築230年の武家屋敷を13年かけて改修した暮らす宿他郷阿部家。
今回のご支援へのリターンの一つでもあります。
今回はその阿部家との出会いを松場登美が振り返ります。




1998年ちょうど改修した本店ギャラリーがオープンしたその日のことでした。
鳥取から家主である阿部さんご夫妻が訪ねて来られ、
直接「阿部家を買ってほしい」と持ちかけられたのです。
以前から私たちは空き家で朽ち果てているとはいえ、
武家屋敷として普通の家とは品格の違う阿部家に惹かれていました。
とはいえ貧乏な私たちに手が届くはずも無く、
どなたか本当にこの家が気に入った人がいたら住んでもらいたい。
その為の橋渡しができたならと思っていました。
何件かの阿部家の再生の話がありましたが、
立ち消えになりその度に残念に思っていました。
一つ何かができあがるたびに、次の目標を立てるのが私たちのやり方。
本店の改修を終えて次の目標を探していた私たちにとって、
阿部家の購入の相談はタイミングよく降って湧いた様な話だった訳です。
私と夫は店から自宅へ向かうほんの数メートルの間に、阿部家を買おうと決意していました。

阿部家の家主である阿部さんは町内の大きな土地を持っていて、
今の私たちの社屋が建っている1000坪ほどの土地も、
阿部さんから譲り受けた物でした。
当時の阿部家はというとわたしたちが手に入れるまでは、
三〇年ほど空き家になっていたため、
屋根ははがれ、床は抜け落ち、建具はボロボロで、
室内に草も生えていて、まるでおばけ屋敷のようでした。
しかし、家を購入するだけで莫大な借金を抱えてしまったため、
すぐには修復に取りかかることができませんでした。
建物に向かって、わたしは「もうちょっと待っていてね」と、
通りかかるたびに声をかけ続けました。
三年後ようやく工事に取りかかれることができるようになって、
現在まで続く少しづつ阿部家に手を入れる生活が始まりました。


登美


 

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