前回紹介したように、科学館の庭はちょっと気を抜くと植物がのび放題になってしまいます。これは、管理する方(我々)にとっては好ましくないことですが、動物たちにしてみれば、都市における貴重な生息地と見なされます。実際に庭の草むしりをしていると、いろいろな動物たちと出会うことができました。今回は、記事で紹介したとき(3月19日)ではなく、昨年の9月に草むしりをしたときに見つけた動物(といっても昆虫ばっかりなので、ムシが苦手な方は薄目で見てくださいね)を紹介していきます。

 

 

まずは、黒い斑点が特徴的な小さなチョウ。写真だけでは判断に悩みますが、斑点が円弧を描いているように見えるので、おそらくヤマトシジミ(Pseudozizeeria maha)かと思われます(この斑点がもっと分散していたら、ルリシジミ/Celastrina argiolusだと判断ができます)。ということは、幼虫の主食であるカタバミが生えているんですね。気づきませんでした。どうでもいいですが、この「ヤマトシジミ」という和名は、一般的にシジミ汁に用いられる「ヤマトシジミ(Corbicula japonica)」とまったく同じなので、ややこしいですね。どちらも日本に広く分布しているので、よく混乱します。

 

なお、チョウの大きさを示す方法としては、「開長(かいちょう)」と「前翅長(ぜんしちょう)」の2通りがあります。開長はその名の通り、翅を広げた時に上から見て、左右の翅の端までの距離を示します。一方で、前翅長は翅を閉じた状態の時に横から見て、前翅の付け根から先端までの高さを示します。生きているチョウを見るときには、前翅長のほうが分かりやすいのですが、図鑑などでは固定して見せることができるので、開長表記のほうが多いようです。ちょっと紛らわしいので、ご注意ください。

 

 

こちらは写真の通り、「オンブバッタ(Atractomorpha lata)」です。上に乗っかっている方が明らかに小さいので子どもかな?と思いますが、実はこれで成虫で、彼らは繁殖のために一緒になっているのです。つまり、ご夫婦ということになります。では、乗っかっている方はどっちか?というとそれはオスで、オスが下のメスを独り占めしたいがためにずっと乗っかって付いていってるんだそうです。束縛が強いどころの話じゃないですね。メスもいい迷惑です。

 

また、彼らには翅がついているものの飛べません。なので、ピョンピョンはねるだけしかできないのですが、それがまた何ともいえず可愛いヤツらです。

 

 

それでは、バッタ類(分類学的には、直翅目といいます)からもう1種類。こちらは、頭の尖がり具合からして、「クビキリギス(Euconocephalus thunbergi)」かと思われます。よく似た種にクサキリ(Homorocoryphus lineosus)というのがいて、こちらはもう少し頭が尖がっていません。クビキリギスは秋に羽化して成虫となって、成虫で冬眠するという生活史なので、写真の個体は成虫になったばかりだということでしょうか。まさか夏を乗り越えた猛者だったのかも...?

 

それにしても、クビキリ(首切り)とは物騒な名前ですよね。これは、顎の力が強く、かつ首の関節が細いことから、捕まえようとした時になにかに噛みかれてしまうと、引っ張った時に首だけ残ってポロンと取れてしまうことが多かったことからきているそうです。ものすごくかわいそうなので試してはいけませんよ!

 

この他、植物にくっついていたセスジスズメ(Theretra oldenlandiae)の幼虫も発見しました。成虫よりもイモムシ状態の時のほうが大きくなり(おそらく100mmに近いところまでいくんじゃないでしょうか)、しかも成長スピードが半端ないという、困ったヤツです。色んな植物のハッパを食い荒らすので、「農業害虫」として農家さんからは「困ったヤツ」どころか憎悪の対象ですね。

 

真っ黒い体、脇腹に7つの目玉模様(しかも最初の2つが黄色で、後ろはオレンジ)、ピョンと立った尻尾(尾角といいます。よく勘違いされますが、毒はありません。ただのオシャレアイテム)、そして白い斑点のアクセント(さらに尾角も先っちょだけ白い)。個人的には愛らしい生き物なのですが、さすがにザ(ジ?)・イモムシといった外見なので、写真を載せるのはやめておきます。気になる人は画像検索でもしてください。

 

さて、以上に挙げたように多様な(?)動物たちも生息している空きアパート。彼らと共存できるようになるかは不透明ですが、視点を変えてみると、こんなにも身近な場所で自然が存在していることに気づかされます。こうしたことを発見してもらう手助けとなるのが、今回設置している科学館であると考えています。どうぞご支援のほど、よろしくお願いいたします。

 

なお、言及するのを忘れていましたが、冒頭の写真はご存知カタツムリです。カタツムリはとてつもなく種類が多く(国内だけでも800種類以上!)、同定は困難を極めます。強いて言えば、右巻きなので、ヒダリマキマイマイ(Euhadra quaesita)ではないことだけは言えますが...。詳しい方がいれば、ぜひご教示ください。また、上記の昆虫たちの同定に疑義がある場合も、ぜひ、ご指摘いただけましたら幸いです...!

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