昨年10月、NGOがフェイスブックにアップした写真が、フィリピン国内で波紋を呼びました。

 

投稿されたのは、骨と皮ばかりになった、瀕死の男の子の写真です。その写真が撮影されたのは、マニラ市が運営する施設、レセプション・アンド・アクションセンター(略称RAC)の中でした。少年は、前回ご紹介したレスキュー・オペレーションによって、7か月前に施設に連れてこられました。施設の職員たちは、だれも彼の年齢、住所、家族、本当の名前を把握しておらず、最初に彼を見つけた警官が「フレデリコ」と呼んだことから、そのようによばれていたといいます。

 

写真を投稿したNGO、バハイ・トゥルヤンは次のように述べています。「RACの中の状況は、ひどく悪い状況です。子どもたちは、何のケアもなくただ監禁されていて、犯罪よりも恐ろしい行為にさらされています。彼らはもっとも基本的な権利が保障されていません。適切な食事と衛生的な水、寝具、衣服。さらに子どもたちは、家族と連絡を取ることもできません。そればかりか、自分の子どもがRACの中にいることを家族が知らないという場合もよくあります」

 

10月28日、バハイ・トゥルヤンは、RACに収容された経験のある子どもからのヒアリングを行いました。それによると、子どもたちが与えられる食事は、米とスープのみで、ときどき、調理されていない米や、傷んだものが出ていたといいます。子どもたちは、床で眠り、手で食事をし、バケツで用を足したこと、そして、いつも汚れた衣服を着ていることを訴えました。「水浴びをするとき、みんな同じせっけんと、一本の歯ブラシをつかっていました。一人20秒で水浴びを終えるようにいわれ、スタッフが数を数えていました」と話す子もいました。また、子どもたちの話からは、RACの中で身体的虐待、性的虐待が起きていることもあきらかになりました。

 

RACの運営については、何年も前から市民活動家たちが批判をしてきました。けれども、実態はかわっていません。今回もRACの職員は、フェイスブックに掲載したフレデリコの写真は、誤解を招くものだ、実際はフレデリコの状態は入所当時より良くなっていたと、反論しています。しかし、写真を撮られてから一週間後、バハイ・トゥルヤンに引き取られ、医療にかかったフレデリコは、検査の結果、深刻な状況にあることがわかりました。自傷行為のあとが多数あり、栄養失調から命の危険にさらされていました。

 

バハイ・トゥルヤンはマニラ市に、RACの早急な生活改善、もしくはフィリピン社会福祉開発省の基準を満たすまでの間、施設を閉鎖するように要求しています。フェイスブックにアップされた、フレデリコの写真は、2週間で、1325回シェアされ、200を超えるコメントが寄せられました。子どもたちが、路上生活の末に、本当に安全な暮らしが保障されるようことを多くの人々が望んでいるといえるでしょう。

By ストリートチルドレンを考える会 野口和恵
 

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