津波で壊滅した徳泉寺を救った「はがき一文字写経」恩返しを今。

東日本大震災で、山元町は町の4割が浸水しました。全壊家屋も全体の4割にあたります。うち半数の約１千棟が津波による流出です。そこに散乱した瓦礫は53万3千トン。町のごみに換算すると何と152年分に相当するそうです。

そのような中で、徳泉寺も建物仏具等すべてが流され、何も残っていない状況でした。

しかし、震災から24日目の4月3日に本尊のお釈迦さまが発見されました。寺から2㎞離れた田んぼの中にありました。

多少傷はついて塗りの禿げたところはあるものの、無事でした。総丈40㎝ほどの木製の座像で、水に浮かびやすかったのかもしれません。それにしても、夥しい瓦礫に圧し潰されもしなかったのは、奇跡といってもいいでしょう。

そのような尊い本尊さまを、どんな災難に遭ってもみなさまの拠りどころになろうとする一心で踏み止まったものと信じて、「一心本尊」と名付けました。未曾有の惨状の中でひとすじの光を見る思いでした。

一心本尊さまを毎日拝んでいるうち、一心に一文字をはがきに写経していただき、その納経志納金で復興を目指そうという「はがき一文字写経」勧進を発願するに至りました。

そして納経者には、一心本尊さまの功徳にあずかっていただこうと、本尊さまのお姿を刻印した金属製のお守りカードをお授けすることにしました。勿論、住職他大勢の和尚さんで「無難無災　福壽無量　諸縁吉祥」を御祈祷した霊験あらたかなもなのです。財布等に忍ばせ常に携行していただけば護身符になります。

ある人は、これを身に着けマラソンを完走したとか、母親に持たせたら病気が少し良くなったようだ、などというお声をいただくこともありました。