"The Road to Jamaica"のご報告と御礼
表記のプロジェクトをご支援下さった方々にご報告と御礼のご連絡をさせて頂ております。
12月17日から21日にジャマイカ、キングストンにあるUniversity of Technology, Jamaicaで開催されたJamaican Association for Debating and Empowerment (JADE)の国際英語ディベート大会に参加して参りました。
初めての海外旅行がジャマイカという男子生徒もおり、引率する私自身にとっても未踏の地であったジャマイカ。空は透き通る程に青く、現地の方々は温かくそして親切で、遠い日本からやって来た私たち6名を毎日もてなして下さいました。
帰国して数日が経過しますが、Tシャツで十分過ごせるほど暑かった気温以上に心揺さぶられる熱い体験をすることができました。これもひとえにクラウドファンディングを通してご支援下さった皆さまのお気持ちがあったからこそです。高校生5名とともにこの場を借りて、御礼申し上げます。
さて、往路はロサンゼルスとマイアミで飛行機を乗り継ぎ、クタクタになりながらも到着したキングストン空港には、JADEの代表責任者であるMr. Jermaine BaretteとチーフジャッジのMarleneさんが待ってくれていました。初めて外国から参加者が、しかも遠い日本からやって来たことに大変感激されていた様子で、彼らの笑顔に長旅の疲れも吹き飛んだことを今でも鮮明に覚えています。
滞在した場所は休暇で大学生の居なくなったUTechの学内の寮でした。お世辞にも環境が良いとは言えない大学の寮でしたが、何一つ不自由なく過ごせる日本の高校生にとっては価値観を変えることができる経験ができ、有難いと感じました。常温の水で浴びるシャワーや所構わず鳴り響く音楽に最初のうちは戸惑いましたが、帰国した今では便利であることが必ずしも幸せではないことを実感しています。日本の子どもたちは先回りして手厚く世話されることで、行動力や主体性が育っていないことも再確認できました。
滞在2日目から3日目は英語ディベートのワークショップが行われました。日本では経験したことのなかったBritish Parliament (BP)という形式で大会が行われることに高校生たちは不安を感じていましたが、初心者向けと上級者向けに講座が用意されており、じっくりと基本や応用について学ぶことができました。講師にはアメリカから英語ディベートの専門家であるMarlene、Ken、Michael、JPという4名が招かれ、大会の運営やジャッジも担当されました。細かいことは今後企画予定の帰国報告会や講習会で共有しますね。
滞在4日目と5日目は待ちに待った英語ディベート大会でした。しかし、英語ディベートだけでなく、パブリックスピーキングコンテストも企画されており、高校生たちの不安はますます膨れ上がりました。というのもジャマイカの高校生や大学生たちの人前でのパフォーマンス力の高さといったら、日本人は圧倒されてしまうほどでした。なぜ、あれほどまでに人前で話をすることに長けているのか?滞在中ずっと疑問でした。色んな人に尋ねて、自分で得た結論は教育の結果というより、もう「文化の差」だということでした。ひとたび場を与えられると歌ったり、踊ったり、人を楽しませることに慣れきっているジャマイカ人。日本人のように正しい答えを言わなければならない、間違ったらどうしようと心配する空気が一切なく、同調圧力が生まれる雰囲気もなく、伸び伸びできる環境がそこにはありました。このパブリックスピーキング力を育む風土こそ日本でも初等教育から創っていくべきもの。3学期から勤務校でも実践していこうと思っています。パブリックスピーキングはジャマイカの生徒たちに圧倒されながらも廣瀬京香さんが2回戦に駒を進めるなど健闘してくれました。
そして本題のディベートですが、結果はなんとなんと2チームがクオーターファイナルという2日目の本戦へと駒を進めることができました。つまりベスト16に選出されたということです。初めてのBPに最初は不安しかなかった高校生たち。普段より短い15分というプレパ時間で準備をしなければならない重圧。さらにひとり7分間というこれもいつもより長いスピーチをしなければならないという緊張感。しかも相手は外国人。Swing Teamとして出場した河南直希君に至っては毎回パートナーが外国人というおまけ付き。
そんな不安だらけのBPスタイルでの英語ディベート大会ですが、試合を重ねるごとに実力をつけ、最終的には15分で準備することも、7分間でスピーチすることも難なくこなせるようになり、帰国した今では「早くディベートがしたい!」と言ってくれるまでに成長しました。2月9日(日)にHPDU連盟杯の大阪府大会、2月中旬にはPDWCという国際大会に出場しますので、そこに向けてジャマイカで得た経験を生かし、さらに学び続けてくれることと思います。
今回参加したJADEは毎年活動の幅を広げられており、来年はルワンダからもディベーターを招待されるようです。来年は本校の生徒たちだけでなく、他校の生徒たちも日本から連れて行ければと考えています。
Actions, NOT Words.この言葉が実行できたのも高校生たちの夢と希望を応援してくださった方々のご支援あってのことで、現地の方々も驚いておられました。今回のプロジェクトは出発前に予想していた以上に成果が大きなもので、高校生たちが一回りも二周りも大きくなって帰国しました。彼らとの繋がりも強くなり、「教育とは偏差値ではなく体験」というモットーを味あわせてあげることができました。
皆さま、本当に本当にありがとうございました。ご支援いただきましたお金は大阪からキングストンへの往復の渡航費に使用させていただきます。