「カシューナッツ 12帖演劇祭」実行委員の河野です。
 昨年から始まったこの小さな演劇祭ですが、これにはいくつかのねらいがありました。
 まず、観劇環境の裾野を広げること。イベントが頻繁にあれば会場の知名度も上がり、「あそこに行けば何かやってるかも」と日常のアクティビティの選択肢のひとつに観劇が入り込めるのでは、と。
 それは、次のねらいに繋がっていくのですが、ふたつめ。気軽に上演できる会場や機会が増えることによっての、地域演劇人の増加、技術力の向上の見込み。
 最後にみっつめ。あわよくば、所在する地域に溶け込み、地域と一緒に高まっていくこと。
 昨年は、熊本県外からのお客様もあり、ほんとうにこじんまりとしながら楽しい演劇祭でありました。

 先般の、熊本地震本震から2ヶ月ほどが経ちました。
  私個人は、所属する劇団の仕事以外に、舞台技術職員として熊本市内の文化ホールに就いております。前震直後からホール運営再開を目指し、ようやく先日2つあるホールの内の小さい方がひとつ再開する事が出来ました。しかし施設自体は拠点避難所としての運用も行っているので、避難者の方への配慮もあり、思うような劇場運用が可能になるのはまだまだ先です。
 熊本市内の劇場・ホールは大きな被害を抱えたままです。
 私たち小劇場劇団は、それでもまだ平気な方かもしれません。いろんな会場での公演に手慣れているからです。大劇場を中心とする演劇公演、音楽、舞踊、あるいは映画などの大掛かりな設備を必要とする娯楽を提供される方々は本当にお困りなのではないかと想像します。そして、その娯楽を享受する多くのみなさんも。
 「物資が足りない」「家に帰る事が出来ない」などの震災直後の問題は、全てが解決方向に向かっているわけではありませんが、それでも問題点が浮き彫りになることで、それを解決しようとたくさんの支援や環境の整備などが進んでいます。
 そんな今、我々ができること、そして先手を打ってしなければならないこと。
 少し元気になってきた町並みに、小さい演劇娯楽の華を咲かせたい。
 「少し落ち着いたから、久しぶりに演劇でも見たいな」の声が上がる頃に、以前と同じように演劇がある街でありたい。

 冒頭に書いた、「3つのねらい」は、川を遡ることになります。
 まず、地域の人々と復興を想い、盛り上がっていきたい。
 そのために、力を貸してくださる演劇人に、場所と機会を提供したい。
 そして何年か経って、ずいぶんと元の生活に戻れた時に、またふら〜っと劇場に足を運んでいただけたなら。

 「どれが先か」なんて、この状況でどうだっていいです。
 やれることを、精一杯やっていきたいと思います。
 どうか、全国から熊本を応援してください。よろしくお願い申し上げます。
                          (河野ミチユキ)

 

演劇祭の会場、花習舎近くの健軍商店街の倒壊したスーパー

 

 

新着情報一覧へ