子どもたちは解き放たれ、そして歩む
黄金色に輝く稲穂、どこまでも遠い青い空。実りの色に溢れる季節です。
この度は、「西日本豪雨愛媛県子どものこころのケア」プロジェクトをご支援いただき、誠にありがとうございました。
おかげさまで、10月24日に第3回となるおえかきケアを実施し、第一段階となる3回のプログラムを終了しました。
絵によるケアをご理解いただいたみなさま、
応援メッセージを送っていただいたみなさま、
ご支援、ご協力いただいたみなさま、心より感謝申し上げます。
今回のプロジェクトに参加してくれたのは、愛媛県大洲市の子どもたちです。
大洲市内を流れる肱川の鵜飼いは日本三大鵜飼いの一つで、とても幻想的ですし、大洲城や明治時代の建造物も数多く残る、愛媛の小京都と言われる街です。
しかし、先日市内を歩いてみると、まだまだ7月の豪雨による土砂崩れがあちこちにあり、復旧していない家屋も多く残っています。
<プロジェクト実施内容及び報告>
[実施日] 2018年8月8日、9月25日、10月24日 全3回
[会 場] 国立大洲青少年交流の家
[対 象] 平成30年7月豪雨被災児
[参加者数] 延95名
[ボランティア] 延16名
初めましての第1回(8月8日)は、ちょっぴり緊張気味の子どもたち。お行儀よくスタートしましたが、時間が経つにつれて、笑顔が増え、絵の具のダイナミックな表現も出てきました。
この日のために東雲女子大学の教職員、学生の方々が牛乳パックで絵の具用の筆洗をたくさん作ってくださいました。当日もボランティアスタッフとして参加してくださいました。
第2回(9月25日)には、絵の具で汚れることもわかって、着替えを持って元気よく会場にきてくれました。どんな作品も受容されることもわかってきて、「フジイマサコー!ここにすわれ!」と言ってくれた男の子もいました。こんなセリフが出てくると、こころの中に抱えた苦しいものも安心してどんどん表現してくれるようになっていて、本当にホッとします。
第3回(10月24日)は時間を割いていただいて、おえかきケアプログラムの前に学童保育にお邪魔してスタッフの方々に中間報告をさせていただきました。元気よく表現した作品の中に子どもたちの苦しさが表されていることも改めてお伝えして、その後子どもたちを迎えました。
すっかり解放されている子どもたちは、絵の具まみれになることに終わりを告げる兆しを見せ、ようやく解放されてきた子どもたちは、絵の具や粘土の感触をたっぷりと味わい、作品に集中しました。
「なんで、こんなに(時間が)短いの!?」と怒り出した女の子の姿も微笑ましく、ボランティアスタッフの一人として参加してくださった、交流の家のスタッフの「前回より落ち着いていましたね。全然ちがいました。」という言葉も印象的でした。
特にこころのケアの場合、提示したテーマで子どもがお行儀よく絵を描くことは目指してはおりません。形のない作品や、自由に表現できる場での過ごし方に子どもの内面が表現されていることが多くあります。
こうしてこころの中に抱えた苦しいものをどんどん表現してもらうことがおえかきケアの大きな目的ですが、これらは多くの場合大人が受容しづらい形で表出されます。こころに受けたダメージを回復するにはこうした段階を通過します。
今回、この段階を通過するために何より、学童保育スタッフのみなさまのご理解とご協力が非常に大きいものがありました。絵の具で汚れる子どもたちのサポートは本当に大変ですが、そんな子どもたちを温かくサポートしていただきました。心より感謝しています。
また、ボランティアスタッフとして支えてくださった方々の力も大きく、形のある作品も、ない作品もすべてを受容する大人が一人でも多くいること自体、子どものこころの解放につながります。
そして、国立大洲青少年交流の家からは会場と子どもたちの送迎のためのバスをご提供いただきました。また、現地学童保育とのコーディネートも担っていただきました。
<収支報告>
皆さまからご支援頂いた資金(Readyfor手数料除く)は、全額以下に使用させていただきました。
・画材(絵の具、画用紙、画板、ねんどなど)143,616円
・交通費・宿泊費 107,720円
・送料 15,094円
*いずれも8月8日〜10月24日全3回開催分
プロジェクトをご支援いただいたみなさまには、すでにリターンの発送作業が完了しています。
<これから>
多くの方々のご支援により、第一段階は無事終了しました。
しかし、こころのケアは一般的に6ヶ月間が一区切りになることが多く、今回参加してくれている子どもたちの様子を見ていても、もう少し機会が必要です。
そこで、引き続き2019年1月まであと3回、合計6回のプログラムを実施する予定です。
子どもたちが元気を取り戻していく姿からは未来に向かって歩むエネルギーが放たれ、そのエネルギーが漂うことが大人たちも、街も元気にしてくれることと思います。
今後ともみなさまのご支援、ご協力をよろしくお願い申しあげます。