売り切れたがんがわかる本を最新の情報も取り入れ再出版したい!

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支援総額

838,000

目標金額 750,000円

支援者
124人
募集終了日
2015年2月8日

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2014年12月25日 14:31

がん研で、遺伝性乳がん卵巣がんの市民向けセミナー

皆様こんにちは。川口恭です。どのようなクリスマスをお過ごしですか? さて本日は、がん研で先週土曜日に開かれた市民向けセミナーの模様を、『ロハス・メディカル』専任編集委員の堀米香奈子がご報告します。がん関連のニュースとして、お読みいただければ幸いです。

 

 平成26年12月20日(土)、がん研究会で『遺伝性乳がん卵巣がん-遺伝子情報をがんの診療に活用する-』と題したセミナーが開かれました。この遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)に関しては、ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーが乳房の予防的切除手術を受けたことから、急速に関心が高まっていますね。日本でも毎年数千人が発症すると推計されていますが、国内のデータ不足と診療体制の貧弱さとが悪循環に陥っているのだそうです。

 

年間数千人が発症


 今回のセミナーは、厚生労働科学研究(がん政策研究)推進事業「わが国における遺伝性乳癌卵巣癌の臨床遺伝学的特徴の解明と遺伝子情報を用いた生命予後の改善に関する研究」の一般向け発表会として開催されました。(チラシはこちら


 研究分担者で登壇者の一人、札幌医科大学の櫻井晃洋教授によれば、日本人の乳がんの約5%、卵巣がんの15‐20%がHBOCによると推計されます。2014年に新たに発症した患者は乳がんで約86700人、卵巣がんで9900人と見込まれることから、1年間に数千人はHBOCによって、がんを発症している計算です。

 

 原因遺伝子として有名なのがBRCA1とBRCA2で、変異陽性の場合、一生のうちに乳がんや卵巣がんを発症する確率は、それぞれ40‐70%、10‐50%と推測されます。がん研有明病院の新井正美遺伝子診療部部長によると、BRCA1陽性だと、35%の人は40歳未満で発症し、75%は50歳未満で発症するそうです。発症していなくても子に5割の確率で遺伝します。


 その他、研究班メンバーの参加している日本HBOCコンソーシアムでは、HBOCの特徴として以下を挙げています。(パンフレットはこちら

・若年で乳がんを発症する
・トリプルネガティブ(エスロゲン受容体やプロゲステロン受容体を持たず、HER2発現がないタイプ)の乳がんを発症する
・両方の乳房にがんを発症する
・片方の乳房に複数回がんを発症する
・乳がんと卵巣(卵管、腹膜を含む)がんの両方を発症する
・男性で乳がんを発症する
・家系内にすい臓がんや前立腺がんになった人がいる
・家系内に乳がんや卵巣がんになった人がいる


データ不足が生む悪循環


 さて、日本人ではHBOCの実態把握が遅れています。上記の発症率も実は米国のデータが使われています。


 実態把握の遅れている大きな原因が、BRCA1・2の遺伝子検査は保険が使えない、いわゆる自費診療であり高額であることだと、昭和大の中村清吾教授・日本癌学会理事長は説明します。現在、BRCA1・2遺伝子検査は20万~30万円程度の自己負担で行われています。2012年には、HBOC と見られる患者についてのBRCA1・2遺伝子検査に先進医療の申請が行われましたが、日本人のデータ不足を理由に認められませんでした。費用が高額であるため検査を受ける人が少ない、検査を受ける人が少ないから自費診療のまま留め置かれるという、悪循環に陥っているのだそうです。


 注意しなければならないのは、「祖母は老衰で亡くなった」と思っていても実は卵巣がんの腹膜転移を起こしていたり、「骨のがんで亡くなった」というのが本当は乳がんの骨転移だったりと、核家族化の中で親戚の病気まできちんと把握できず、「思い込みの家系図」で安心していることも多いと考えられることです。


 そこで研究班は、来春をめどにHBOCの全国登録事業を開始します。症例データを集めることで、悪循環を断ち切ろうというわけです。


予防的切除は?


 なお、遺伝子変異があったとしても、絶対に予防的切除をしなければいけないというものではありません。乳がんであれば、乳腺MRI検査を受けながら様子を見ていくのも選択肢です。亀田京橋クリニックの戸崎光宏放射線科部長によれば、乳腺MRIは、従来のマンモグラフィーや超音波検査では発見しづらかった乳がんまで見つけられるとあって導入が進み、機械の台数は実は日本が世界一なのだとか。問題はやはり自費診療であり検査費用が高額だという点です。一方、卵巣がんの場合は、骨盤MRIが未整備で、他の選択肢としての経口避妊薬の効果も「考慮」できる程度であるため、予防的切除が行われていると、慶應大学産婦人科の青木大輔教授から説明がありました。


 遺伝子診断やカウンセリングに関しては、遺伝子差別や偏見の問題も北里大学大学院の高田史男教授から指摘されました。偏見があるために検査さえも躊躇することになっては本末転倒です。遺伝子検査を受けた後、どこでフォローあるいは治療してくれるのかという体制も未整備です。そこで、今回のセミナーを後援した日本乳癌学会、日本婦人科腫瘍学会、日本人類遺伝学会の3学会に、日本産科婦人科学会と日本遺伝カウンセリング学会を加えた5学会が連携して、HBOCを診療できる医療機関の施設認定制度(遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度)の創設を検討しているとのことでした。


 余談ですが、私は母方の祖母を乳がんで亡くしています。最初に見つかったのは50歳を過ぎた頃とさほど早くなかったものの、乳房切除して10数年後に反対側にも発症しました。そのことを、母も伯母も60歳を過ぎても発症していないという安心材料もあって、普段はほとんど思い出すこともありませんでした。それでも今回、陽性の人の乳がん・卵巣がんの発症率は30~40代から急増、陽性の人は陰性の人より15年早くから検診・対策を、という話を聴き、遺伝子検査を受けてみたくなりました。もちろん、費用を聞いてあっさり諦めましたが……。

 

 必要とする人が必要とする検査や治療を負担軽く受けられるよう、またHBOCへの理解が進むよう、日本人でのエビデンスが積み重ねられていくことを期待したいと思いました。

リターン

3,000


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サンクスメール
『がん研が作った がんが分かる本』第2版 1冊
『ロハス・メディカル』オリジナル和紙一筆箋 1冊

支援者
16人
在庫数
制限なし

3,000


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サンクスメール
『がん研が作った がんが分かる本』第2版 1冊
『ハート・リング運動が作った 認知症が分かる本』1冊

支援者
67人
在庫数
制限なし

10,000


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サンクスメール
『がん研が作った がんが分かる本』第2版 1冊
『ロハス・メディカル』オリジナル和紙一筆箋 1冊
『がん研が作った がんが分かる本』第2版 表2(表紙の裏)面へ寄付者として氏名記載

支援者
47人
在庫数
20

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