『両親の離婚。苦しくなった家計を支えるために学業を断念して働き続ける日々。

 

 1992年、​建築業の父と洗濯業を営む母の​5人兄弟の長女として生まれました。高校2年の時に両親が離婚し、家計が苦しくなりました。母は​叔母が経営している​ゲストハウスの洗濯の仕事や自宅で家庭用品の販売をしていましたが一人の収入では生活は苦しく、彼女はやむなく高校を中退して母の仕事を手伝うことを決心しました。

 

 子どもの頃から絵を描くことが好きで、本や教科書に載っている絵を模写したりして過ごしていました。高校を辞めてからも、店番の仕事の合間に絵を描き続けていて、弟や妹もそんな彼女の影響を受けたのか、絵を描いてはお互い見せ合って楽しむような生活を送っていたそうです。

 

 母を助ける彼女の働きにより、妹や弟は高校を卒業して大学にも進学することができました。長女として家計を支えるために働き続けなければならない辛さの中で、絵を描くことが、唯一の日々の生きがいでした。そしてこの頃、偶然知り合ったバッタンバン州出身のカンボジアアーティストにはじめて絵の指導を半年ほど受けました。

 

『美術スクールと出会い、表現することの喜びを感じる 』

 

 ある時、妹の友人から日本人が始めた美術スクールがシェムリアップにできたことを聞きました。妹や弟たちも母親の店の店番を交代できるようになってきたので、彼女も小さな美術スクールに通いたいと思うようになり、笠原と出会いました。

 

 笠原は、「美術には間違いということはない。自分が表現したいものを、自分が納得するまで描けば良い」とアドバイスをしました。それを聞き、今まで模写ばかりをしていて自分は何を描いたら良いのかわからないという心の迷いも消え、自分の好きなハスの花などを自由に描くようになりました。画材も生まれて初めて使うものばかりでしたが、それらを全く自由に使うことができることが本当に嬉しかったそうです。

 

『再び高校へ戻り、無事に卒業 』

 

 笠原の支援も得て、地元の高校に戻り、その後卒業することができました。卒業後は、家業と美術学校の美術助手、ギャラリーの仕事などをしながら、制作に励んでいます。

 現在は、地元の幼稚園への授業、シェムリアップの寺の中にある学校での美術授業、コミュニティーセンターでの委託授業、ギャラリーでのワークショップも担当していて、学校にとってもなくてはならない存在となっています。

 

 女性らしい柔らかい色で、カンボジアの花や動物を描くのが得意で、デッサン力、デザイン力も高く、デザインコンテストでも入賞しました。

 

受賞歴:

2013年:ドリーム・ガールズ・プロジェクト グッド・チャレンジ賞受賞

2014年:アンコール国際映画祭ポスターデザイン提供  

 

ソクペアック・ドーンの作品はこちらからご覧いただけます。 Sokpheak Art

 

 

 

新着情報一覧へ