駒場農学レガシー，ケルネル水田を未来に継承するために

水田本来の機能改善と希少な動植物等の生息・生育地としての環境保全を両立させるため、2023年4月～10月まで動植物の生息・生育状況を把握し、整備案に対する環境影響評価を行いました。その後、工事に伴う影響を極力回避または最小化できるよう、必要な環境保全措置の提案及び工事内容の調整等を行いました。

動物も植物と同様に、水田と緑地が一体となっている環境は 23 区内では限られており、両生類や爬虫類などの複数の種が現在も生息しているケルネル田んぼおよびその周辺環境は保全の重要度が高い場所です。動植物の生息・生育状況の把握は、駒場の公園内のケルネル水田を対象とし、動物については上流部に位置する大池も対象地としました。

カエル類などの産卵場所やメダカ等の魚類などのように生活の多くを水田や水路に依存している動物に対しては、工事による影響はある程度あると考えられるため、対策が必要となります。

そこで、動植物調査後の2023年12月、ケルネル水田に生息しているメダカの保護を行いました。本校生物部がケルネル水田（足洗い場付近）のメダカを200匹程度を捕獲して校内に持ち帰りました。このメダカは工事後に放流する予定です。

ケルネル水田は、明治11年に開校した駒場農学校の一部であり、東京都の区部では水田がほとんど消失している中で残存している、貴重な水田です。農業遺産としての水田、生物多様性の場としての水田など、様々な視点からケルネル水田を長く残していきたいと存じます。