2016年8月18日に開催された、Library of the Year(LoY)2016の第二次選考会の議事録です。この選考会により LoY2016の優秀賞館4館及びライブアリアンシップ賞2館が決定いたしました。

 

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LoY2016 第二次選考会 公開議事録

 

■日時 2016年8月18日(木)19時~21時半

■場所 さくらWORKS<関内>

■LoY選考委員

出席選考委員:山崎、岡本、平賀、猪谷、今井、澁田、仁上、井上、谷合、小林、桂

欠席選考委員:岡野、内野、熊谷(メール等で意見を提出)

*なお、第二次選考会は、一般公開により実施された。

 

1. 選考にあたって:山崎選考委員長

 

■選考基準について

1) 図書館及びそれに準ずる施設・機関における他の図書館の参考となる先進的な取り組みや活動について評価し選考する。

2) 対象となる機関は、公立図書館、大学図書館、専門図書館、学校図書館、図書館団体、図書館関連企業など。

3) ここ数年の活動を評価対象期間とする。

 

・他にも施設や機関の規模の大小は問わない。日本一の図書館を選ぶものではないと言及してきた。

・これらの選考基準を踏まえて、4~5機関を選びたい。

 

■別賞の創設(鳥取県立図書館と伊万里市民図書館の扱い)について

・IRI担当理事と協議した結果、大賞に匹敵する別賞を設けて、授与したいと考えているので選考委員の意見もお聞きしたい。

・第一次選考会でも極めて高い評価を得て今回別賞の対象となる2機関については10年から20年という長い間日本を代表する図書館サービスに取り組んでいることがある。現行選考基準で判断しにくいことと、ここ数年間で取り組んでいる図書館と比較することは難しい。この2機関は選考基準に厳密に言うと当てはまらないことになる。

・しかし、それでも評価されるべき機関で、日本の図書館サービスを長年に渡ってリーディングしてきたこれらの図書館を賞授与から、外すべきではないと考えた。

 

■別賞に対しての選考委員意見

・なぜ別賞の存在が必要あるのか、説明がもう少し欲しい。

・過去に特別賞を設けることはあった。

・来年度以降の扱いは、この別賞に該当する機関があれば選考したい。長年に渡る活動を評価するという点で、こういう賞もあるべきであるし、大賞に匹敵する新しい賞としたい。

・努力を評価する賞というのは、その努力が何であるかは明確にした方が良いし、端的に、何が優れているのかを言葉にして表現したい。

・推薦の理由、賞の背景については、明確な理由を書いたものを準備し公開したい。

 

■別賞を設けることに賛成意見多数のため決定。後日、選考委員の意見も聞きながら別賞の名称を決定する。

 

2. 各選考委員の意見発表

 

■優秀賞決定について

・選考委員は、それぞれがLoY2016優秀賞に推したい機関を4機関程度、言及して欲しい。

 

◯「オガールプロジェクトと一体での紫波町図書館」

・図書館単体としてもユニーク(農業支援など)だが、街づくりの中で図書館が大きな核になっている点を証明している。

・図書館を核とした地域作りのプロセスを評価する。

・一昨年も候補になったが、図書館だけでなく街作りに深く関わっている。

・図書館が街と一体化して活動している。

・図書館活動が定着してきた。

・図書館だけではなく「オガールプロジェクト」も評価したい。紫波町図書館が、図書館として基礎的な実力がある点も評価したい。雇用環境の改善も関係者の努力により行われた。

・他1名が推薦

 

◯「READ&LEAD 地域の活性化と住民の幸せに貢献する鳥取県立図書館と県内図書館ネットワーク」

・県内及び全国の図書館を中心に密なネットワークを構築し、知のインフラを体現している。

・県内の図書館設置率を100%に上げた。

・他2名が推薦

 

◯「伊万里市民図書館と伊万里市民図書館友の会 図書館フレンズいまり」

・二十年前に斬新な図書館だったが、それを現在まで継続している。

・活動が継続をされていることを評価する。

・館長が変わってもきちっとした図書館運営ができる土壌作りをした。

 

