「入院中の子どもたちを笑顔に」の先へ　心のケアでつなぐ家族と未来

本日は、大阪市立総合医療センター副院長であり、私たちシャイン・オン！キッズの副理事長の原純一からのメッセージをご紹介いたします。

毎年約2000人の15歳未満の子どもたちが小児がんを発病します。彼らは子どもでありながら毎日命をかけて病と闘っています。

小学生ともなれば、白血病などの病名が告知され、治療の効果がなければ命を落とすことを理解をした上で、抗がん剤の副作用に苦しみながら闘病を続けています。

おとなでも大変な状況でありながら、彼らは前を向いて、未来に向かって生き抜こうとしています。

このような子どもたちとそのご家族を医師、看護師、ソーシャルワーカー、保育士などの、私たち医療者は懸命に支えていく努力をしています。

しかし、私たち医療者にできることには限界があり、NPO等支援団体の協力が欠かせません。シャイン・オン！キッズのような団体の病院内外での活動があって初めてがん医療の理想に近づくことができます。

現在、昨年からのコロナ禍のために、家族の面会や付き添い制限、病棟へのボランティアの訪問禁止などのために、小児がんと闘病する子どもたちは孤独に直面しています。

そのような中、シャイン・オン！キッズの提供するオンラインのプログラム、シャイン・オン！コネクションズやビーズ・オブ・カレッジ等の活動は子どもたちにとって心の拠り所となっています。

特にビーズプログラムは、集めたビーズを見てもらうことでこれまでの闘病の大変さを周りの人たちに理解してもらえますし、何よりも自分が経験してきたことを視覚化することでの自己肯定感の醸成にもつながります。

小児がんの子どもで５年間再発せずに生存できる可能性は75-80%程度ですが、病気が治っても後遺症が残る場合があります。中には背が低かったり毛髪が薄かったり、同年代の友達ができることができないなどの外から見てもわかるような障がいが残ることもあり、そのような場合は、周りからの差別などに苦しむこともあります。

小児がんの子どもたちにとって、病気が治った後でも周りの人たちが寄り添い、自己肯定感を養いつつ健やかなおとなに成長していくのを見守っていくことが大切です。

健やかなおとなに成長することを見届けて初めて小児がん医療は完結するのです。

大阪市立総合医療センター副院長

がん医療支援センター長

シャイン・オン！キッズ 副理事長　原 純一