インドネシア社会に貢献するビデオを学生たちが作ります。
ロンボク島撮影記 6
5月10日(火)
今日は、Rinjani山の中腹にあるBenang kelanbuという滝を撮影します。
この滝は、Rinjani山からの伏流水が断層運動によって地表に現れたものです。AIK BERIKと呼ばれるこの一帯は、活断層と豊富な水が複雑な地形を作り出し、そのことが多様な動植物の生態系を生み出しています。
下の写真はそこへ行く途中の村です。湧水が豊富な村で乾季でも農作業に支障が無いのだそうです。なんだか懐かしい風景だなと思っていたら、山本さんが「この村の人々は日本へ稲作技術の勉強に行っているんですよ。」と話してくれました。「そう言えば去年の総会で農業機械の指導報告をされているSVさんがいらっしゃったなぁ。ここにも来ているのだろうか」と思いました。
整然と苗が植えられたされた棚田は、ヤシの木が無ければ日本の農村風景そのものです。観光隊員の山本さんの名前は「瑞穂」さんですが、美しい稲の姿を形容した言葉です。「瑞穂」さんが紹介する「美しいロンボク島の棚田」って、ちょっとでき過ぎですね(笑)。Rinjani山麓の湧水で栽培されるお米の食味は良く、質も量も向上したのだそうです。栽培されている地形から言うと「新潟県南魚沼産のコシヒカリ」ってところでしょうか。
とかなんとか言っているうちに、AIK BERIKに到着しました。ここは環境保護に力を入れていて、Rb.150,000(¥1,500)を支払って入ります。
滝までは約3kmの山道。本来なら機材運搬に背負子やデイパックを用意し、
トレッキングシューズで足元を固めて出発するところですが、学生達はカメラをショルダーバッグに入れキャリングケースに入れた三脚を肩からぶら下げて運動靴で歩いていきます。
山道をこんな状態で歩くと荷物に振られて結構キツイのですが元気に歩いていきます。「体幹が強いんだなぁ」と感じました。しかし、撮影に合わせた装備を学校に揃えていくこともこれからの課題だなと思いました。
ふだんスタジオを裸足で歩いている彼らの足は、形が綺麗で指がよく開き、外反母趾なんて縁の無い足です。ただ、いつもバイクや車に乗っていて「歩く」ことが無いと言っていますから、体力がちょっと気がかりでした。
山道を歩くコツは、歩幅を狭くして体の上下動を少なくすること。また、下り坂では踵から着かずに足の裏全体で踏みしめるように降りると疲れが少なくなります。また、急坂で直線的に下ると勢い余ってつまづく危険が出てきます。ジグザグに歩いて速度を一定に保つことが大切です。
さて、一つ目の滝に到着しました。短時間で撮影を済ませるコツは、まず、カメラを置いてその場所を見て回り、何を撮るか、どの順番で撮るか計画を立てることです。
ひとつのシーンは、5~6カットで構成されます。ルーズショットでどんな場所か説明し、ミドルショットで滝の特徴を表現します。タイトショットでは注目してほしい点を、そしてアップショットで一番魅力的な部分を紹介します。次にグループショットでその場所の独特な雰囲気を描き、ラストカットでは紹介してきたことが全体として理解できるような構図を作ります。
つまり、カメラマンは台本とは別に映像でのストーリーを組み立てる必要があるのです。ですから被写体の何を表現するのか「テーマ」を持ってないと撮影できません。あるいは撮っても何を表現したいのか伝わってこないものになるでしょう。ですから、撮影前にさまざまな本を読み映像を見て「テーマ」を定め、ああも撮ろう、こうも撮ろうと考えを巡らせるのです。
そして、カメラを構えたら、今まで考えていたことを全て忘れて、被写体を感じるままに撮っていきます。この時、三脚を立てるのに手間取ったりサイズを決めるのに時間がかかるようでは、対象から受けた「感動」が消えてしまって「何を撮ったらいいのか」見失ってなってしまいます。
撮影経験の少ない学生に完成度の高い映像を求めるのは無理です。多少粗くても意欲溢れる映像を期待すべきでしょう。「撮影意欲が高まるような場所」に連れて行くことが効果的ではないでしょうか。
そして、もうひとつ大事なことは「最後までやり通す」ことを促すことです。結局、この滝の撮影には3時間30分かかりました。往復6kmの山道で歩くだけでも往復2時間はかかりますから、このタイムは上等です。結局、この日のお昼は「ヌキ」になりましたが。