◯「福智町立図書館・歴史資料館 ふくちのち」

・施設や機能のイノベーションを提示したプロセスを評価する。

 

◯「伊丹市立図書館ことば蔵」

・数々の魅力的な取り組みを行っている。例えば伊丹出身の作家コーナーの設置している。

・イベントの実施に積極的に取り組んでいる。

・他1名が推薦

 

◯「指宿市立図書館」

・指定管理者の運営としては、非常に珍しく労働条件の向上も実現、後身の育成も良くできていて、図書館としての運用実績もアップしている。

 

◯「北摂アーカイブス(大阪:豊中市立図書館、箕面市立図書館)」

・地元の写真資料をアーカイブする取組みは、他の図書館でも参考になる。

・市民ボランティアがアーカイブを運営。古い写真の発掘や現在の風景の撮影を行っている。

・図書館はボランティアを育成し、活動場所を提供。分類の仕方など技術的なサポートを担う。

・市民と図書館の役割が明確である。継続して実行している点を評価したい。

 

◯「東京学芸大学学校図書館運営専門委員会」

・学校図書館の取り組みの中で大規模な事例収集をしっかり行いかつだれでも見られるようにしている。

・学校図書館は、クローズドな場合があるが、事例を可視化し、とても実用的である。

・データベース化して公開している点が、他の学校図書館にとっても参考になる。

・ネットワーク構築部分を評価したい。

・データベース構築を評価したい。

・学校図書館が一般的に閉鎖的な中、これだけの知の共有をしている点を評価する。

 

◯「神奈川県立田奈高等学校図書館ぴっかりカフェ」

・全国の学校図書館の中で、唯一無二な感じがする。特に、学校図書館以外の場で児童生徒へのアプローチをしている。

・学校を社会に開いていくきっかけを図書館が担える可能性を開いた。継続性については、難しいところはあるが賞を与えることにより、継続性が担保される可能性もあるのでは。

・他1名が推薦

 

◯「公益財団法人 松竹大谷図書館」

・資金獲得の面を評価したい。毎年魅力あるプロジェクトを考えて提示している。

・4年連続クラウドファンディングで資金調達をしている。

・脚本や台本といった地味な内容・プロジェクトでもあるにもかかわらず一般の人たちの興味を引き付け、1000万円近い資金調達し、アーカイブズの持っている価値を改めて社会に認識させた。

 

◯「武庫川女子大学附属図書館」

・司書課程の運営以外にもラーニングコモンズやカフェの運営など、実際に図書館に行ってみると、ハード面、ソフト面共に優れている。

 

◯「大阪産業労働資料館(エル・ライブラリー)」

・MLA連携型で、色々なコンテンツを扱っている図書館であり、自分たちで運営資金を獲得し経営を行っている一つのモデルを作っている。

・他3名が推薦

 

■選考委員推薦のまとめ:山崎選考委員長

・先ほど半数程度の選考委員の推薦意見があった紫波町図書館と東京学芸大学校図書館運営専門委員会の2機関について、優秀賞としてはどうか。選考委員全員の賛否を伺いたい。

 

■出席した選考委員全員が賛成したため、この2機関を優秀賞とする。

 

■残りの選考:山崎選考委員長

・もう2機関を選考したいので各自追加意見をお願いしたい。バランスから考えて専門図書館、公共図書館から選考したい。ただし必ず館種に拘るものではない。

 

◯「公益財団法人 松竹大谷図書館」

・大変好きな図書館、頑張り具合もよく知っている。

・クラウドファンディングをやっている姿は素晴らしいが、LoYでそれをメインで評価してしまったら、それは公共図書館のこれからを誤らせるものになるように思う。評価するのであれば、クラウドファンディングの話ではなく、専門図書館として特徴あるコレクションを見せているところにしたい。

