約26年前、長男ユースケが障がい児だと宣告された。

新米ママだった私は、ユースケが少しでも歩けるようにと厳しい訓練を毎日課していた。

 

「歩けるようになるためには、もっと頑張らなくちゃダメ!」って言ったし、時には鬼の形相で><。私もユースケも、そして家族全員がしんどかったなぁ。

 

そんな時、私はあるきっかけで車いすダンスに出会った。

車いすで踊るダンサーの車いすは彼の素敵な“足”そのものだった。障がいのあるカラダを受け入れ、そのカラダ全てが表現体となることを望み、喜ぶその姿にいのちの輝きをみた。

 

あぁ、幸せとはこういう瞬間のことなんだ・・・と心が震えた。でも、その時ふと息子の姿を車いすのダンサーに重ね合わせた。

 

ユースケは・・・幸せなのか・・? 歩けるようになった彼の姿を遠い未来に描き、必死に頑張る私は目の前の息子の“ほんとう”を見ていなかった。その根底には障がいや障がい者に対する差別や偏見があるからだと気が付くのにもちろん時間はかからなかった。

 

誰よりも息子を愛していると信じていた自分の心の奥底に、自分でも気付かなった息子への眼差しがあることに気づいた私は、息子が障がい児であると宣告を受けた時よりも激しく心が痛んで涙を止めることができなかった。遠い昔の話である。

 

でもその時、たぶん初めて「幸せに生きるためには・・・」という意味について私は深く考えたのだと思う。

 

そう、幸せに生きるためには、全ての人、一人ひとりが自分らしく、この社会の中で生きられることに他ならないのだと。

 

人は、幸せになるために生まれてきたのだと今は思う。

だから、お互いの違いを認め合い、受け入れ、共感・共鳴できる社会をみんなで創っていき、自分らしい幸せをかみしめて生きてこうって、誰かの肩に触れながらその思いを発したい。

 

幸せとは漠然と想うものではなく、現実的な出来事に向き合う眼差しから生まれるものだと思うから、幸せになれる可能性は無限大だよって・・・悩める誰かに伝えたい。

 

桜花学園大学保育学部 国際教養こども学科

寺田恭子(Kyoko Terada)

 

 

【プロフィール】

寺田恭子(テラダキョウコ)

桜花学園大学 保育学部 国際教養こども学科教授

全日本車いすダンスネットワーク副会長、アジア車いすセンター理事など。

タイやインドネシアの重い障がいのある子どもたちにも車いすダンスを教えている。