延命地蔵菩薩経』というお経があります。日本で作られたお経で、正式なお経ではありませんが、日本の地蔵信仰に大きな影響を与えたと言われています。

 

その中で説かれているのが、不動明王と地蔵菩薩が同じであるという説です。その真偽はおいておいて、大泰寺が所蔵する地蔵菩薩にも、その説に影響を受けたと思われるものが2つあります。

 

不動明王は、矜羯羅(こんがら)・制多伽(せいたか)童子を脇侍として従えていますが、この2体のお地蔵さまは同じ2人の童子を脇侍としています。

この2体は、もともと大泰寺の末寺であったお寺の本尊だったようです。不動明王と地蔵菩薩が同じと考えるというのは、不動明王に対する信仰の表れです。小さい仏像ですが、熊野地域の中世の信仰の形を知るという意味では、重要な仏像だと思います。

 

ちなみに、この2人の童子を含めた八大童子は、不動明王に仕えるために不動明王より出生したそうです。高野山にある運慶によって造立された国宝の八大童子像が、有名です。

 

また、本堂正面の扁額(へんがく)には「降魔」と書かれています。降魔というと「魔を降ろす。(おろす)」つまり、悪魔を自分の中に取り込むと、多くの人は思われているようですが、本来は「魔を降す。(くだす)」「魔を負けさせる。」「魔を打ち負かす。」と読むのです。魔とは煩悩です。煩悩を負かすのは不動明王です。煩悩を打ち負かそうと一心に座禅をする禅僧にとっても、不動明王は重要な仏様なのです。

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