・もう1アクション欲しい。広報的なところはかなり力を入れているが、HPなどからも見えてくるものが少ない。違う側面の活動をやって欲しいというアドバイスをして、次年度以降の候補にするという点もあるのではないか。

・クラウドファンディングがいいかどうかは、意見を保留したい。インパクトを与えたというところは評価したい。

・もともと持っているコレクションのコンテンツ力がある。クラウドファンディング成功例としてLoYで評価するのは少し違うように思う。

・私立図書館の場合は、資金面をどう乗り越えたという面の影響力が大きい。4年連続でクラウドファンディングで資金を集めている点は、社会的にも評価できる。

・台本などが全部デジタル化され、公開されれば、凄い話になる。様子を見ることにしたらどうか。

 

◯「大阪産業労働図書館(エル・ライブラリー)」

・運営努力は理解しつつ、その見せ方や整理の方法は考える余地があると思った。

・公共的なという意味合いを考えた時、専門図書館であると同時に、地域における開かれた場である点を評価する。

・人々が集まって、様々な市民活動や創造的な活動をする拠点として開かれていて、そこには専門的な知の裏付けや資料の裏付け、専門的な職員によるサポートがある点は、積極的に評価されていいのではないか。

・これからの図書館像を示すことを考えた時に、旧来の古臭そうに見える資料が山積したイメージがある専門図書館が社会に対して自らを開いていくことができることを示し、さらにその場を維持する努力をし続けている。

・地域における公共的活動拠点として開かれ、広範な人たちに支えられている図書館である点を評価したい。

・「地域の中でどうなのか」というエル・ライブラリーの視点を推したい。

・エル・ライブラリーの取り組み方は、公共図書館にとっても参考になる活動である。

 

■山崎選考委員長

・意見は出そろったので、「エル・ライブラリー」と「松竹大谷図書館」ではどちらに決定するか、全出席委員が選択して欲しい。

 

■「エル・ライブラリー」を押す意見が多数となり決定。

-補足意見-

・「エル・ライブラリー」は、専門図書館が社会に開かれるとどんな可能性があるのかを示している。それは、多くの存続問題を抱えている専門図書館にとって、唯一ではないが、一つの可能性を指し示している。

・他の公共図書館や大学も参考になる。生き残り戦略でもあるが、それが、地域社会の連携で生き残っていったということも評価に値する。

・この場合の地域と言った場合、エリア的意味の地域と、地域コミュニティの両方を指し、オンライン上の新しいコミュニティも含む。またコミュニティ・マネジメントを評価したい。

 

  1. 機関目の決定:山崎選考委員長

・残り1機関を決定したい。最初の協議では「伊丹市立図書館ことば蔵」を推す意見が多かった。その他には「北摂アーカイブス」「福智町立図書館・歴史資料館 ふくちのち」「武庫川女子大学附属図書館」「指宿市立図書館」「神奈川県立田奈高等学校図書館ぴっかりカフェ」が推薦されている。これら機関について補足意見をお願いする。

 

◯「北摂アーカイブス(大阪:豊中市立図書館、箕面市立図書館)」

・他のアーカイブ活動(例えば一昨年度LoY大賞)と比べてはどうなのか?

・現在の活動は高く評価できるが、これまでの取り組みと比較すると同程度と思う。

 

◯「伊丹市立図書館ことば蔵」

・最終的にどれだけの価値を伊丹市の地域づくり、まちづくりにつながっているか、外部から見てわからない点がある。

・伊丹市自体が比較的、地域双発的活動を積極的にやっている。図書館単体ではどうなのか?

