ご支援いただいたプロジェクトの報告について。
《クラウドファンディングでご支援、応援いただいた皆様へ》
去った6月4日にキリバス共和国より帰国致しました。
キリバス共和国での活動日数は移動日も含め、13日間の活動期間となったのですが、
その日数の中で普通ではなかなか考えられないようなご縁の繋がり方や出会いがあり、これらは私たちだけの思いでキリバスへと渡航していたなら起き得なかった事だと感じています。
18年前にキリバスで暮らしていた時、私たち家族がコミュニティの中に入れるように様々な形でサポートし、弟の有楠が幼稚園でも溶け込めるように常にそばにいてくれた恩師との再会を始め、当時いつも有楠と一緒にいてくれたキリバスの大親友とも再会できたことも奇跡だと思える程なのですが、彼の結婚式に参列し祝福することもできたり、良き友となりキリバスと日本の子どもたちの架け橋となり得る人との出会いや、離島との交流をつなぎ今後の活動においても頼りになるコーディネーターとの出会い、離島の友人たちとの出会い…まだまだ挙げればきりがないほどの奇跡の連続でした。
現在のキリバスの詳細な状況はインターネットでは分からず、実際にキリバスに行きそこで初めて分かることなども多いことが想定される中正直不安に思っている所もあったのですが、そんな中でも皆様のご支援、応援、そして共にやっていこうと私たちの横に立ち活動を後押ししてくださった皆様の温かい思いがその不安をかき消し、目には見えない何かに守られているような感覚の中で活動をすることができました。
そして帰国後に東京・沖縄・石垣で行った報告会においても実に71名の方が参加してくださり、キリバスハートプロジェクトであり私たち家族のキリバスでの活動の様子や体験・体感したことをシェアさせていただく機会に恵まれました。
環境の専門家でも、キリバスの専門家でもない私たちの感じたことや学んだことを受け入れ、受け取ってくださった参加者の皆様にも改めて感謝申し上げます。
来週には和歌山・大阪での報告会も開催させていただきます。
地球環境やキリバスなどの専門家でない私たちだからこそ共有できる感覚や思いを心を込めてご報告させていただきますので和歌山・大阪でお会いする皆様どうぞよろしくお願い致します!
ご支援いただいた皆様にはニュースペーパーのような形でキリバスでの活動の様子などをまとめたものをリターンと一緒に配送させていただきます。
またこれからも報告会を開催していきたいと思っておりますのでまたその場で皆様に直接お話しさせて頂けることを心待ちにしています。
今回のプロジェクトをご支援、そして様々な形で応援してくださった皆様本当にありがとうございました。
【活動のご報告】
5月21日に日本を出国し、13日間のキリバス共和国での滞在を終え6月4日に帰国致しました。
18年ぶりのキリバスへの渡航ということで何が変化し、何が変化していないのか、現在キリバスというワードを調べると必ずといっていいほど結びつく気候変動はキリバスの人々の生活にどのような影響を及ぼしているのかなど実際に見て・聞いて・感じてきました。
キリバスは33の島からなる共和国です。そのうち21が有人島ですが、人口11.6万人の多くが首都タラワに集中しています。
タラワは18年前に私たち家族が生活をしていた場所でもあり、今回タラワにあるボンリキ国際空港に着陸してからの街の景色は懐かしく感じるものも多くありました。
例を挙げると、キリバスのバスはハイエースなどの車に20名以上の乗客が乗り込むスタイルなのですが以前と変わっていませんでした。当時はバス停などはなく、道路に出てバスが来るのを待ち、降りる時には「イカイ!(キリバス語でここ!という意)」と運転手に告げ降りるというスタイルで、今現在も変わりはないのですが、タラワの道路にバス停が一定の間隔で設置されていたのは驚きでした。道路はアスファルトで綺麗に舗装され、バンプも設置され車がスピードを出しすぎないように工夫されていたりと、インフラが当時より格段に良くなっていました。
今回の活動拠点は首都タラワと、ベシオから船で一時間半ほどの場所にある島を拠点とし活動させていただきました。活動の目的として、18年前の時点で止まっている私たちのキリバス共和国という国や人の情報をアップデートし、実際に現地の方々の話を聞き交流をすることで気候変動の影響や、それに対しどのようにキリバスの人々が感じているのかという「心」の部分に触れたいと思いキリバスでの活動を行いました。
プレスクールの先生や小学校の先生、現在はキリバス外に生活の拠点を置いている人、タラワに住む人、離島に住む人、キリバスへの支援活動を行なっている台湾の人々、キリバスの警察官など様々な人と交流させていただきました。
私たちがこうしてキリバスに渡航する決意をする前に、キリバスについて学ばせていただくいくつかの機会に恵まれました。
