学的に実証して新たな治療法の可能性を示した優れた研究成果であると評価される。今後は新産業分野創出に向けて、更に優れた研究成果を創出していくことが期待される。」

 

寄附金の使途

寄附総額21,966,000円のうち、東北大学基金を通じて研究室に配分された寄附金は16,145,010円であり、使途の内訳は以下の通りでした。

人件費:15,410,371円

研究費:514,639円

広告費:220,000円

 

ご寄付くださいました皆様へのお礼

この度はクラウドファンディングにご寄附くださいまして誠に有難うございました。本プロジェクトは東北大学加齢医学研究所定年退職後の未来科学技術共同研究センターでの特任研究ということで、研究活動の全てを外部資金で賄う必要があり、丁度人件費のための資金が枯渇しそうな時期でのクラウドファンディング事業でした。まさにこのクラウドファンディングに救って頂き、研究を遂行することができました。皆様のご厚情に心よりお礼申し上げます。

5年間の特任研究期間を終え本年3月末をもって東北大学を退職しますが、民間企業との出会いがあり、VASH2ペプチドワクチンについて臨床導入に向けた開発を進めることが決まりました。ワクチンは、一度抗体価を上げると、以後はブースターを追加するだけで効果を維持できますので、特にがんの再発・転移の予防に有用と考えています。順調に進めば、2〜3年後には臨床治験を実施できるものと見込んでいます。ご寄附くださいました皆様に1日も早く吉報をお届けできますよう、今後とも励んで参ります。

                                          佐藤靖史

ギフト

3,000


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3000|寄付コース

・お礼状
・寄附金領収証明書
・ご芳名を東北大基金HPに掲載(ご希望の方のみ)


▽寄附金領収証明書
2022年7月末までに送付します。領収書の日付は東北大学に入金がある2022年6月の日付になります。

寄付者
164人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2022年7月

10,000


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10000|寄付コース

・お礼状
・寄附金領収証明書
・ご芳名を東北大基金HPに掲載(ご希望の方のみ)


▽寄附金領収証明書
2022年7月末までに送付します。領収書の日付は東北大学に入金がある2022年6月の日付になります。

寄付者
204人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2022年7月

30,000


alt

30000|寄付コース

・お礼状
・寄附金領収証明書
・ご芳名を東北大基金HPに掲載(ご希望の方のみ)


▽寄附金領収証明書
2022年7月末までに送付します。領収書の日付は東北大学に入金がある2022年6月の日付になります。

寄付者
54人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2022年7月

50,000


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50000|寄付コース

・お礼状
・寄附金領収証明書
・ご芳名を東北大基金HPに掲載(ご希望の方のみ)


▽寄附金領収証明書
2022年7月末までに送付します。領収書の日付は東北大学に入金がある2022年6月の日付になります。

寄付者
39人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2022年7月

100,000


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100000|寄付コース

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▽寄附金領収証明書
2022年7月末までに送付します。領収書の日付は東北大学に入金がある2022年6月の日付になります。

寄付者
59人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2022年7月

300,000


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300000|寄付コース

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▽寄附金領収証明書
2022年7月末までに送付します。領収書の日付は東北大学に入金がある2022年6月の日付になります。

寄付者
4人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2022年7月

500,000


alt

500000|寄付コース

・お礼状
・寄附金領収証明書
・ご芳名を東北大基金HPに掲載(ご希望の方のみ)


▽寄附金領収証明書
2022年7月末までに送付します。領収書の日付は東北大学に入金がある2022年6月の日付になります。

寄付者
5人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2022年7月

1,000,000


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1000000|寄付コース

・お礼状
・寄附金領収証明書
・ご芳名を東北大基金HPに掲載(ご希望の方のみ)


▽寄附金領収証明書
2022年7月末までに送付します。領収書の日付は東北大学に入金がある2022年6月の日付になります。

寄付者
6人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2022年7月

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