Withコロナ！地域医療と先進医療の要を育てる|東北大病院・医学部

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さて、本日は、東北大学病院初期臨床研修医2年目の渡邊大海医師とプロジェクトの実施担当者の荒田による対談をご紹介いたします。

 

 

｜オープンキャンパスに力を入れた学生時代

荒田：東北大学病院初期臨床研修医2年目の渡邊大海先生です。自己紹介を簡単にお願いします。

 

渡邊：東北大学病院初期臨床研修医2年目の渡邊大海です。県内各地での研修を回ったのちに、改めて大学に戻ってきて、現在は救急科に配属しています。

 

荒田：2年間の初期研修修了後の進路は決まっていますでしょうか。

渡邊：はい、石巻赤十字病院の外科プログラムです。今後は外科医としてやっていきます。

 

 

荒田：先生のご略歴を教えてください。

 

渡邊：福島出身で福島高校から東北大学医学部に入学し、2019年に医学部を卒業しました。大学時代は、部活動にも力を入れていました。初期研修では、石巻赤十字病院や気仙沼市立病院等での研修にも行かせてもらうことができました。

 

そういった「たすきがけ研修*」の良さを踏まえて大学を選んでいたので、非常に有意義な2年間を過ごすことができました。

 

*たすきがけ研修：東北大学病院に採用されながら、地域に所在する東北大学の関連病院で一定期間研修を受けることのできるシステム。大学病院での高度医療だけでなく、地域医療や一般的な疾患を豊富に経験することができる。

 

荒田：ありがとうございます。先生の学生時代は、スキルスラボをどのように活用していましたか？

渡邊：OSCE（全国共通の医療技術試験）とか実習で使うことが多かったと思いますが、私としては、オープンキャンパスに非常に思い出があります。

 

医学部のオープンキャンパスでは、人気のブースの一つにスキルスラボでの手技体験があります。医学生が高校生達に手技を指導するのですが、その事前準備では、指導医の先生方から直接手技を教わる機会もありましたので、私は外科医志望ということもあり、手技を学びたくて、オープンキャンパスのスタッフに立候補して積極的に参加していました。

 

自分も教わり、かつ見学にきた高校生達に教えてという経験は、自分のスキルアップにつながったと思います。

 

 

荒田：手技体験のブースで行った手技はどのようなものでしたか？

 

渡邊：聴診、血圧測定、縫合、腹腔鏡下手術手技、内視鏡、挿管とかです。高校生にとって手技体験を楽しんでいただけるように毎回項目を調整しながらやっていました。

荒田：高校生の反応はどうでしたか？

 

渡邊：そうですね、やっぱり非常に人気でした。

 

整理券とか予約もとっていましたが、予約はすぐに埋まってしまうので、どうしてもやりたいって子たちをちょっとでもいいから端っこでやらせてあげました。それぐらい人気のブースでしたね。

 

忙しかったですけど、教える側としては、来てくれる子たちが楽しんでいる様子をみれてやりがいもありました。

 

荒田：開場したらすぐ行列ができてましたもんね。

 

 

 

｜シミュレータの役割

 

荒田：シミュレータには、医療従事者になりたい人、あるいは一般の人でも医療をリアルに体験できるという役割があると思うのですが、渡邊先生はシミュレータについてどのように思いますか？

渡邊：学生は患者さんに医療を提供する資格もないですが、その中で医学を学んで行かなければなりません。そういった中でシミュレータがあるから実際にその練習や体験ができるのは、技術の習得と将来のイメージができるため、非常に有意義だったと思います。

 

特にこれから医療を目指す方や医学に興味を持っている方に使っていただき、「あれが楽しかった」「あれをやりたい」って感じてもらえるんじゃないかと思っています。

 

医学でどのようなことができるかをわかった上で、医学の道を選んでいただけるのでないかを思います。

 

荒田先生：ありがとうございます。

 

 

荒田：東北大学病院の場合は、初期研修医として採用され、患者さんの診療に参加する前に、シミュレータで学ぶ機会を設けています。

 