キリバスが今大変なことになっていること。それもキリバスの人々のフォルトではなく、先進国に住む我々のもたらす影響によって自国の土地を失い、故郷を失うという恐怖を感じながら日々を生活しなければならなくなっていることなど。
キリバスで起きている現実を知ることで私たち先進国に住む者の影響がそのような状況を作り出していること、本当に衝撃を受けました。
このような現状を学ばせてもらう中で私は罪悪感に近いものを感じていました。我々が便利に生活するためのツケをキリバスの人が払っているように感じ、日々の暮らしの中で電気を使うことも、プラスチックがあることも罪悪に感じ、家族との暮らしも楽しめなくなるような…愛するキリバスが私たちのせいで沈もうとしているのに楽しんではならないように、そう感じてしまったり、私たち家族の精神状態はそのようになってしまっていました。
そこから来る焦りを動力に変え短い期間でのクラウドファンディングへの挑戦をさせていただいたりというご縁にも繋がり、結果として全ての経験が今に繋がっています。
しかし、キリバスの人々に気候変動の影響や実情について尋ねていく中で私が彼らから学ばせてもらったことは本当に大切な心の動きとは一体なんなのかということでした。
キリバスで様々な人々に気候変動や海面上昇の話を尋ねると、気温が高くなり以前よりも暑くなったこと、実際に道路が波に削られているところを教えてくれたり、家が浸水したなど生活している中で気候変動の影響を感じることがないと答えた方は今回お話をお聞きした中では一人もいませんでした。
しかしそれと同時に今回お話を伺った中でどの方にも共通していることがありました。
それは「今を生きる」ということにエネルギーを注いでいるところです。
今回私たちが話を聞くことができた中でどの方に話を聞いても起きていることへの悲壮感や絶望感といったものは無く、みんな共通して明るいのです。
もちろんキリバスの人々全員の話をお聞きしたわけではないので、これがキリバス人全体の考えや感じ方と断言できるものではありませんが、「今を生きる」ことの明るさや力強さを感じることができました。
日本人的な感覚だと家が浸水した、日頃使っている道が波に削られ使えなくなるなどのことが大きな規模で起きたとしたならそれは一大事で、笑い話にはならないことの方が多いと思います。
しかし彼らは「浸水してる間はマネアバ(地域の集会所)で寝て、水が引いたら戻るだけよ。」と明るく話していたり、「道が削れているなら、違う道から通ればいいだけだからね。」と笑って話をしていたり、明るさがまた無理に明るく努めようとしてのものなどでは無く、心のそこから明るく、それでいて『今』を楽しむことにフォーカスしているものに感じました。
JICA職員の方にキリバスでお話を聞かせていただいたのですが、その時の話の中でも「大洋州の人々は未来のために貯金したりというような概念では無く、今をいかに過ごすかというところにフォーカスしている人々が多い。」というお話もありました。お給料が入ってもそれを貯金に回すというよりはいかに使うかという考えの人が多く、経済成長というところで見ると伸びやすいようになっているとのことでした。
私自身が日本人を代表する感性や感覚を持っているとはとても言えませんが、多くの日本人が今目の前で起きていることでは無く、まだ見ぬ未来のことを憂いたり、不安に思う機会が多いように思います。
もちろんキリバスでの生活スタイルと日本の生活スタイルというものは大きく異なりますが、人間が生きていく時に必要な要素という部分においては共通するものがあると思います。それがキリバスの人々の持つ明るさや出来事の受け取り方というところに含まれていて、もしもその感性を日本人の中に取り入れていくことができたなら、生きていく中でより幸福を感じやすくなるのではないかという希望に近いものを感じました。
キリバスが気候変動の影響を受けそこに住む人々の生活が変化していることは事実です。
しかし影響を正面から受けている彼らの姿は悲壮感や絶望の中を生きているのでは無く、大切な家族、友人、村の仲間たちとの日々を大切に明るく過ごしていました。
現代の地球において先進国に住む私たちには非常に多くのことが求められています。
そしてそこに応えるためにもアクションに移している団体や企業、コミュニティなどは多く存在しています。ペットボトルでは無く、マイボトルと使うようにするなどの一個人レベルでの取り組みを含めると本当に多くの人が地球へのアクションをしています。
しかし、その動機が「やらなければならない。」「やらないといけない。」義務感や責任感、罪悪感などがあまりに強く心を占めてしまうと、その行動一つ一つは素晴らしいものでも、正しさを追求していくことに心がついていかなくなってしまう人もいるかもしれません。
私たちの今後の活動において、環境問題への距離感や捉え方を「やらなければならない」という義務感だけでなく、「取り組みたい」「ちょっとやってみたい」という明るいエネルギーから始まるきっかけを提供していくこと、そしてそのきっかけ作りにおいてキリバスという国や文化、そしてキリバスの人々の心に触れる機会を作ることで環境というものがより身近に感じられると思い、その部分に力と心を注いでいきたいと思っています。
