プロジェクトは終わっても、研究は続けていきます!
こんにちわ、長崎大学海棲哺乳類研究室・塩﨑です。
漂着鯨類の調査プロジェクトについて、この2月で一旦の終了を迎えることをご連絡いたします。
ご支援をいただいた皆様、プロジェクトの広報をしていただいた皆様、漂着・混獲の連絡をしていただいた皆様、研究にご協力頂いた皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
昨年夏から始まった本プロジェクトですが、この2月までに4件の漂着が確認されました。(情報のみで個体を確認できなかったものも含めるともう少しあります)
これは例年に比べると少ない数です。毎年、春〜夏にかけて十件ほど、秋〜冬にかけて十件ほどが発生します。春〜夏はイルカ類の繁殖期にあたり、生まれたばかりの子供や出産で弱った個体が死んでしまいます。秋〜冬は気候が厳しくなり、弱った個体で死に至るケースが出てきます。また各季節で漁具への混獲も起こります。
今年は春〜夏で17件、秋〜冬で4件と大きな偏りがありました。また4月にザトウクジラ2頭、9月にオウギハクジラ1頭と珍しい鯨種が漂着した年でもありました。この傾向に何か意味があるのか、今はわかりません。年間件数は例年どおりですので、少なくとも九州北部の鯨類が極端に減っているわけではないと考えたいです。
4件の漂着鯨類は、すべて海棲哺乳類研究室で回収または現地解剖を行い、処理をしました。その過程で学術標本を採取し、研究に役立てています。
今回、ご支援いただいた資金のうち、現在およそ半分を使わせていただきました。
内訳として以下のようになっています。
○交通費・調査車両維持費:¥115,754
○鯨体の回収用品:¥596
○解剖器具類:¥12,468
○標本作製用品:¥6,246
○その他消耗品:¥2,410
○広報資料の作成、配布:¥11,256 計¥148,730
当初予定の件数より出動が少なかったため、交通費、回収用品、作業着など半消耗品の消費が少なく、予算として余る形になりました。これらは繰越分として来年度の調査予算に充てさせていただきます。
READYFORプロジェクトとしては終了となりますが、こういった学術調査は継続が重要です。
海棲哺乳類のような大型動物は寿命が長いため、個体数の増減や回遊周期などは数年の調査では傾向が見えないことが多く、十年二十年の追跡調査が基本です。また鯨類の生物試料は、特に骨格や臓器などは意図的に採ることが困難であるため、限られた機会を学術標本として後世に残していくことが必要です。
当研究室では引き続き、漂着・混獲鯨類の調査と研究を続けていきます。
研究に関するご質問、漂着・混獲鯨類のご連絡などありましたら、下記メールアドレスまでお問い合わせください。
長崎大学大学院 水産・環境科学総合研究科
塩﨑 彬 akirakira.doctor@gmail.com