犬たちの楽しいがみんなの楽しいに繋がる！

パピーを担当し、これまでたくさんの犬たちの成長を見守ってきました。

パピーたちは、パピーホームさん（パピーを一歳までお預かりいただくボランティアご家族）に委託する生後２ヵ月の時点で既に一頭一頭に個性があります。何にでも興味を示すコ、物怖じしないコ、兄弟と遊ぶのが好きなコ、一人で遊ぶのが好きなコ、人に構ってほしくて一生懸命考えるコ、抱っこが好きなコ、寝ることが好きなコ。似ているコはいても全く同じというコはいなくて、それぞれ楽しいと感じる事柄が違うこと、苦手と感じるものも違います。

 

 

パピー担当はそれぞれのパピーの個性を見ながらパピーホームさんと各ご家庭に委託したパピーの性格を共有していきます。もちろんまだ何も知らないパピーなので、あちこち甘噛みしたり、トイレが上手くできなかったり、どうして良いか分からなくて吠えたり…。一つ一つパピーたちが成長する中で教えていきます。―頭一頭の個性を理解することは、パピーたちを育てていく上でも大切なヒントになります。この子は何が好きで、どういう時に嬉しくて、何が苦手で、どうしたら分かりやすく伝わるのかな？等。

 

 

１年間のパピーたちの成長を見ていく中で、パピーホームさんからの何気ないお話から、「あっこのコそういう一面があるんだ」と気づかせてもらうこともたくさんあります。

ある一頭は、一見やんちゃなコに見えていましたが、よく人を見ていて小さいお子さん、お孫さんに対しては、優しく接することが出来たり。

ある一頭は、お散歩中に出会う人にいつも話しかけられたくて知らない人に目を合わせにいくコでしたが、その日は見ず知らずのおそらく思春期真っただ中であろう中学生の男の子にも構わずジーっと目を合わせて、「こっちきて、撫でてよ」の意思表示をし、首を傾げたり。

さすがの男の子たちもかわいさに引き寄せられ、撫でに来てくれたそうです。きっとこのコがいなければ、話すこともなかったところに一時の交流が生まれ、笑顔が生まれたのもこのコならではの力だと感じます。教えて出来ることではなく、このコが自ら望んで（犬自身にとって得があって、良いことがあるから）やっているというところが大切にしたい個性だなと感じました。

犬たちが楽しい、嬉しい、心地よいと感じていることが大切で、犬たちも楽しく過ごしていることが、人を癒し、楽しい時間を過ごすことに繋がっていくと思います。

 

パピー担当は、そんな多くの犬たちの一頭一頭が持っている個性を近くで感じ、それぞれの成長も感じることが出来るところにいるのではないかなと思います。犬たちが楽しく犬自身も心地よく、それが困難を抱える人にとって少しでも助けになる活動につながる一翼を担えればと思います。

 

 

~人にも動物にもやさしく楽しい社会をめざして~

日本介助犬協会　訓練部　山口歩