初期研修を修了してからは、進むべき専門性によってシミュレータの活用具合が異なるかもしれませんが、先生はどうでしょうか？外科医としてシミュレーションは必要だと思いますか？

 

渡邊：私は非常に必要だと思います。

 

臨床で患者さんに治療するための準備は、ネットや教科書で勉強しますが、やっぱり手順は手を動かすことで覚えることもあると思うんですね。

 

腰椎穿刺という手技を最初にシミュレータで学習しました。教科書にも手順は書いてあるのですが、一人で実際に行うのは難しいです。しかし、シミュレータを使って事前に手を動かし、イメージしていたことで、実際に病院で腰椎穿刺を行った時に、「手技が安定してるね」と褒めていただけました。

 

それから、診療でうまくいかないことがあった時に、自分でどこが悪かったのか反省して次の診療に挑むというのは限界があります。うまくいかなかったことを、シミュレータに戻ってもう一度手技を確認して、再度診療に挑むという流れが良いと思います。

 

むしろシミュレータによる学習がもっともっと浸透して、しっかりと自分自身にフィードバックをするために使うべきだと思います。

 

今の使い方がまだまだ少ないんじゃないかなと感じるくらい、重要視しています。

 

 

 

｜スキルスラボのシミュレータ

 

荒田：今回のクラウドファンディングは、ECMOのような高度医療、そして地域医療を担う医療従事者を養成するための機材を整備するために資金を募っています。先生はこのプロジェクトについてどのように感じますか？

渡邊：そうですね。老朽化もそうですけど、医療はどんどん進んでいます。そして、コロナ禍で、ECMOの使用件数が圧倒的に増えてます。

 

もともと限られた施設でしか使われていなかったECMOですが、新型コロナウイルスの流行によって、大学病院や大きな病院だけではなく、小さな病院や地方の病院でもECMOの管理を当たり前のようにできなければならない状況になりつつあると感じています。

 

シミュレータが整備されれば、より外から人を集めてもっともっと広げられる。そうすることで各病院でもできるようになると思います。

 

東北大学は東北の地域の医療に担っているので、率先してそういうことをやっていかなければならない。

 

 

荒田：ありがとうございます。素晴らしいですね。

 

学生さんにこのラボを紹介するとしたらどんな感じでされますか？

渡邊：自分が学生実習で印象に残っているのは内視鏡、腹腔鏡下手術手技、あと麻酔が学べる人形さんです。

 

研修医レベルでも勉強になるため、それらをもっと開放して、医師たちにも実際にシミュレータを使って手術手技を学んだ方が良いと思います。

 

シミュレータの活用は今後更に発展させることができると思っています。

 

 

 

 

｜目指している医師像と支援者様へのメッセージ

 

荒田：どういう医者になりたいかお話いただいても良いですか？

渡邊：ご本人やご家族が納得のいく医療を提供できる医者になりたいです。

 

ただ医療を提供する、手術をする、命を救うだけが医療ではないなと2年間の研修を通して感じています。

 

もちろん患者さんを救うことが前提ですが、救い方を考える必要がありますし、逆にもしお亡くなりになってしまう場合でも、お看取りの仕方だとか、亡くなるまでの経過をご家族やご本人が満足いくような医療、その方々に合った医療を提供できるようになりたいなと思います。

 

荒田：最後に市民の皆様へメッセージをお願いします。

 

渡邊：研修医2年目としておこがましいですが、我々は患者さんがいての医者です。どちらが偉いという考えはありません。

 

社会の一員という意味で、対等な立場にあると思っています。現在は新型コロナウイルス感染症が影響している中で、私たちは仕事として皆様の命をお守りし、安心して生活いただけるように医療を提供しています。

 

そのため、過度にねぎらいがほしいとは思いませんが、互いに協力して、しっかりと安心できる社会を作らなくてはならないと思っています。

 

一般の方々にはぜひ行動に気を付けていただきたいと思います。そして、本当に困ったらすぐに頼ってください。お互いに頑張りましょう。

 

荒田：ありがとうございました。