保護依頼と現実

猫の保護依頼を受けて、ある建物へ向かいました。

「5匹いるはず」と聞いていた猫たち――でも、姿を見せてくれたのはたった1匹。

その子は、ぽつんと、静かな部屋で私たちをじっと見つめていました。

 

猫たちがいたのは、3階の一室。

人の出入りはほとんどなく、日に1回だけご飯が置かれるだけの生活。

けれど、それは決して“放置”ではありませんでした。

 

実は、猫たちの保護主様は、同じ建物の中で今も暮らしておられます。

長く体調を崩されながらも、たった一人で猫たちの命を守り続けてきた方です。

小さな保護施設として運営されていたその場所を、やむを得ず閉鎖せざるを得なかったのは、病気の進行によるものでした。

 

「避妊・去勢手術をして、地域に戻す予定です」と話す保護主様。

その言葉の裏には、どうすることもできない現実と、苦渋の決断がありました。

 

私たちは、すぐにでもこの子たちを保護したかった。

けれど、今はまだ、受け入れられるシェルターが完成していません。

 

あと少し――あと少し早ければ、あの子たちを温かい場所に連れて帰ることができたのに。

そう思わずにはいられませんでした。

 

この現場で見たのは、「命を守りたい」という想いと、間に合わない現実。

そして、私たちが一日でも早く、安心して命を預かれる場所をつくる必要性です。

 

どうか、今なお取り残されている命のために。

もう、間に合わないなんて言いたくありません。

 

私たちのシェルター建設に、引き続きお力添えをお願いいたします。