株式会社翔設計　動物園コンサルタント 草野 元輝様からの応援メッセージのご紹介

世の中により良い動物園をつくりだすことを目指して、千葉市動物公園の皆さまとは、ゴリラのエリアを含む森林・湿原ゾーン整備基本計画を一緒につくり上げてまいりました。

新たに整備するゴリラのエリアは、起伏の造成と樹木の配置によって、生息地であるアフリカの森林のランドスケープを創出による生息環境の景観形成と、そこでの行動を誘発し動物の自然行動を眺めることができる生息環境展示を計画しています。また、千葉市動物公園が繁殖に適う施設整備や海外からの動物を受け入れるための検疫設備の整備などを予定しております。この再整備を通して、動物の展示・飼育環境が向上し、ゴリラが活き活きと暮らす魅力的な姿を観察することが可能となります。

動物園の計画にするにあたり、動物をしっかりと理解していくことが大切です。ゴリラは、「霊長類 ヒト科 ゴリラ属」に分類されます。昔はひとつの種として単純に「ゴリラ」と扱われていましたが、今では『ニシゴリラ』と『ヒガシゴリラ』の二種に分類されています。更にそれぞれの分類から亜種として分岐し、ニシゴリラは「ニシローランドゴリラ」と「クロスリバーゴリラ」に、ヒガシゴリラは「マウンテンゴリラ」と「ヒガシローランドゴリラ」にわかれ、現在世界には4種のゴリラが存在しています。

千葉市動物公園を含む、日本の動物園が飼育しているのは、すべて『ニシゴリラ』です。また、『ニシゴリラ』はIUCN（国際自然保護連合）が作成しているレッドリストの中で、絶滅の可能性が極めて高い「絶滅危惧種ⅠA類」に指定されています。その原因は、人間による森林伐採や採掘、内戦、伝染病、人間の食糧としての密猟など、さまざまです。新たに整備するゴリラのエリアでは、このような野生ゴリラの現状や保全の重要性を伝えられたらと思います。

古くからある動物園の多くは、その施設の老朽化と合わせて、動物福祉への対応や新たな展示・飼育方法に対応する改修、改築時期を迎えています。私たちは「世の中により良い動物園をつくりだす」ことを信念に、複数の動物園のプロジェクトを手掛けています。

千葉市動物公園の再整備は、動物園界のより良い発展に繋がることを確信しており、この取組みを全力で応援いたします！