食の専門メディア「日本食糧新聞」(6月11日付)に、食材ピクトのアレルギー27品目へ向けた本チャレンジを紹介いただきました。以下記事をご紹介します。


■誰もが分かる絵文字の食材情報


「和食」が世界遺産に加わり世界的な日本食ブームがわき起こる中、訪日観光客の心強いガイドとなっているのが食材ピクトグラム(以下ピクト)。使用食材を象徴する絵文字は、誰もが一目で分かる明快なデザインだ。

 現在、用意されるピクトはアレルギー7品目と宗教戒律7品目に対応する14品目(牛・豚・羊・鶏・小麦・乳など)で、全国のホテルや空港施設、外食店のメニューに使われている。

 このピクトのライセンスを運営するのがNPO法人インターナショクナル(菊池信孝代表)だ。一風変わった組織名はインターナショナルと「食」を掛け合わせた造語という。
 誰もが一目で分かる食材情報=食材ピクトを作るプロジェクトは、代表を務める菊池氏の残念な経験から始まる。菊池氏が大学で観光ガイドのボランティアをしていたころ中東から来た観光客を案内した。「日本食を食べたい」という彼らの希望に応えようと和食店に行くが「何が入っているか分からないので食べられない」と言う。それではと、ムスリムでも食べられる「すし」や「そば」を紹介したが、自身で情報を把握できないと不安だとして、結局ファストフード店で食事した。

 留学生たちに聞くと、宗教や食文化により「食べてはいけないもの」がある人や、アレルギーで「食べられないもの」がある人たちが多く存在し、日々、大変な苦労をしていることに気づいた。世界中どこでも安心して食事を楽しむためにはどうすれば良いかを考え、06年にNPO法人インターナショクナルを立ち上げた。

 


■日本人の表現力・センスが生み出す食材ピクト

 

 漫画で培った描画力か、俳句を生んだミニマルセンスか、日本人の表現力・デザインセンスは傑出している。
 誰もが分かり、しかも主張し過ぎないピクトデザインについて、NDCグラフィックスの金江秀一氏は「食文化の違いで、牛乳やソバ、アルコールの理解度に差があり、テーマや形状については検討を重ねた」と語る。

 「乳」のピクトでは、当初、牧場で使う「集乳缶」のプロトタイプを作ったが「酪農文化がない国」では理解度が低く、誰にも分かりやすいとは言えなかった。そこで、紙パックのデザインを作ったが「紙パック牛乳が販売されていない国」があることから、何度も修正と調査を繰り返した。最終的に最も分かりやすい現在のピクトが生まれた。ピクトの全体イメージについては、レストランメューへの記載を前提に、落ち着いた配色(ダークブラウンの形状色とベージュの背景色)と形(外径をスーパー楕円で囲んだ)を決めた。

 食材ピクトが一般化すれば、国内食環境の整備だけでなく、日本食品の海外対応にも有力なツールとなるはずだ。ピクト使用のライセンス料は、食品メーカー1商品につき年間300円。1000商品以上30万円(上限)。レストランなどの商業施設は1店舗につき3000円。100店舗以上は30万円(上限)。基礎研修も実施しており、1回60分で4万8000円(会場・交通費別)。今後、ピクトの数を27品目まで増やし、現在対応できていないアレルギーと宗教戒律に当てる予定だ。

 安心して食べることができる環境作りは「おもてなし」の根幹を成す重要な要素と言える。インターナショクナルの活動に期待したい。

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