守るって大変です

文化財も自然も、その存在は極めて儚く、脆いものです。

大切に守り、手をかける人がいなければ、やがて埋もれ、朽ち、人々の記憶から忘れ去られてしまいます。

当山の「二十日の晩奉納花火」は有田川町の無形文化財に、内前山は紀州八所遺跡として町の指定を受けています。これらの文化遺産を未来へ繋ぐためには、単に「保存する」だけでは不十分です。より多くの方にその価値を「知っていただき、実際に足を運んでいただく」ための積極的な取り組みこそが、真の継承へとつながります。

しかし、花火のインフラ整備や山林の環境維持には、想像を遥かに超える莫大な費用がかかります。視察の度に「企業の協力を得るべきだ」というご意見をいただきますが、費用対効果を考えると採算が取りづらく、現実的な支援を得るのは極めて困難です。正直なところ、当山だけでは限界が近づいており、現在はクラウドファンディングを通じて皆様のお力をお借りしています。

現実的な解決策として、資金力があり、かつこの文化と自然を大切に引き継いでくださる事業者の皆様との連携が不可欠だと考えています。

以前「前澤さんにつながれば」と話題にしたのも、そうした未来への希望からです。もし、建築家ジェフリー・バワ氏のような、自然と歴史への敬意を持つ方のデザインが加わることで、自然・歴史・建物が調和した理想的な保全の形に近づけるかもしれません。

も避けたいのは、数十年後に建物が朽ち果て、第三者に転売されてしまうような途絶の未来です。

鷹島についても、まずは明恵上人ゆかりの地であるという歴史的な意義を、より多くの方に知っていただくことが最も重要だと感じています。