仕事がら、様々な人たちにお目にかかり、お話をうかがう機会があります。

そんな中で、はっと気づかされたのは、トランスジェンダーの方から、「とにかく自分の名前が嫌いなんです」という言葉を聞いたときでした。

 

その人は女性の心を持っているにもかかわらず、親が名付けた名前はとても男らしいものだったのです。驚くとともに心が痛みました。 私自身、自分の子どもに名前をつける時、考えに考え、画数を調べ、いく日もいく晩も費やしました。この子が幸せな人生を送れるようにと。そんなふうに親が想いを込めた名前を、子どもが嫌いになってしまうのは、親も子もどちらにとっても悲しいものです。

 

私は自分の子どもの名前に、トカゲの尻尾のように切り取れる部分を作りました。ひらがなにすると5文字なのですが、前半の2文字はジェンダレスに使えて、どの言語を使う人にも発音しやすく、後半の3文字は男性を表しています。本人の意思により、臨機応変に対応できるようにと考えたのです。

 

なんの疑問も持たずに受け入れている"常識"が、ときに誰かを傷つけたり困らせたりしていることを知り、その誰かのためにちょっと想いをはせるだけで、世の中はもっと居心地がよくなる。

 

子どもの頃からその習慣があれば、未来はもっともっと輝かしくなるに違いないと、私は信じています。

 

タイムアウト東京 取締役副社長

東谷彰子

 

 

【プロフィール】

幼少期はマニラ、中学高校はバンコクで過ごす。

1996年に帰国し、早稲田大を卒業後、TOKYO FMに入社。

制作ディレクターを務め多様な番組を担当。

2010年にタイムアウト東京入社。コンテンツディレクターとして、編集、営業、PRなど幅広く担う。

17年、取締役副社長に就任。

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