皆様のご支援により、コンサートを開催することができました!
12月25日、「東京子どもアンサンブル 初めてのコンサート『クリスマスの送り物』」を無事に終了いたしました。予定していた資金の確保がままならず、クラウドファンディング開始に向けて動き始めた9月は不安な気持ちでいっぱいでしたが、たくさんの方からのご支援と、あたたかなメッセージに、私たちは何度も励まされ、当日を迎えることができました。応援くださった皆様、本当にありがとうございました。
▼コンサートの様子
会場のHakuju Hallはチケット完売の満席。ライブ配信でも多くの方が鑑賞くださり、皆様に見守られながらコンサートは幕を開けました。
第1部は東京子どもアンサンブルによる5曲のクリスマスソング。「おめでとうクリスマス(イギリス民謡)」、「前歯のない子のクリスマス(D.ガードナー)」、「ノエルの子どもたち(P.モーリア)」、「オーべルベリエの夜(M.マチュー)」、「すてきな冬景色(R.スミス)」という、元気な曲から静かな雪の夜を思わせる静かな曲までが歌われ、4部構成のコンサートが始まりました。
第2部は、ゲストの田中彩子さんのソロステージ。「月の光(C.ドビュッシー)」、「星の輝く夜(C.ドビュッシー)」、「星の光(C.ドビュッシー)」、「きらきら星変奏曲(W.A.モーツァルト)」、「ヴィラネル(E.デラックア)」の4曲。繊細なコロラトゥーラソプラノが会場にやさしく響きました。
休憩をはさんだ第3部は、童声合唱組曲「あめつちのうた(林望作詩・上田真樹作曲)」。東京子どもアンサンブルがずっと大切に歌ってきた曲であり、昨年、田中彩子さんと初めて一緒に歌ったのもこの曲でした。今回は、エル・システマジャパンの仲間、相馬子どもコーラスと舞鶴子どもコーラスが、音と映像による共演。スピーカーから流れる2つのコーラスの歌声に、東京子どもアンサンブルの歌声が重なり、田中さんの高音がそれをやさしく包みこんでいました。
友情出演の相馬子どもコーラスと舞鶴子どもコーラスもライブ配信でコンサートを視聴。春と秋に録音した「あめつちのうた」の共演を楽しみました。
そして最後のステージ。「アヴェマリア(G.カッチーニ)」、「エターナルライト(千住明)」、「新しい星光った(林光編曲)」よりクリスマスソング3曲、そして「聖夜(F.グルーバー)」を、東京子どもアンサンブルが田中彩子さんと一緒にお届けしました。そしてこのステージでは、11月に行われたヘレン・ケラー記念音楽コンクールで、第1位、第2位を受賞した仲間が、コンクールと同じ曲「ピエイエズ(G.フォーレ)」、「アヴェ・マリア(L.ルッツィ)」をそれぞれ披露。大きな拍手に包まれました。
やまない拍手にこたえ、アンコールは「ノエルの子供達」。田中さんと一緒に開催する、東京子どもアンサンブルの「はじめてのこんさーと」が幕を閉じました。
すべてのプログラムを通して、エル・システマジャパンのコーラスの音楽監督であり、編曲も担当された指揮者の古橋先生から楽しく曲が紹介され、司会の田添菜穂子さんと共にコンサートを盛り上げました。また、伴奏はすべて、練習でも優しく子どもたちに寄り添ってくださるピアニストの野間春美さん。歌手やコーラスの力を引き出し支えるピアノ伴奏に、子ども達も安心して歌うことができました。
▼コンサートを終えて
コンサートの曲目15曲が決まったとき、スタッフは少しだけ不安でした。コロナ禍で練習も思うように進めることができない時間が長かったうえに、そのほとんどが初めて取り組む曲、しかも難易度も高い曲だったからです。子どもたちも「この曲難しすぎるー!」と口々に叫んでいたとか。さらに今回は、1人または数人のソロパートがあって、舞台裏でもとても緊張した様子でしたが、皆300人近いお客様の前で堂々と、生き生きと歌い切りました。
来場者のアンケートからは、「今年行ったクラシックコンサートの中で間違いなく一番でした」「子どもたちの歌声に心洗われました」「目のみえない子どもを手引きして舞台に上がる姿、素晴らしいです」などの声が寄せられています。
また、共演いただいた田中彩子さんからは、「一緒に歌っていて、歌うっていう事の本質はここにあるんじゃないかと、思いながら歌っていました。本当にかけがえのない時間をご一緒できて感動しっぱなしでした。」というメッセージもいただきました。