実はMutiaraが気がかりでした。女の子ですから筋力がどうしても劣ります。帰りはハンディカメラのセットだけを肩から下げて運んでいましたが無理もありません。途中で泣き出してもおかしくないと思っていましたが、弱音を吐かなかったのには感心しました。AdityaとDhaniは彼女からつかず離れず側にいて、なかなかのジェントルマンぶりを発揮していました。
左の二重滝の映像は上の写真の場所から、そして右の映像は、そこから20分山道を下った場所から再びMutiaraが撮影したものです。全体像を説明するLS(Loose Shot)と滝の特徴を捉えたMS(Middle Shot)が「見おろす」「見あげる」というカメラポジションの変化もあって効果的に表現されています。
そしてTS(Tight Shot)で流れ落ちる水に注目させ、US(Up shot)で「水」を表現しました。この「水」はロンボク島の象徴Rinjyani山に降った雨が伏流水になった冷たく、ピュアな水です。そして水は生命の源です。
今回、残念だったのは望遠レンズや顕微鏡並みに微細な世界を撮影するクローズアップレンズなどが無かったことでした。野生の猿をもっとUPで撮りたいですし、シダ類の不思議な形態をもっとグラフィックに表現しないと「生命」を感じてもらうところまでいかないでしょう。
趣味で映像を楽しむのなら「こんなもの」で良いのでしょうが、将来TV局で働こうというプロを目指す学生なら「妥協しない表現」を経験させてやりたいものだと思いました。
後日「Yoshi-sanは、どうしてあんなに速く歩くことができるのですか?」と聞いてきたので「あのな、プロは山道を歩くコツを身につけてるし、ふだんからバイクに乗らずに歩いて足腰を鍛えているの。」と、煙に巻いてやりました。(;^ω^)
リターン
3,000円
上記に加えて鎮魂碑へのご芳志報告子供たちの手洗い推進運動ビデオロンボク島の美観ビデオ集
ビデオ映像による、制作担当学生と子供たちのサンクスメッセージ。
※ネット上にUPして、ご協力いただいた方にパスワードをお知らせしてご覧いただきます。
上記に加えて、スマラン市郊外の「鎮魂の碑」の前でお名前を読み上げ、犠牲者の霊に芳志を報告します。また、ネット上で島の美観ビデオと歌に合わせた子供たちの手洗いビデオが視聴できます。
- 支援者
- 8人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2016年6月
7,000円
上記に加えてスマラン事件概要ビデオ
上記に加えネット上でPOLINES学生によるスマラン事件概要ビデオ(約15分)の視聴ができます。
- 支援者
- 1人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2016年9月
10,000円
上記に加えてロンボク島のお薦めスポットビデオ(お薦めスポット示した地図贈呈)とインドネシア渡航時健康管理情報「スマランの悲劇はなぜ起こったか」贈呈
上記に加えて、JICA観光ボランティアによるお薦めスポット解説ビデオ(お薦めスポット地図贈呈)とJICA看護師ボランティアによるインドネシア渡航時の健康管理情報をPC上でお知らせします。また、河合正雄氏著『スマランの悲劇はなぜ起こったのか』(非売品)を差し上げます。
- 支援者
- 5人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2016年9月
30,000円
上記に加えてスマラン事件証言ビデオの視聴
上記に加えて、ネット上でPOLINES学生作成のスマラン事件証言ビデオの視聴ができます。
- 支援者
- 1人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2016年9月
50,000円
上記に加えてスマラン市内のホテルMGSuitesの宿泊費10%OFF
上記に加えて、一年以内にスマランを訪問される方に、市内のホテルMGSuites宿泊料10%割引。
- 支援者
- 1人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2016年9月