こんにちは,落合陽一です.皆様のご支援に心から感謝を申し上げます.大勢の方々からの応援コメントに,本当に勇気をもらっています.

 

さて,今回は,学部生のときにSIGGRAPH2016のStudent Research Competitionで2位にもなり,現在は修士1年生として弊ラボを引っ張ってくれている橋爪智くんです.

 

(橋爪 智/1994年生まれ。筑波大学図書館情報メディア研究科修士課程1年)
 

 「面白いことをしたい」直感で飛び込んだ研究室


ー デジタルネイチャー研究室へ入るきっかけは?

 

僕は、第1期生として2015年に研究室に入りました。本当は、筑波大学には他の研究室に入りたくて高専から編入してきました。落合さんが着任することが発表されて「面白そう!」と思い、筑波大学は通常4年生から研究室が始まりますが、学部3年生の時にここに入りました。

 

ー 研究室に入る前から開発をしていたんですか?

 

中学校ではパソコンを使う部活に所属していて、中学2年生くらいからプログラムをしていました。高専に入学したのは、パソコンが好きでゲームを作りたいと思ったからです。ロボコンに出場したりしていたので、回路を設計したり組み込み系のプログラムを書いたりしていました。今でもプログラミングとハードウェアの両方をやっています。

 

 

 最初の研究がSIGGRAPHで2位に


ー いちばん思い入れの強かった研究は何でしょう?

 

いちばん最初の研究「Cross-Field Haptics」ですね。2016年のSIGGRAPH*で発表して、ACM Student Research Competitionで2位を受賞しました。

*SIGGRAPH(シーグラフ):アメリカで最大規模の4万人の参加者が訪れる学会

 

触覚を提示することに挑戦した研究です。動画はタッチパッド上で「動く心臓」を表現したときのものです。画面に磁性流体を敷き詰め、静電吸着を引き起こす仕組みを組み込み、凹んだり出っ張ったり、表面のテクスチャが変化するようにさせました。プロジェクターで映像を映し、指でなでると抵抗感、柔らかさ、振動などの触感を同時に感じることができます。

 


当初、落合さんから「まず論文を50本読め」と言われたところから始まりました。海外の論文に書いてあることを実装するための詳細な回路図を考えたり、論文を読んだ上でオリジナリティを加えるには新しく何を実装できるかを試行錯誤したり…。今も一緒に研究している同級生2人と協力して、6~9ヶ月くらいで実装、1年かけて最初の発表を行いました。一緒に研究してきている仲間とはずっと仲がいいですね。
 

 

 クラウドファンディングで新しい芽を育てることに投資してほしい


ー これまでに開発を断念せざるを得なかった研究はありますか?

 

幸いにも「やりたい!」と思ったことは全部やってこられたと思います。ここでは学生と落合さんとの距離がとても近くて、学生だからといってやりたいことにダメとは決して言われない。何でも挑戦することができます。半強制的に、何でもできないといけない環境でもあるんですが…。結果が出るまで頑張り続けられる忍耐を持って、苦手な部分は学生同士互いの得意分野で補完し合って乗り切ります。

 

クラウドファンディングの良いところは、成功できるか分からないチャレンジングな研究にもお金を使うことができる点。特に結果が出せるか見えない下級生にとっては、自由なお金があるのは非常に有難いです。研究支援制度もありますが、資金が足らない学生や、対象になれなかった学生もいるので、新しい芽を育てることに投資してもらえるのは助かります。

 

 

 今考えるのは研究をいかに早く市場に出すことができるか


ー これからどんな研究をしていきたいですか?

 

今取り組んでいる「Telewheelchair」という車椅子の研究はもちろん、触覚の研究も引き続きやっていきたいです。車椅子の研究では、介護者の負担をいかに軽減させるために車椅子をどう連携させるか、遠隔介護の場合でも搭乗者の恐怖心をいかになくすことができるか、そして安全性など、社会にある一つ一つの課題と向き合い、実用化に向けて開発を進めています。

 

研究しているモノや事を早く市場に取り入れていきたいと思っています。「研究は市場に出るまでに20年かかる」とも言われていますが、それをもっと早くできるようにすることや、どうすれば研究がより身近になるのかを考えていかなければならないと思っています。

 

 

 
 Q and A

ー落合さんの研究室はどんなところ?

 

研究で躓けば落合さんが必ずヒントをくれる。常に一歩先を考えている人。落合さんが忙しいこともあって、学生の自主性が高い研究室でもあります。修士の学生が学部生を指導するといったことが当たり前のように早い段階で行われています。

 

ー普段好きでやっていることは?

 

ねっしー 自然教育研究会という、子供向けのイベントを企画するサークルに所属していて、山に行ってキャンプしたりしています。あとは美術館に行くのも好きです。最近は、レアンドロ・エルリッヒ展に行ってきました。おすすめです。

 

ー研究室のメンバーとは研究以外でどんな会話がありますか?

 

アイドルが好きなメンバーも多くて、派閥も存在している程なんですが…主権力は乃木坂ですが、僕はももクロ推しで、そんな会話をよくしますね(笑)。

 

ー研究室を後輩に勧めるとしたら、どういう人が向いている?

 

途中で諦めない人。「最後まで順調にいく」ことは基本的にはないのですが、失敗すると諦めてしまう人が多い中で、結果が出るまで頑張り続けられる人が向いていると思います。

 

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●橋爪 智 - はしづめ さとし

http://www.luma.blue/

1994年生まれ。筑波大学図書館情報メディア研究科修士課程1年。デジタルネイチャー研究室所属。Computer Graphics、Entertainment Computing、HCIなど幅広い領域で研究活動に従事。2016年にはSIGGRAPH2016にて「Cross-Field Haptics」を発表しACM Student Research Competitionで2位を受賞。「Telewheelchair」はThe James Dyson Award 国際TOP20に選出されている。

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