九州沿岸で、漂着したイルカ・クジラの調査を続けたい!

九州沿岸で、漂着したイルカ・クジラの調査を続けたい!

支援総額

399,000

目標金額 300,000円

支援者
33人
募集終了日
2016年7月29日

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2016年07月26日 00:54

ネクストゴール:標本の作成と保管について

こんにちは、長崎大学 海棲哺乳類研究室の塩﨑です。

本プロジェクトは皆様の厚いご支援により、無事当初の目標を達成することができました。続いてネクストゴールを設定させていただき、そこでもご支援と応援メッセージをいただきまして、感謝に堪えません。

プロジェクトの残り日数もわずかとなってきました。今回はネクストゴールを設定させていただいた理由でもある、標本のことについてご説明します。

 

当研究室では漂着した鯨類から、骨格・表皮・筋肉・脂肪組織・胃内容物・各種臓器・寄生虫などを採取しています。これらの標本が、どう処理されてどんな研究に使われているか、以下にまとめてみました。

 

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●骨格に関しては、これまでの新着情報で結構書きましたので、ここでは省略します。

 

●表皮はDNAを使った研究に用いられます。その鯨種がどの種と近縁なのかといった系統関係の解析や、種内の遺伝的変異・多様性の大小、群れや集団の数・大きさを明らかにするといったことに使われます。

表皮のエタノール液浸標本。
プラスチック容器に入れ、 99%アルコールに漬けて保管します。

 

●筋肉や脂肪組織は、主に環境汚染の研究に使われます。海棲哺乳類は海の食物連鎖の頂点であり、都市や工場から排出される有害化学物質を溜め込みやすいことが分かっています。これを生物濃縮と言います。イルカやクジラの脂肪や筋肉にどの程度の汚染物質が含まれているか測定し、環境汚染は進んでいるのか軽減されているのか、その実態や生態系への影響について調べられています。

 

●胃内容物はその動物が何を食べているか、逆にどんな動物がそれに食べられているかを知る手掛かりです。これは動物の生態を知るという点でも重要ですが、海棲哺乳類においては漁業資源(魚介類)を人と野生動物でどう分け合えるか、という点でも重要です。

また、胃内容物にはときどきプラスチックなどの異物が入っています。これらは消化されず胃の中にたまってしまうため、胃を傷つけたり食欲がなくなったりする原因になると考えられています。海の漂流ゴミがイルカやクジラにどんな影響を及ぼしているか、考えねばなりません。

ハナゴンドウというイルカの胃の中に入っていた異物。
ポリ袋や果物ネットのようなものが確認できます。
このようなものは、餌であるイカと間違える可能性が高いと思われます。

 

●各種の臓器は、上述の環境汚染の研究にも使われる他、どんな病気にかかっていたか調べたり、生殖腺から繁殖周期などを調べたりします。 たとえばスナメリの繁殖期は、図鑑等では春と紹介されることが多いですが、九州西部の有明海に暮らす集団は秋に繁殖することが分かっています。このような情報は動物の保護、特に繁殖を妨害しないための施策には欠かせません。

臓器・胃内容物標本。
瓶や密閉容器に入れ、 アルコールやホルマリンに漬けて保管します。

 

●寄生虫は、イルカやクジラがどのぐらい他の生き物と関わっているかを示す指標になります。また寄生虫は時に病気をもたらすこともあるため、獣医学的にも重要です。

左:寄生虫はアルコールやホルマリン、グリセリン等に漬けて保管します。
右:イルカの腸内にいる吸虫(プレパラート標本)。

 

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このように漂着鯨類から得られる試料はたくさんあり、研究分野も多岐に渡ります。ですが当研究室が単独で全てを行うわけではなく、当研究室が収集した標本のうち、表皮や臓器などは日本各地の別の研究機関に送付され、そこで研究に利用されます。

 

漂着鯨類は数少ない、野生の鯨類から得られる学術標本となりますが、いかんせん入手を偶然に頼っているため、一般的な科学研究費を取得しづらいという難点があります。

6月15日から続く今回のプロジェクトは、全国の皆様に鯨類研究の意義と現状についてご理解いただきたいと思い始めたものです。

ネクストゴールについては少し研究の深いところに踏み込んだものであります。ご支援とまではいかなくとも、「こういう研究が行われているんだ」「こんなものも研究に使えるんだ」ということでご興味を持っていただければ幸いです。

 

最後に、ネクストゴールで作成予定のグッズについてご説明します。幾人かの方から、どんなものを作るのかご質問を頂きました。

長崎大学で(あるいは各地の研究機関で)こうした活動があること、そして漂着鯨類を見つけたときの連絡先をお手元に置いていただくため、それらを記載した缶バッジやマグネットなどを作りたいと考えています。

サンプルとして下のような絵柄を考えています。

缶バッジのサンプル 3例

 

マグネットシートのサンプル3例

左からスナメリ、ミナミハンドウイルカ、ニタリクジラの頭骨をモチーフにしています。いずれも、長崎沿岸で見つかった実際の漂着鯨類を骨格標本にし、研究・教育用も兼ねて描き起こしたものです。

ネクストゴール未達の場合でも、チラシ等で同様の図案を使っていく予定です。

ご興味を持っていただけましたら、ご連絡あるいはご支援をいただけますと幸いです。

 

長々と申し上げましたが、残り3日、本プロジェクトについて皆様のご理解とご協力の程をお願い申し上げます。

 

リターン

3,000


サンクスレター

サンクスレター

①研究室からお礼のメッセージ
本プロジェクトのロゴマークとしてスナメリの頭骨をモチーフにしたお礼のハガキをお送りします。

支援者
3人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2016年8月

5,000


調査結果を速報でお届け

調査結果を速報でお届け

①研究室からお礼のメッセージ
②ストランディング調査の速報
ストランディング調査を行った際に、その内容や現場所見をメール速報でお届けします。

支援者
8人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2017年1月

10,000


調査結果の速報と鯨の髭

調査結果の速報と鯨の髭

①研究室からお礼のメッセージ
②ストランディング調査の速報
③ザトウクジラの髭板1枚
魔除けのお守りとされる鯨の髭1枚(約20cm)をお送りします。

支援者
17人
在庫数
3
発送完了予定月
2016年8月

30,000


調査結果の速報と2016年度の調査報告書

調査結果の速報と2016年度の調査報告書

①研究室からお礼のメッセージ
②ストランディング調査の速報
④2016年度 長崎大学ストランディング調査報告書
長崎大学が2016年度に実施するストランディング調査について、調査結果をまとめた報告書冊子をお送りします。

支援者
6人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2017年1月

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