▼資金の使い道
皆様からご支援いただいた資金は予定通り、会場費や出演者謝金、オンライン配信費用、編曲料、広報費用等、すべてコンサートを開催するための費用として使用いたします。また、目標額を超えてお預かりした分は、講師謝金等、「東京子どもアンサンブル」の運営費として活用させていただきます。
▼リターンのお届け
会場チケット、オンライン配信チケットにつきましては、当日までにお送りいたしました。お届けが、直前になってしまいたいへんご心配をおかけいたしました。他のリターンにつきましても、発送完了予定月までにはお届けの予定です。日程等が調整になるものは、年明け以降順次ご連絡させていただきます。
▼これからの東京子どもアンサンブル
終演後の子どもたちは、田中彩子さんにメッセージを書いてプレゼントしました。そこには、田中さんの歌声がとてもきれいだったこと、歌が好きなのでずっと歌っていたいことなど、それぞれの思いが書かれていました。点字で書いた子どものメッセージには、保護者の方が隣に日本語を書いてくれました。
田中さんは圧倒的な歌声でステージを盛り上げてくださっただけではなく、練習、リハーサルそして舞台の上まで子どもたちを気遣ってくださいました。元気のない子、一人でいる子がいたらそっと近づき優しく声をかけ、休憩中もずっと子どもたちと一緒にいてくださいました。そんな田中さんのことがみんな本当に大好きで、また一緒に歌いたい!と今から楽しみにしています。
コンサート冒頭のご挨拶で、代表の菊川がこんな話をしました。
*** ***
私がエル・システマジャパンを立ち上げる前に働いていたのがユニセフとユネスコという国連機関。思い出すのが、今から四半世紀前にユネスコに入った頃に、ユネスコが21世紀の教育について出版した政策提言書。当時のEUドロール委員長が仕切って、彼の名前が付けられたドロールレポートですが、とても示唆に富む内容でした。
21世紀の教育は、Learning to know(知ることを学ぶ)、Learning to do(何かをすることを学ぶ)、Learning to live together(一緒に暮らすことを学ぶ)、そして、これが一番大切だと思いますが、Learning to be(あなたがあなた自身であることを学ぶ)が大切になるでしょうと。
まさに、東京子どもアンサンブルは、このことが実現できる場を目指してきました。美しい声を出す方法を学び、その声で歌を歌くことを学び、仲間と共に声を合わせることの楽しさを学び、そして、障害があろうとも、性的嗜好が異なろうとも、生まれ育った場所が違おうとも、ありのままの個性が大切なことを学ぶ場所です。
ドロールレポートは、21世紀は、20世紀より、より民主的で、平和で、人間的な時代になっていると語っていました。残念ですが、2022年が終わる今、専制的な政治は未だなくならないですし、ウクライナでは戦争が続いていますし、海外だけでなく日本でも貧富の格差が広がり人間的な生活が送れない状況があります。
でも、今日、この日のために頑張ってきた子どもたちの歌声を聴き、温かい気持ちになって、世界中の現状に思いを馳せて頂ければ嬉しいです。
*** ***
何より歌うことが好きな子ども達。目がみえない、みえにくい、通っている学校、それぞれの背景・・・そんなことは関係なく、休憩中に一緒に遊ぶ子ども達。そんな子どもたちがつくりだすハーモニーによって、異なるものが一緒にひとつのものを創り出す美しさや力強さを、これからも発信していきます。
そして何より、子どもたちが子どもたちのままでいられる場所を、私たちはつくり、守っていきたいと思います。
これからも、東京子どもアンサンブルの活動を応援よろしくお願いいたします!この度は、たくさんの皆様に応援いただき、本当にありがとうございました。
事業共催の東京芸術劇場の皆様、公演共催のHakuju Hall皆様、事前の録音からオンライン配信までを一手に引き受けてくださった皆様、この活動に協賛くださった企業の皆様、指導や点訳のボランティアの皆様をはじめ、多くの方々の力があってコンサートが実現し、無事に開催することができました。そして何より、今回、クラウドファンディングを通してでご支援・応援いただいた皆様、会場で、配信で演奏を聴いてくださった多くの皆様に心より感謝申し上げます。