・面白い活動をやっているのは評価できる。

・交流フロア運営会議を評価したい。申し込み不要、現場に行けばいいという考え方。オンライン投稿もできる等、市民協働的なところは評価できる。

 

◯「福智町立図書館・歴史資料館 ふくちのち」

・新しい図書館の開館までのプロセスがマネできるようなところが極めて少ない。プロセスの手当がされて可視化して、だれでも見えるようにするここの活動は、参考になる。

・「リノベーション」というこれからのテーマと公共空間を作っているプロセスが形式化して可視化している点を評価したい。オープンする前にオープンする前だから評価するべきだと思っている。

・開館後の評価では遅いだろうか。

・現時点でリノベーションを評価するのは少し無理があるようには思う。プロセスを公開することについては評価したいが、一般の人の声や評価がわかるのは開館日以後。オープンしたのを見届けてからでも遅くはないように思う。

 

◯「指宿市立図書館」

・現在の指宿図書館館長が統括館長になって、2つの館がより自律的な運営ができるようになり、NPOの運営がうまくいくことが求められるだろう。

・この10年で、間違いなく運営者であるNPOが市民に支えられている。今のNPOが指定管理を外れたら、市民が反対するだろうという自信が見えた。

・NPOが指定管理3年、更新5年、さらに先日次の5年も取ることができたのは、信頼と実績を作っているのは事実だろう。地域に密着してきている珍しいケースである。

 

◯「神奈川県立田奈高等学校図書館 ぴっかりカフェ」

・良い取り組みであるが、継続の点が課題だろう。

・学校図書館業界ではここにしかないというところが弱点。この事例が他に出てきたら推したい。

 

◯「武庫川女子大学附属図書館」

・他の大学図書館にとって、示唆的な活動をやっていると思う。

・学生と図書館が協働して図書館運営を行っている点は評価したい。

 

◯「筑波大学「近未来図書館シリーズ(筑波大学宇陀・松村研究室)」

・「大学内で止まっている」ように思われる見解があり、なかなか評価し辛い。

 

■最終機関選考方法について:山崎選考委員長

・選考委員一人ひとりに「今年推したい1機関」を挙げてもらって決定したい。

 

◯「伊丹市立図書館ことば蔵」

.... 6名が推薦

◯「指宿市立図書館」

.... 3名が推薦

◯「武庫川女子大学附属図書館」

.... 2名が推薦

◯「神奈川県立田奈高等学校図書館 ぴっかりカフェ」

.... 1名が推薦

 

■これにより「伊丹市立図書館ことば蔵」に決定。

-補足意見-

・「伊丹市立図書館ことば蔵」受賞の理由は、「図書館ってこんなことができるんだ」という点。図書館における創造的な活動といったとき面白い活動ができているところだろう。

・「図書館における象徴的な活動の姿を市民に・・・」「学びと遊び」というキーワードであろう。

 

3. 最終選考審査委員について

 

 ・選考委員の中から、山崎選考委員長が審査委員を選考し、依頼する。(5名を予定)

 

4. 最終選考会のプレゼンターについて

 

・最も理解してくれている人に説明をお願いしたいため受賞機関の推薦とする。

・受賞機関にこれから連絡する。

 

5. 選考後のあいさつ:山崎選考委員長、岡本選考委員

 

・いい選考結果になった。一次選考に残ったのはすべて優れたサービスや運営を行っている機関である。館種の問題などもあったように思うが、今後とも各選考委員にはご協力をいただきたい。

・二次選考会の様子を公開してよかった。一次選考は、4時間近く議論して選考した。一次選考に残っているだけでも大変なことと考える。LoYは大賞だけを選んでいるわけではない。大賞を取った機関と受賞した機関には差があるわけではない。

・LoYは、日本一の図書館を選んでいるわけではなく、オンリーワンの部分を評価している。図書館の優劣をつけるものでもない。「示唆的だ、道を開いている」というところを評価している点を改めて言及しておきたい。

 

 

*****第二次選考会会場に来場くださった方々へ お願い*****

 

今回公開したこの議事録の内容を超えたご発表やご投稿は、どうかお控えくださるようお願いいたします。ここに記載されていない個別の選考委員の発言や発言者の氏名等は、今年度の大賞選考と来年度以降の選考に影響を与える可能性があります 。

 どうかその点をご理解いただき、ご配慮くだされば幸いです。

 

IRI事務局

 

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