【収支報告】
今回のクラウドファンディングにおいて実に90名もの方々からご支援をいただき、総額で134万円もの金額となりました。これほどまでの金額をクラウドファンディングでいただけることになるとは正直想像もしておらず、今こうして収支の報告をさせていただきながら改めて驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。
クラウドファンディングのことを何もわからない私に一から教えてくださったReady forの皆様にお渡しする手数料の278,424円を差し引いても1,061,576円もの金額を私たちキリバスハートプロジェクトにいただきました。
そして今回のキリバスへの渡航において下記の金額が費用としてかかっております。
交 通 費:889,520円
宿 泊 費:204,549円
食 費:82,891円
レンタカー代金:33,460円
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合計1,210,420円(4名分合計)
皆様からご支援いただいた資金は、全額今回のキリバスでの活動のために使用させていただきました。
改めてキリバスハートプロジェクトスタッフ一同感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
【リターンの発送状況について】
ご支援いただいた皆様へのリターンの発送に関しましては、今現在ひとつひとつ手作業で進めており、当初の予定通り8月までには発送を完了する予定でございます。
【キリバスハートプロジェクトの今後について】
キリバスから帰国した次の日から東京、沖縄、石垣と報告会を開催させていいただいたところで報告させていただいたのですが、
キリバスを救いたいと思い、いろいろなことを調べ学んでいく中で、地球の各地で起きている様々な異常気象にも気候変動が関係しているのかもしれないということに気付きました。
日本でも2018年の7月に歴代最高気温を観測し、私たちがキリバスに行っている間にも北海道で記録した高温がニュースになっていたり、熱中症での死亡者のニュースを見る機会も珍しいものでは無く、ここ数年夏になるとそのようなニュースを見ることが当たり前のような感覚になってきてさえいます。
キリバスにおける気候変動の影響ももちろんですが、日本に住む私たち、先進国に住む私たちもまた地球温暖化による気候変動の影響を受けているのだと思います。
キリバスがこれから先も沈まないと言うことは、地球全体も健康を取り戻し始めていると言うことに繋がり、地球全体が健康になってくると言うことはキリバスが沈まないと言うことにも繋がる。地球の健康とキリバスのこれからはイコールなのではないかと。
キリバスを次の時代にも残していくためには私たちの住む地球に優しい暮らしをする必要があるということ、そして地球に優しい暮らしとは決して罪悪感や義務的な心での関わりでは無く、明るさと楽しさと前向きさを含んだものである必要があると、今回キリバスで更に感じました。
私たち家族が罪悪感を感じてしまっていた時に心も体も想像以上に重たくなってしまい、アクションを起こせなくなってしまっていた私たちがいました。その貴重な体験があったことで私たちはより多くの人、若い世代の人たち、気候変動や温暖化のことは難しくてわからないと感じている方や、気になっていたけど何をどうして良いのかわからない、そう言った方たちが気軽に一緒に楽しみながら、暮らしの中に取り入れられるようにしていくことはできないだろうかと考えるようになりました。
そういったことを感じていく中で、キリバスハートプロジェクトというキリバスにのみフォーカスしたものでは無く、キリバスを未来に残していくと言うことは、地球にフォーカスする必要があり、地球そのものが元気になることなのだと気付きました。
その思いから、今後はキリバスハートプロジェクトを「Earth Heart Project(アースハートプロジェクト) 」という名前に改め、一般社団法人として活動していきます。
地球環境やキリバス共和国の専門家でもない私たちだからこそ伝えられるハートを大切に、キリバスの人々の持つ明るさを忘れず、「環境」という壮大で重要なテーマをより身近に感じ、様々な形でのアクションをしていきたいと思えるような機会を提供していきたいと思います。
活動の内容も方向性も私たちのみで決めるのでは無く、自然界が多様性で成り立っているようにたくさんの人の思いや考えを共有し、HAPPYやJOYの気持ちを忘れずにみんなでこのプロジェクトに取り組んでいきたいです。
これから始まるアースハートプロジェクトも皆さんよろしくお願いいたします!