独りで悩まないで。全国の女性医師たち15名と、苦しむ女性を救いたい

ー現場ではどんな活動を行い、どのように女性達をフォローされていたのでしょうか。

婦人科クリニックの薬剤師としての立場から、さまざな困難を抱えている女性たちの背景に寄り添う必要を感じ、思春期保健相談士の資格を取得し相談室を開設しました。
 
特に発達特性に着目し、生きづらさの解消に取り組んでいます。
 
院外においては、児相の行う保護者カウンセリング事業に従事し、性的問題を抱える児童への必要な性教育の実施の支援を行っています。
 
 
ーコロナ禍ということで2020年度に限ってサポートした人数・症例がございましたらお教えください。
 
児童相談所、警察案件以外のものも含めると年間60件程度です。
 
 
ー今までサポートしてきた女性たちは、どんな背景の方が多くいらっしゃったのでしょうか。
 
親子関係・夫婦関係の歪み、貧困、発達障害、知的障害、不登校、DV、カサンドラ症候群などを背景とするニ次障害うつ、PMDD、予期せぬ妊娠、慢性疼痛（とうつう）などです。
 
 
ー女性たちは、どのようにして先生方のもとに相談に来るのでしょうか？
 
私が勤める船津クリニックを受診した際に、必要な方には相談室の利用を勧めています。児童相談所、学校の養護教諭、市の相談員、特別支援学校、知的障害者施設などからの紹介でも来院されます。
 
 
ー支援者の皆様に一つでも多く先生のご経験を通じ、診療体験を共有できればと考えています。特に心に残るエピソード頭ございましたらご教示いただけますでしょうか。
 
8人との愛人契約で生計を立てていた20代女性が妊娠して受診しましたが、誰の子かわからず、すでに中絶可能な時期を過ぎていたため、出産し特別養子縁組をすることになりました。
 
この女性は、妊娠を機に自身の発達特性への気づきと仲が悪かった実母との和解が叶いました。また、関わったドクター、ケースワーカー、市の職員、産まれた子の里親など、信頼できる他人の存在を知り、社会とのつながりを作ることができました。
 
「人生において無駄などひとつもない。すべて意味がある。」
 
私が彼女を送り出す時にかけた言葉ですが、出産翌日「本当でした！」と電話がかかってきた時の安堵（あんど）は今も記憶に残ります。
 
 
ー今まで先生が活動をしてきた中で、個々だとフォローでききれなかった課題でも、財団という形にしたことでフォローできる内容が増えたことなどがあればお教えください。
 
中絶費用がないなどの悩みを抱えた女性を、財政面で支援できるようになりました。
 
 
ー最後に、今回のクラウドファンディングへの思い、フェムシップドクターとしての思いをお教えください。
 
私は医師ではなく、薬剤師・思春期保健相談士です。
 
生きづらさを抱える人たちのサインは明日の未来のためでもあります。SOSがあったからこそ、目指した未来が叶えられる。そして、キャッチした私たち自身のパワーにつながる。
 
人と人、そんなやりとりをこの船でたくさんやっていきたいと思っています。